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3日かけて到着した帝都の王宮は、感動的なものだった。
小高い丘の上、緑の木々と青い空の中、白亜の宮殿は建っていた。
ドーム型の屋根が特徴的なその白い建物は、近づくにつれその大きさに圧倒されるほどになった。
敷地内の地面は白い大理石で覆われ、水路が通っている。
外から見ると真っ白な建物だけれど、内部は金と青を基調とした蔦模様の細かい装飾がされていた。
ため息が出るほど美しい。
これだけ大きな建物の内部を、天井に至るまで装飾するには、いったいどれほどの手間がかかっただろうか。
カーン王子の宮が住むための温もりある建物だとしたら、この王宮はその威容で見る者を圧倒し、国力の差を見せつけ戦意を喪失させる。
そんな意図で作られたものだと私には感じられた。
王宮の広間には、諸大臣方が集まっていた。
私たちの到着が知らされた後、皇帝陛下が登場した。
私はカーン王子に促されるまま隣を歩き、あいさつし、リナレイから持参した品々を皇帝陛下に献上した。
皇帝陛下は本当に気さくな方で、すごく緊張していたけれど、和やかな雰囲気のまま別れることができた。
何を話したのかはほとんど覚えていないけれど、献上品の説明をしたはずだ。
私は重要な役割が終わり、一息つく暇もなく、カーン王子とともに歩き、様々な方に紹介してもらった。
と言っても、この国の女性は家の外では顔を隠す文化だ。
私は正装用の薄いヴェールで顔を隠していて、紹介されても相手の顔が良く見えなかった。
同様に相手からも私の顔は見えなかっただろう。
今日紹介を受けたけれど、次に会って名前と顔が一致するとは思えなかった。
今回私はカーン王子に私の好みを把握してもらう必要があると考え、とにかく少しでもいいと思った人を次々とカーン王子に報告することにした。
私たちの部屋は王宮の2階に用意されている。
部屋の中ならば正装をする必要もない。
部屋に帰った私は正装用ヴェールをとり、一応顔を布で覆った。やっと視界がクリアになった。
部屋の窓からは、階下を歩く人たちの姿が見える。
私は早速チェックを開始し、カーン王子に報告した。
「王子、あのひとカッコよくないですか?」
「なるほど、パタヤ大臣か。確かに人柄も素晴らしいし打診してみるか」
「いや、あの一番前の人じゃなくて、大臣っぽい人の一歩後ろにいる若くてさわやかそうな感じの」
「まず、彼が誰かを確認してからでないと何とも言えないな」
「じゃあ、あの人は?あの門番の人イケメンじゃないですか?」
「ある程度地位と実績のある人物でないと無理だ。もし君に恋人がいることが発覚したら王室のスキャンダルどころでは済まされない。絶対に秘密にしなければならないことなのだ。もし相手が清廉な人物でなければ、この話をネタに王家を脅迫してくるという可能性もあるわけだからな」
「ちょっと気になったんですけど、そんな清廉な人物が秘密の恋人になろうなんてしますか?しないですよね、絶対。あれ?計画頓挫しちゃう感じですか?」
「やりようはあるはずだ。許容範囲内までは甘い汁を吸わせるとか、君の色気で意のままに操るとか」
「うわぁ。それができたら政略結婚で外国にいないですよ、私」
「だろうな。見れば分かる」
見れば分かる?
私が王子とジュメイラさんの関係を受け入れてから、私への王子の対応が雑になったような?私としては、この方が話しやすいからいいんだけど…。
小高い丘の上、緑の木々と青い空の中、白亜の宮殿は建っていた。
ドーム型の屋根が特徴的なその白い建物は、近づくにつれその大きさに圧倒されるほどになった。
敷地内の地面は白い大理石で覆われ、水路が通っている。
外から見ると真っ白な建物だけれど、内部は金と青を基調とした蔦模様の細かい装飾がされていた。
ため息が出るほど美しい。
これだけ大きな建物の内部を、天井に至るまで装飾するには、いったいどれほどの手間がかかっただろうか。
カーン王子の宮が住むための温もりある建物だとしたら、この王宮はその威容で見る者を圧倒し、国力の差を見せつけ戦意を喪失させる。
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王宮の広間には、諸大臣方が集まっていた。
私たちの到着が知らされた後、皇帝陛下が登場した。
私はカーン王子に促されるまま隣を歩き、あいさつし、リナレイから持参した品々を皇帝陛下に献上した。
皇帝陛下は本当に気さくな方で、すごく緊張していたけれど、和やかな雰囲気のまま別れることができた。
何を話したのかはほとんど覚えていないけれど、献上品の説明をしたはずだ。
私は重要な役割が終わり、一息つく暇もなく、カーン王子とともに歩き、様々な方に紹介してもらった。
と言っても、この国の女性は家の外では顔を隠す文化だ。
私は正装用の薄いヴェールで顔を隠していて、紹介されても相手の顔が良く見えなかった。
同様に相手からも私の顔は見えなかっただろう。
今日紹介を受けたけれど、次に会って名前と顔が一致するとは思えなかった。
今回私はカーン王子に私の好みを把握してもらう必要があると考え、とにかく少しでもいいと思った人を次々とカーン王子に報告することにした。
私たちの部屋は王宮の2階に用意されている。
部屋の中ならば正装をする必要もない。
部屋に帰った私は正装用ヴェールをとり、一応顔を布で覆った。やっと視界がクリアになった。
部屋の窓からは、階下を歩く人たちの姿が見える。
私は早速チェックを開始し、カーン王子に報告した。
「王子、あのひとカッコよくないですか?」
「なるほど、パタヤ大臣か。確かに人柄も素晴らしいし打診してみるか」
「いや、あの一番前の人じゃなくて、大臣っぽい人の一歩後ろにいる若くてさわやかそうな感じの」
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「じゃあ、あの人は?あの門番の人イケメンじゃないですか?」
「ある程度地位と実績のある人物でないと無理だ。もし君に恋人がいることが発覚したら王室のスキャンダルどころでは済まされない。絶対に秘密にしなければならないことなのだ。もし相手が清廉な人物でなければ、この話をネタに王家を脅迫してくるという可能性もあるわけだからな」
「ちょっと気になったんですけど、そんな清廉な人物が秘密の恋人になろうなんてしますか?しないですよね、絶対。あれ?計画頓挫しちゃう感じですか?」
「やりようはあるはずだ。許容範囲内までは甘い汁を吸わせるとか、君の色気で意のままに操るとか」
「うわぁ。それができたら政略結婚で外国にいないですよ、私」
「だろうな。見れば分かる」
見れば分かる?
私が王子とジュメイラさんの関係を受け入れてから、私への王子の対応が雑になったような?私としては、この方が話しやすいからいいんだけど…。
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