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11.意外な訪問者
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慎重なお父様は婚約について疑いを持ったようだが、ネリーお義姉様とも関係が深い家ということもあって、最終的には婚約に乗り気になった。
お兄様やお母様、ネリーお義姉様については元より心配していなかったが、良い反応であった。というかネリーお義姉様に関しては、これを望んでいた節がある。
協力の要請というものも、この布石だったのかもしれない。お義姉様ならそれもあり得ない話ではないような気がする。
イルヴァン様からは、連絡があった。オーバイン侯爵夫妻も、良い反応であるようだ。ネリーお義姉様が嫁入りしている。その事実はやはりそれなりに効果があるのだろう。
このままいけば、私達の婚約は決定するはずだ。もしもそうなったら、ネリーお義姉様の実家も含めた三家の結束が強まることになる。
「……驚きましたね。まさかテオドア様がこちらに訪ねて来るなんて」
「……そうでしょうね」
そんな私の元に、訪問者があった。
それはタルナート伯爵家の次男、テオドア様である。彼がラナクト伯爵家を訪問してくるなんて、思ってもいなかったことだ。
その訪問に関して、別に受け入れる義理などはなかった。不義理を働かれた家の次男を迎え入れるなんて、そんな必要は当然ない。
ただ私は、テオドア様を客室に通した。彼の立場に関しては少なからず同情できる部分があるし、話くらいは聞いてあげても良いと思ったのだ。
「私に話があるとのことでしたが、どういった要件なのでしょうか?」
「まず兄上のことを謝罪させてください。多大な迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした」「……まあ、そのことに関してテオドア様を責めようとは思いませんよ」
テオドア様は、私に対して頭を下げてきた。
元より礼儀正しい人だとは思っていたが、それは表面上のものという訳ではないのかもしれない。
ダルギス様よりもしっかりしているというなら、彼が次期当主となったのは幸いだったのではなかろうか。いや、まだ判断は早計か。
「とはいえ、その一件によって私達の関係が終わったことは確かです。それなのにどうして、テオドア様はこちらに?」
「お伝えしたいことがあるからです。ペルルナ嬢のことで……」
「ペルルナ嬢……テオドア様と婚約される予定と聞いていますが」
「彼女はあなたを狙っています」
「……はい?」
テオドア様の言葉に、私は目を丸めることになった。
ペルルナ嬢が私を狙っている。突如もたらされたその情報に、私は固まっていた。
ただテオドア様の表情からして、それが冗談の類とは思えない。どうやらペルルナ嬢は、本当に何かことを起こそうとしているようだ。
お兄様やお母様、ネリーお義姉様については元より心配していなかったが、良い反応であった。というかネリーお義姉様に関しては、これを望んでいた節がある。
協力の要請というものも、この布石だったのかもしれない。お義姉様ならそれもあり得ない話ではないような気がする。
イルヴァン様からは、連絡があった。オーバイン侯爵夫妻も、良い反応であるようだ。ネリーお義姉様が嫁入りしている。その事実はやはりそれなりに効果があるのだろう。
このままいけば、私達の婚約は決定するはずだ。もしもそうなったら、ネリーお義姉様の実家も含めた三家の結束が強まることになる。
「……驚きましたね。まさかテオドア様がこちらに訪ねて来るなんて」
「……そうでしょうね」
そんな私の元に、訪問者があった。
それはタルナート伯爵家の次男、テオドア様である。彼がラナクト伯爵家を訪問してくるなんて、思ってもいなかったことだ。
その訪問に関して、別に受け入れる義理などはなかった。不義理を働かれた家の次男を迎え入れるなんて、そんな必要は当然ない。
ただ私は、テオドア様を客室に通した。彼の立場に関しては少なからず同情できる部分があるし、話くらいは聞いてあげても良いと思ったのだ。
「私に話があるとのことでしたが、どういった要件なのでしょうか?」
「まず兄上のことを謝罪させてください。多大な迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした」「……まあ、そのことに関してテオドア様を責めようとは思いませんよ」
テオドア様は、私に対して頭を下げてきた。
元より礼儀正しい人だとは思っていたが、それは表面上のものという訳ではないのかもしれない。
ダルギス様よりもしっかりしているというなら、彼が次期当主となったのは幸いだったのではなかろうか。いや、まだ判断は早計か。
「とはいえ、その一件によって私達の関係が終わったことは確かです。それなのにどうして、テオドア様はこちらに?」
「お伝えしたいことがあるからです。ペルルナ嬢のことで……」
「ペルルナ嬢……テオドア様と婚約される予定と聞いていますが」
「彼女はあなたを狙っています」
「……はい?」
テオドア様の言葉に、私は目を丸めることになった。
ペルルナ嬢が私を狙っている。突如もたらされたその情報に、私は固まっていた。
ただテオドア様の表情からして、それが冗談の類とは思えない。どうやらペルルナ嬢は、本当に何かことを起こそうとしているようだ。
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