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16.とあるイベント
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午前中の授業が終わり、私は昼食を取るために食堂へ向かっていた。だが、少し気掛かりなことがあって、私は足を止める。
授業が始まった初日の昼休み、ゲームではとあるイベントが起きた。そのイベントは、私にとってとても重要なイベントなのだ。
公爵令嬢であるアルフィアは、昼休みにメルティナを呼び出した。そして、取り巻きの令嬢とともに、彼女を追い詰めるのだ。
「……メルティナ」
私は、気づいた時にメルティナが消えていることを思い出した。食堂に向かったとその時は思っていたのだが、考えてみればそれは少しおかしい気がする。
彼女の性格ならば、私を昼食に誘うのではないだろうか。昨日からの彼女を考えると、そう思えるのだ。
だから、誰かに呼び出された。そう考えることは、そこまでおかしいことではないだろう。
「アルフィアは、私……だから、アルフィアが呼び出した訳ではない。でも、その取り巻き達は、今は何をしているのかしら?」
私は、とても大切なことを思い出した。アルフィアは、一人でメルティナを虐めていた訳ではない。取り巻きがいたのだ。
その取り巻き達は、二人のクラスメイトだったはずである。そのクラスメイト達が、穏やかにしているのだろうか。
「行ってみればいい……何もなければ、それでいいのだから」
私は、踵を返して学園の校舎裏に向かうことにした。アルフィアが取り巻きとともに彼女を虐めていたのは、その場所だ。もしかしたら、そこに彼女達がいるかもしれない。
なんだか無性に不安になっていたため、私は速足になっていた。できることなら、この予想が外れてくれているといいのだが。
「アルフィアさん、どうかしましたか?」
「あ、バルクド様」
私がそんな風に歩いていると、バルクド様が話しかけてきた。明らかに食堂から真逆の方向に進んでいるので、彼はかなり不思議に思っているようだ。
「えっと……」
彼に事情を話そうかと思ったが、私の中にとある考えが過った。
アルフィアに虐められているメルティナを救ったのは、ゲーム中ではバルクド様とリオーブだった。もし今彼女が虐められていて、彼がそこに駆け付けたなら、それはゲームと同じ状況になる。
それは、私にとって不安なことだ。できればメルティナとバルクド様が近づくようなことは避けたい。それが、私に破滅に繋がる可能性があるからだ。
もちろん、それは杞憂だと思う。何もしていない私が破滅する訳はない。そう思っても、念には念を入れたくなってしまう。
「すみません、忘れ物をしてしまったので」
「そうですか……もしよかったら、僕も……」
「いえ、大丈夫です。忘れ物を取りに行くだけですから」
「あ、はい……」
私は、バルクド様の前から素早く立ち去った。彼が何か言う前に足を進める方が、いいと思ったからだ。
それは、彼がついてくることを抑制するためでもある。だが、何より急ぎたかった。
もしメルティナが虐められているなら、助けたい。そういう気持ちが、私を突き動かしているのだ。
授業が始まった初日の昼休み、ゲームではとあるイベントが起きた。そのイベントは、私にとってとても重要なイベントなのだ。
公爵令嬢であるアルフィアは、昼休みにメルティナを呼び出した。そして、取り巻きの令嬢とともに、彼女を追い詰めるのだ。
「……メルティナ」
私は、気づいた時にメルティナが消えていることを思い出した。食堂に向かったとその時は思っていたのだが、考えてみればそれは少しおかしい気がする。
彼女の性格ならば、私を昼食に誘うのではないだろうか。昨日からの彼女を考えると、そう思えるのだ。
だから、誰かに呼び出された。そう考えることは、そこまでおかしいことではないだろう。
「アルフィアは、私……だから、アルフィアが呼び出した訳ではない。でも、その取り巻き達は、今は何をしているのかしら?」
私は、とても大切なことを思い出した。アルフィアは、一人でメルティナを虐めていた訳ではない。取り巻きがいたのだ。
その取り巻き達は、二人のクラスメイトだったはずである。そのクラスメイト達が、穏やかにしているのだろうか。
「行ってみればいい……何もなければ、それでいいのだから」
私は、踵を返して学園の校舎裏に向かうことにした。アルフィアが取り巻きとともに彼女を虐めていたのは、その場所だ。もしかしたら、そこに彼女達がいるかもしれない。
なんだか無性に不安になっていたため、私は速足になっていた。できることなら、この予想が外れてくれているといいのだが。
「アルフィアさん、どうかしましたか?」
「あ、バルクド様」
私がそんな風に歩いていると、バルクド様が話しかけてきた。明らかに食堂から真逆の方向に進んでいるので、彼はかなり不思議に思っているようだ。
「えっと……」
彼に事情を話そうかと思ったが、私の中にとある考えが過った。
アルフィアに虐められているメルティナを救ったのは、ゲーム中ではバルクド様とリオーブだった。もし今彼女が虐められていて、彼がそこに駆け付けたなら、それはゲームと同じ状況になる。
それは、私にとって不安なことだ。できればメルティナとバルクド様が近づくようなことは避けたい。それが、私に破滅に繋がる可能性があるからだ。
もちろん、それは杞憂だと思う。何もしていない私が破滅する訳はない。そう思っても、念には念を入れたくなってしまう。
「すみません、忘れ物をしてしまったので」
「そうですか……もしよかったら、僕も……」
「いえ、大丈夫です。忘れ物を取りに行くだけですから」
「あ、はい……」
私は、バルクド様の前から素早く立ち去った。彼が何か言う前に足を進める方が、いいと思ったからだ。
それは、彼がついてくることを抑制するためでもある。だが、何より急ぎたかった。
もしメルティナが虐められているなら、助けたい。そういう気持ちが、私を突き動かしているのだ。
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