16 / 24
お泊り
しおりを挟む
「今日泊まってく?」
待っていた言葉が先輩からかかった。
瞬時に『ハイ喜んで』と言いそうになってしまったが、よく考えたほうがいい。
「明日仕事ですし、メイク道具持ってきてないですし、メイク落としもないですし。えっと。あの」
「下のコンビニで買ってくればいい。すっぴんは何度も見てるから気にするな。明日の朝車で家まで送ってくよ」
確かに学生時代に何度もすっぴん見られてるし、家も近い。
車なら15分くらいだと思う。
「では、あの、お言葉に甘えて」
まだ付き合うって話になって初めてのデートなのに泊まるって大丈夫なのかな?
はしたない軽い女と思われる?
それ言ったらホイホイ家に上がるってのもあれよね?
でも先輩の家に上がるのは初めてじゃないし。
もちろんこの家は初めてだけど。
ホストクラブなら初回枕という都市伝説も結構あるらしいけど(もちろん私はない)、普通の人のお付き合いではどうなの?
3か月とか3回目のデートとか基準があるという噂を聞いたことがあるような気がするけれど全然わからない。
でも別にいいよね。
期間とか回数じゃなくてフィーリングの問題だよ、多分。
それに先輩とは人としての付き合いは長いから人柄とかは知ってるつもりだ。
全然知らない人とってわけじゃない。
時間的に駅構内のお店がまだやっていたので、私は駅までスキンケアのお泊りセットや下着を買いに行った。
先輩は少し仕事をしたいということだったので私は買い物を終えると部屋に帰って、出しておいてもらったパジャマを持ってお風呂に入った。
念入りに体を洗ってお風呂から出る。
髪を乾かして歯磨きをして準備万端。
私はいつでもOKだけど、先輩はまだお仕事しているようだ。
どうしよう。もう1回歯磨きしておいたほうがいいかな?
私がうろうろしていると、先輩が部屋から出てきた。
すれ違いざま先輩は、「先にベッド行ってて」と言うと私の頭を触って唇に軽くキスをしてお風呂場に消えていった。
私はドキドキしたまま言われた通り寝室に向かった。
寝室は3人位一緒に眠れそうな大きなベッドと観葉植物以外何もないシンプルな部屋だった。
だれもいないけれど、一応「失礼します」と言いながら私はベッドの中に入った。
胸がドキドキしすぎて尋常じゃない音をたてている。
少し落ち着こうと思って私は目を閉じた。
「6時だぞ。今日仕事だろ。送っていくから起きろ」
私は慌てて起きあがった。
そしてサーッと血の気が引くのを感じた。
私何をした?
何もしてない!
「おはようございます。えーと、私昨日先に寝ちゃってましたね。すみません」
「びっくりするくらい、ぐっすり寝てたよ」
ずっと働き続けで昨日も半日外出して疲れが出たのかもしれない。
初デートに緊張して妙なテンションではしゃいでたし。
1つ辞めちゃったけど、今も会社から帰った後、家で毎日仕事をしている。
多分目をつぶった瞬間に寝てたっぽい。
せっかくのチャンスだったのに…悔しいです!!
「起こしてくれても良かったんですよ」
「ちょっと揺すってみたけど、いびきかいて寝てたからあきらめた」
「嘘です。私いびきだけはかかないんですから!」
「よだれは垂らしてたぞ」
「スミマセン」
時間を巻き戻したい。
信じられない。
あの状況で寝るって何?
でも夢も見ずぐっすり寝たおかげか体は軽かった。
「この借りはお返しいたします」
「おう。来月誕生日だから期待してる」
「はい。期待していてください」
私は先輩に家に送り届けられた。
待っていた言葉が先輩からかかった。
瞬時に『ハイ喜んで』と言いそうになってしまったが、よく考えたほうがいい。
「明日仕事ですし、メイク道具持ってきてないですし、メイク落としもないですし。えっと。あの」
「下のコンビニで買ってくればいい。すっぴんは何度も見てるから気にするな。明日の朝車で家まで送ってくよ」
確かに学生時代に何度もすっぴん見られてるし、家も近い。
車なら15分くらいだと思う。
「では、あの、お言葉に甘えて」
まだ付き合うって話になって初めてのデートなのに泊まるって大丈夫なのかな?
はしたない軽い女と思われる?
それ言ったらホイホイ家に上がるってのもあれよね?
でも先輩の家に上がるのは初めてじゃないし。
もちろんこの家は初めてだけど。
ホストクラブなら初回枕という都市伝説も結構あるらしいけど(もちろん私はない)、普通の人のお付き合いではどうなの?
3か月とか3回目のデートとか基準があるという噂を聞いたことがあるような気がするけれど全然わからない。
でも別にいいよね。
期間とか回数じゃなくてフィーリングの問題だよ、多分。
それに先輩とは人としての付き合いは長いから人柄とかは知ってるつもりだ。
全然知らない人とってわけじゃない。
時間的に駅構内のお店がまだやっていたので、私は駅までスキンケアのお泊りセットや下着を買いに行った。
先輩は少し仕事をしたいということだったので私は買い物を終えると部屋に帰って、出しておいてもらったパジャマを持ってお風呂に入った。
念入りに体を洗ってお風呂から出る。
髪を乾かして歯磨きをして準備万端。
私はいつでもOKだけど、先輩はまだお仕事しているようだ。
どうしよう。もう1回歯磨きしておいたほうがいいかな?
私がうろうろしていると、先輩が部屋から出てきた。
すれ違いざま先輩は、「先にベッド行ってて」と言うと私の頭を触って唇に軽くキスをしてお風呂場に消えていった。
私はドキドキしたまま言われた通り寝室に向かった。
寝室は3人位一緒に眠れそうな大きなベッドと観葉植物以外何もないシンプルな部屋だった。
だれもいないけれど、一応「失礼します」と言いながら私はベッドの中に入った。
胸がドキドキしすぎて尋常じゃない音をたてている。
少し落ち着こうと思って私は目を閉じた。
「6時だぞ。今日仕事だろ。送っていくから起きろ」
私は慌てて起きあがった。
そしてサーッと血の気が引くのを感じた。
私何をした?
何もしてない!
「おはようございます。えーと、私昨日先に寝ちゃってましたね。すみません」
「びっくりするくらい、ぐっすり寝てたよ」
ずっと働き続けで昨日も半日外出して疲れが出たのかもしれない。
初デートに緊張して妙なテンションではしゃいでたし。
1つ辞めちゃったけど、今も会社から帰った後、家で毎日仕事をしている。
多分目をつぶった瞬間に寝てたっぽい。
せっかくのチャンスだったのに…悔しいです!!
「起こしてくれても良かったんですよ」
「ちょっと揺すってみたけど、いびきかいて寝てたからあきらめた」
「嘘です。私いびきだけはかかないんですから!」
「よだれは垂らしてたぞ」
「スミマセン」
時間を巻き戻したい。
信じられない。
あの状況で寝るって何?
でも夢も見ずぐっすり寝たおかげか体は軽かった。
「この借りはお返しいたします」
「おう。来月誕生日だから期待してる」
「はい。期待していてください」
私は先輩に家に送り届けられた。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる