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気合いだ
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問題は語学(カスタリア語)と音楽だ。
この国ではカローベル語が公用語として使われているけれど、近隣の大国カスタリアの言語・カスタリア語も使える者が多いし使えたほうが便利だ。
けれど私は公爵家に来るまでカスタリア語をきちんと学んだことが無かった。
もともとは同じ言葉だったと言われているので、似ているからなんとなく言っていることは分かるような気もするのだけれど、まぁ苦手だ。
「4か月の訓練でカスタリア語を身につけられるものでしょうか?」
素朴な疑問を講師のアンバー先生にぶつけてみた。
「腕で覚えるくらい綴りの練習をしていただくのはもちろんのこと、授業外でも常にカスタリア語で生活して頂くのがいいでしょうね。すでにリンダさんをはじめ、お屋敷の皆さんにはエレノア様にはカスタリア語で話さなければならないと通知済みです」
アンバー先生はさらっと鬼畜発言をした。
「えっ、一日中ずっとですか!?」
「どんな厳しいメニューにも耐えると仰いましたよね?」
アンバー先生は笑っていたけれど、“もう自分の言葉を忘れたのか!”と目で訴えているような、迫力のある笑顔だった。
「もちろん、言いました!」
姿勢を正して、私は自分の認識を改めた。
思っていた以上に厳しく、本気で取り組んでくれているようだ。
私もその期待に応えなければ。
音楽も、私の苦手な分野だ。
貴族の令嬢は楽器を身につけておく必要があるということで、私は公爵家に引き取られてから、遊びで習っていた(母に強制的に習わされていたけれど、やる気がなくてほとんど練習していなかった)ピアノを本格的に習い始めた。
けれど子供のころからしっかり音楽の勉強をしてきた他の令嬢たちにはとても追いつけていない。
「4か月でピアノをマスターできますか?」
私は講師のメランゾ先生に尋ねてみた。
「無理ですね」
先生は即答した。
「ですよね…」
「完璧にマスターすることは無理でも、ハッタリをかますことはできます」
「ハッタリですか?」
「そうです。貴族の好む楽曲をできるだけ多く弾けるようにしておくのです。ほとんどが技巧をそれほど必要としない曲ですので、4か月で弾けるようにすることは可能だと思います。あとはエレノア様が何曲弾けるようになるか。自分からこの曲を弾きますと言って弾くことは可能でも、リクエストされた時にボロが出ないようにするためには、できるだけ多く弾けるようにしておく必要がありますね」
「なるほど…。ひとまずおじい様に推薦状を書いていただく必要があるから、おじい様の好む曲をマスターしたいです」
「でしたら、最初の曲は『英雄伝の5番』にいたしましょう」
「はい、お願いします」
こうして私の4か月が始まった。
授業のない時間には、作ってもらった予想問題集を解いていく。
解いた問題は添削されて、時間のある時に出題意図や書いて欲しかったことなどを担当の先生が解説してくれた。
手が空いた先生方は、過去の王の中で選抜試験を行った王がいないか調べてくれたようだけれど、資料に残っているかぎり今回が最初らしい。
日中は授業、夜は昼の授業の自習と演習問題、カスタリア語しか使えない生活が始まった。
最初はもちろんやる気に満ち溢れていて、お腹の底からやる気がみなぎっていたのだけれど、2週間もすると、すこしサボり癖が出てしまった。
気合を入れなおすため、言われて悔しかった言葉を紙に書いて部屋中に貼ることにした。
“陛下のお妃に推薦できるレベルには、あなたはない”
カスタリア語しか使えないのでカスタリア語で紙に書き、部屋中の目につく場所に貼り出していく。
梯子を持ってきてもらって、天井にも張った。
さらに覚えなければならない単語や用語も書いて貼り出していく。
もとは薄ピンク色の壁紙に白い家具で統一された ♡お姫様のお部屋♡ という感じだったのが、呪いの部屋のようになってしまったけれど、確実に自分に喝を入れなおすことはできたと思う。
「よっし!やるわ!」
私は自分の頬を両手でたたき、気合を入れた。
