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 散歩から帰って庭のドッグランにレアとテティを放しボールを投げて遊ばせていると、仲良しのワンちゃんが何組か通りかかったので一緒に遊んでもらった。

 我が家の大型犬から、中型犬小型犬と体格が全く違うのに仲良くしているのはすごい。
 いつも一緒に遊んでいるから、慣れているのだろう。

 飼い主さん達にお茶とお菓子を出して犬トークに花を咲かせていると、箱根の両親から電話がかかってきた。

 「クリーニングに出してある燕尾服取りに行っておいてくれる?お母さん拾ってから帰るから。千織も忙しいだろうし、悪いんだけど」

 「クリーニングね、了解。今日、おばあちゃん来るの?」

 母方の祖母は、祖父に先立たれ東京で一人暮らしをしている。

 「お隣のパーティーに、おばあちゃんも呼ばれたのよ」

 うちにたまたま遊びに来ていた祖母が、お隣の晩御飯に呼ばれることはある。
 でも、わざわざ遠方から呼ばれることは今までなかった。

 「お隣から今朝電話がかかってきて、急で悪いんだけど今晩パーティーするから来てほしいって。おばあちゃんも呼んで欲しいっていうから、東京に電話してみたら来るっていうの。服装も正装で来てって言われてるし、いつもと違う盛大なパーティーみたいよ」

 服装の指定が正装ってのもすごい。

 「今日、お隣でパーティーがあるんだ?どっちのお隣さん?」

 「梅渓さんの方よ。千織知らなかったの?あなたも来るって聞いてるけど。やだ、ちゃんと用意しときなさいよ。女性は直前になってからじゃ準備間に合わないんだからね。5時からだっていうから、それまでにちゃんと支度しときなさい。わかってると思うけど、正装なんだから、ドレス着用よ」

 私も呼ばれているのか。
 急な話に驚いた。
 亮君が、私が実家に帰っていることを話したのだろう。

 「知らなかった。どうしよう。ドレスなんて私持ってないよ。家になんかある?」

 「私のじゃ小さいしねぇ。ヴァイオリンの発表会で着たやつは小学生の時のだしさすがにダメよね。そうだ、エリちゃんの結婚式で着た黒いワンピースあったでしょ。あれでいいわよ」

 なるほど。さすが母。よく覚えている。

 首から胸元にかけてレースでシースルーの刺しゅうがしてあり、胸元でシルクのワンピースとつながっているデザインだ。

 腰からふわっと広がるスカートは長めで上品に見える。
 流行り廃りのないデザインだし、あれなら失礼にはならないはずだ。

 電話を切ると、私が慌てているのを察してワンちゃんと飼い主さん達は帰っていった。

 私は、急いで美容院の予約をして、クリーニング屋さんに燕尾服を取りに行った。

 帰りにお隣の様子をうかがうと、業者さんの車が横付けしてあり、門にリボンや花を飾り付けている。
 庭にもテーブルやピアノを用意して飾り付けている。

 ホテルの中に入っている高級寿司店やレストランのトラックもあり、お料理も期待できそうだ。

 なんだかすごいパーティーになりそうでワクワクした。
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