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15.迅速な相談
「ラナシア嬢の方から僕を呼び止めるなんて、珍しいこともあるものだと思いましたが……」
「……」
「奇妙な話ですね。セレーラ嬢の行動は不可解だ」
セレーラ嬢と話した後日、私はクロード殿下に掛け合っていた。
彼女が私にもたらした問題は、解決しておかなければならないことである。そうしなければ、私はこの王城で今後伸び伸びと働けない。
それはきっと、私だけのことという訳でもないだろう。王城に働く使用人――とりわけメイドの界隈で、何か良くないものが渦巻いている。
「セレーラ嬢については、聞いたことがあります。サンディール侯爵家の末妹で、諸事情によりこの王城に勤めることになったと……」
「事情、ですか?」
「その事情に関しては、実の所僕も知らないのです。父上とサンディール侯爵の間で何か取り決めがあったようですが」
「……それならその事情というものによって、彼女は何者かに脅されているのかもしれませんね」
「なるほど、それはあり得ない話ではありませんね」
セレーラ嬢が何者かに操られる理由として、この王城で働くことになった事情は適切だろう。
クロード殿下であっても知らされていないその事実を公にすると言われれば、彼女は従わざるをえない。問題は、脅している人物が誰かということだ。
「問題は僕も知らないようなことがどこから漏れたかということですが……」
「その問題に、使用人の誰かが関わっていたのではありませんか? 内密の話といっても、案内や準備に使用人が関わっていてもおかしくはありません」
「……メイド長に聞いてみることにしましょう。彼女ならば、その辺りのことについては精通しているはずです」
「クロード殿下、セレーラ嬢のことはくれぐれもご内密にお願いします。私は彼女が秘密を抱えているならば、それを公にしたくはありません」
「もちろん、細心の注意を払います。ただそうなると、僕も頼りにする人を選ぶ必要がありますね……」
クロード殿下は、苦笑いを浮かべていた。使用人の中に、不穏な動きをする者がいる。それは彼にとっても、心穏やかなことではないだろう。
しかしだからこそ、解決にあたってくれるはずだ。この問題を放置することは、王城にとっても不利益になる。
もっともクロード殿下ならば、そんな事情がなくても尽力してくれただろうが。
「しかしラナシア嬢、あなたも危険かもしれません。僕と関わらないように、セレーラ嬢は注意していたのでしょう?」
「ええ、ですが私はよく知っています。こういったことを抱え込むことは、どんどん事態を悪化させていくだけだということを……」
「……やはりラナシア嬢は、強い人ですね。後は任せてください」
私の言葉に対して、クロード殿下は力強く頷いてくれた。
これから私には、ほぼ確実に火の粉が降りかかってくることになるだろう。
だがそれは平気だ。クロード殿下なら、問題を必ず解決してくれる。私はそれまで、耐えていれば良いのだ。
「……」
「奇妙な話ですね。セレーラ嬢の行動は不可解だ」
セレーラ嬢と話した後日、私はクロード殿下に掛け合っていた。
彼女が私にもたらした問題は、解決しておかなければならないことである。そうしなければ、私はこの王城で今後伸び伸びと働けない。
それはきっと、私だけのことという訳でもないだろう。王城に働く使用人――とりわけメイドの界隈で、何か良くないものが渦巻いている。
「セレーラ嬢については、聞いたことがあります。サンディール侯爵家の末妹で、諸事情によりこの王城に勤めることになったと……」
「事情、ですか?」
「その事情に関しては、実の所僕も知らないのです。父上とサンディール侯爵の間で何か取り決めがあったようですが」
「……それならその事情というものによって、彼女は何者かに脅されているのかもしれませんね」
「なるほど、それはあり得ない話ではありませんね」
セレーラ嬢が何者かに操られる理由として、この王城で働くことになった事情は適切だろう。
クロード殿下であっても知らされていないその事実を公にすると言われれば、彼女は従わざるをえない。問題は、脅している人物が誰かということだ。
「問題は僕も知らないようなことがどこから漏れたかということですが……」
「その問題に、使用人の誰かが関わっていたのではありませんか? 内密の話といっても、案内や準備に使用人が関わっていてもおかしくはありません」
「……メイド長に聞いてみることにしましょう。彼女ならば、その辺りのことについては精通しているはずです」
「クロード殿下、セレーラ嬢のことはくれぐれもご内密にお願いします。私は彼女が秘密を抱えているならば、それを公にしたくはありません」
「もちろん、細心の注意を払います。ただそうなると、僕も頼りにする人を選ぶ必要がありますね……」
クロード殿下は、苦笑いを浮かべていた。使用人の中に、不穏な動きをする者がいる。それは彼にとっても、心穏やかなことではないだろう。
しかしだからこそ、解決にあたってくれるはずだ。この問題を放置することは、王城にとっても不利益になる。
もっともクロード殿下ならば、そんな事情がなくても尽力してくれただろうが。
「しかしラナシア嬢、あなたも危険かもしれません。僕と関わらないように、セレーラ嬢は注意していたのでしょう?」
「ええ、ですが私はよく知っています。こういったことを抱え込むことは、どんどん事態を悪化させていくだけだということを……」
「……やはりラナシア嬢は、強い人ですね。後は任せてください」
私の言葉に対して、クロード殿下は力強く頷いてくれた。
これから私には、ほぼ確実に火の粉が降りかかってくることになるだろう。
だがそれは平気だ。クロード殿下なら、問題を必ず解決してくれる。私はそれまで、耐えていれば良いのだ。
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