この国ではカローベル語が公用語として使われているけれど、近隣の大国カスタリアの言語・カスタリア語も使える者が多いし使えたほうが便利だ。
けれど私は公爵家に来るまでカスタリア語をきちんと学んだことが無かった。
もともとは同じ言葉だったと言われているので、似ているからなんとなく言っていることは分かるような気もするのだけれど、まぁ苦手だ。
「4か月の訓練でカスタリア語を身につけられるものでしょうか?」
素朴な疑問を講師のアンバー先生にぶつけてみた。
「腕で覚えるくらい綴りの練習をしていただくのはもちろんのこと、授業外でも常にカスタリア語で生活して頂くのがいいでしょうね。すでにリンダさんをはじめ、お屋敷の皆さんにはエレノア様にはカスタリア語で話さなければならないと通知済みです」
アンバー先生はさらっと鬼畜発言をした。
「えっ、一日中ずっとですか!?」
「どんな厳しいメニューにも耐えると仰いましたよね?」
アンバー先生は笑っていたけれど、“もう自分の言葉を忘れたのか!”と目で訴えているような、迫力のある笑顔だった。
「もちろん、言いました!」
姿勢を正して、私は自分の認識を改めた。
思っていた以上に厳しく、本気で取り組んでくれているようだ。
私もその期待に応えなければ。
音楽も、私の苦手な分野だ。
貴族の令嬢は楽器を身につけておく必要があるということで、私は公爵家に引き取られてから、遊びで習っていた(母に強制的に習わされていたけれど、やる気がなくてほとんど練習していなかった)ピアノを本格的に習い始めた。
けれど子供のころからしっかり音楽の勉強をしてきた他の令嬢たちにはとても追いつけていない。
「4か月でピアノをマスターできますか?」
私は講師のメランゾ先生に尋ねてみた。
「無理ですね」
先生は即答した。
「ですよね…」
「完璧にマスターすることは無理でも、ハッタリをかますことはできます」
「ハッタリですか?」
「そうです。貴族の好む楽曲をできるだけ多く弾けるようにしておくのです。ほとんどが技巧をそれほど必要としない曲ですので、4か月で弾けるようにすることは可能だと思います。あとはエレノア様が何曲弾けるようになるか。自分からこの曲を弾きますと言って弾くことは可能でも、リクエストされた時にボロが出ないようにするためには、できるだけ多く弾けるようにしておく必要がありますね」
「なるほど…。ひとまずおじい様に推薦状を書いていただく必要があるから、おじい様の好む曲をマスターしたいです」
「でしたら、最初の曲は『英雄伝の5番』にいたしましょう」
「はい、お願いします」
こうして私の4か月が始まった。
授業のない時間には、作ってもらった予想問題集を解いていく。
解いた問題は添削されて、時間のある時に出題意図や書いて欲しかったことなどを担当の先生が解説してくれた。
手が空いた先生方は、過去の王の中で選抜試験を行った王がいないか調べてくれたようだけれど、資料に残っているかぎり今回が最初らしい。
日中は授業、夜は昼の授業の自習と演習問題、カスタリア語しか使えない生活が始まった。
最初はもちろんやる気に満ち溢れていて、お腹の底からやる気がみなぎっていたのだけれど、2週間もすると、すこしサボり癖が出てしまった。
気合を入れなおすため、言われて悔しかった言葉を紙に書いて部屋中に貼ることにした。
“陛下のお妃に推薦できるレベルには、あなたはない”
カスタリア語しか使えないのでカスタリア語で紙に書き、部屋中の目につく場所に貼り出していく。
梯子を持ってきてもらって、天井にも張った。
さらに覚えなければならない単語や用語も書いて貼り出していく。
もとは薄ピンク色の壁紙に白い家具で統一された ♡お姫様のお部屋♡ という感じだったのが、呪いの部屋のようになってしまったけれど、確実に自分に喝を入れなおすことはできたと思う。
「よっし!やるわ!」
私は自分の頬を両手でたたき、気合を入れた。
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❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
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