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77.敬意を表して
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私は、ディゾール様と生徒会室に残っていた。
他の皆は、もう帰った。納得したかは微妙な所だが、とりあえず話は切り上げられたのだ。
私がここに残っているのは、ディゾール様と話したかったからである。彼には、色々と言わなければならないことがあるのだ。
「ディゾール様、ありがとうございます」
「それは、何に対する礼だ?」
「魂結合魔法を修得してくれたこと……それに、ここで皆と話し合わせてくれたということに対するお礼です」
「……そうか」
私は、ディゾール様にお礼を言うべきだと思った。
彼は、厳しいことを敢えて言ってくれたのである。恐らく、私が決意していることもわかっている上で。
「恨みたければ、俺を恨むがいい。俺は未来のために、お前を犠牲にする。その罪は、俺が背負おう」
「恨むなんて、そんな気持ちはありません」
私の言葉に、ディゾール様は少し目をそらした。
彼がそういう風にするのは、珍しいことである。いつも人の目を真っ直ぐに見て話す人だと思っていたからだ。
それだけ、彼も今回のことに心穏やかではいられないということなのだろう。
「……俺は、何かを成し遂げようとする者は、尊敬できる者であると思っている。例えそれで何もできなかったとしても、その心意気こそが何よりも大切なものであるとそう考えているからだ」
「……はい」
「俺は、お前のことを尊敬している。お前のその意思は、気高きものだ。俺は、この世界にいたお前という存在を生涯忘れないだろう」
ディゾール様は、私のことを称賛してくれた。それは、素直に嬉しいことである。
入学式の時、彼は苛烈なことを言っていた。それを改めて思い出す。
あの時の私は、彼に褒められるなんて思ってもいなかった。そういう人間になれたことは、誇るべきことだろう。
「ありがとうございます、ディゾール様。あなたのような誇り高き人にそこまで言ってもらえることを、私は嬉しく思います」
「……」
「ディゾール様……」
そこで、ディゾール様はその右手を差し出してきた。私は、ゆっくりとその手を取る。
彼は、私の手を力強く握ってきた。それに対して、私も同じように力を込める。
それは、お互いに対する敬意の表れのように感じた。この感触を決して忘れない。そう思いながら、私達はしばらくその手を握り続けるのだった。
他の皆は、もう帰った。納得したかは微妙な所だが、とりあえず話は切り上げられたのだ。
私がここに残っているのは、ディゾール様と話したかったからである。彼には、色々と言わなければならないことがあるのだ。
「ディゾール様、ありがとうございます」
「それは、何に対する礼だ?」
「魂結合魔法を修得してくれたこと……それに、ここで皆と話し合わせてくれたということに対するお礼です」
「……そうか」
私は、ディゾール様にお礼を言うべきだと思った。
彼は、厳しいことを敢えて言ってくれたのである。恐らく、私が決意していることもわかっている上で。
「恨みたければ、俺を恨むがいい。俺は未来のために、お前を犠牲にする。その罪は、俺が背負おう」
「恨むなんて、そんな気持ちはありません」
私の言葉に、ディゾール様は少し目をそらした。
彼がそういう風にするのは、珍しいことである。いつも人の目を真っ直ぐに見て話す人だと思っていたからだ。
それだけ、彼も今回のことに心穏やかではいられないということなのだろう。
「……俺は、何かを成し遂げようとする者は、尊敬できる者であると思っている。例えそれで何もできなかったとしても、その心意気こそが何よりも大切なものであるとそう考えているからだ」
「……はい」
「俺は、お前のことを尊敬している。お前のその意思は、気高きものだ。俺は、この世界にいたお前という存在を生涯忘れないだろう」
ディゾール様は、私のことを称賛してくれた。それは、素直に嬉しいことである。
入学式の時、彼は苛烈なことを言っていた。それを改めて思い出す。
あの時の私は、彼に褒められるなんて思ってもいなかった。そういう人間になれたことは、誇るべきことだろう。
「ありがとうございます、ディゾール様。あなたのような誇り高き人にそこまで言ってもらえることを、私は嬉しく思います」
「……」
「ディゾール様……」
そこで、ディゾール様はその右手を差し出してきた。私は、ゆっくりとその手を取る。
彼は、私の手を力強く握ってきた。それに対して、私も同じように力を込める。
それは、お互いに対する敬意の表れのように感じた。この感触を決して忘れない。そう思いながら、私達はしばらくその手を握り続けるのだった。
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