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私はめげずに好みを伝える作業をつづけた。
「あ、あの人はどうですか?」
「あぁ、あれは辺境部族の長・マディナ氏だ」
「その後ろにいる背が高くてイケメンのあの人」
「お前、さっきからイケメンイケメンって。確か口の堅く尊敬できる人がいいと言っていたはずだが、若くて背が高く見目の良い者ばかりを選んでいるではないか」
バレタカ。
「そうでしたか?全然気づかなかった。たまたまですよ、たまたま」
私は愛想笑いで誤魔化した。
「あ、見つけた。あの人偉そうなのに、かっこいいじゃないですか、あの人はどうですか?」
そう。今までは3人組で歩いている人の内、一歩下がった左右どちらかの人を選んで王子からダメ出しをされていた。
その人は、3人組の真ん中にいる人物で着ている衣装もとても上等そうだった。
「あぁ、あれは私の弟だ。だが、残念だったな。あいつは女性が苦手なのだ」
あらあらまぁまぁ。
女性が苦手ということは、男性が得意と言うことかしら。
それなら私は応援する側に回るしかないわね。
私がちょっと残念な気持ちで弟さんを見ていると、目が合ってしまった。
弟さんはすごく嫌そうな顔をして私から目をそらした。
綺麗な顔の人が嫌そうな顔をすると、本当に嫌だという気持ちがすごく、伝わってくる。
うぅむ。あれはもしかすると、女性が苦手なのではなく女性嫌いかもしれない。
このように、こそこそと王子と連日男漁りをしていたのをどうやら多くの人に見られていたそうなのだ。
私から見えるということは、相手からも見えるということで。
すっかり忘れていたけれど王族と言うのは、その場にいるだけで人の視線を集めてしまう存在。
そして、私はこの国の王族であるカーン王子と結婚した女性ということになっている。
私には全く自覚が育っていないし、その実態もないけれど、世間的に私はカーン王子の第一妃だった。
私も表面上はこの国の王族になってしまったのだ。
リナレイでの私は、社交界デビューしていたものの、デビューしてすぐにカーン王子との婚約が決まったため王宮に閉じこもって勉強していることが多く、人目を集めるということがあまりなかった。
そのため人目を気にした行動というのをあまりしてこなかった。
気づいた時には私と王子はすごく仲のいいおしどり夫婦と思われてしまったそうなのだ。
王子に紹介されてお話しさせていただくと、「まぁ、本当にお二人は仲がおよろしいようで、良かったです」なんて言われることも多々あった。
話している内容が内容だけに、自然と二人の距離はかなり近いものになっていたのもよくなかった。
清い関係だけれど確かに夫婦なのだから仲がいいと思われて悪いことはないと思う。
けれど、ジュメイラさんの耳に入ったら不快な思いをさせてしまうかもしれないと少し不安になった。
そして最終日、私は攫われた。
「あ、あの人はどうですか?」
「あぁ、あれは辺境部族の長・マディナ氏だ」
「その後ろにいる背が高くてイケメンのあの人」
「お前、さっきからイケメンイケメンって。確か口の堅く尊敬できる人がいいと言っていたはずだが、若くて背が高く見目の良い者ばかりを選んでいるではないか」
バレタカ。
「そうでしたか?全然気づかなかった。たまたまですよ、たまたま」
私は愛想笑いで誤魔化した。
「あ、見つけた。あの人偉そうなのに、かっこいいじゃないですか、あの人はどうですか?」
そう。今までは3人組で歩いている人の内、一歩下がった左右どちらかの人を選んで王子からダメ出しをされていた。
その人は、3人組の真ん中にいる人物で着ている衣装もとても上等そうだった。
「あぁ、あれは私の弟だ。だが、残念だったな。あいつは女性が苦手なのだ」
あらあらまぁまぁ。
女性が苦手ということは、男性が得意と言うことかしら。
それなら私は応援する側に回るしかないわね。
私がちょっと残念な気持ちで弟さんを見ていると、目が合ってしまった。
弟さんはすごく嫌そうな顔をして私から目をそらした。
綺麗な顔の人が嫌そうな顔をすると、本当に嫌だという気持ちがすごく、伝わってくる。
うぅむ。あれはもしかすると、女性が苦手なのではなく女性嫌いかもしれない。
このように、こそこそと王子と連日男漁りをしていたのをどうやら多くの人に見られていたそうなのだ。
私から見えるということは、相手からも見えるということで。
すっかり忘れていたけれど王族と言うのは、その場にいるだけで人の視線を集めてしまう存在。
そして、私はこの国の王族であるカーン王子と結婚した女性ということになっている。
私には全く自覚が育っていないし、その実態もないけれど、世間的に私はカーン王子の第一妃だった。
私も表面上はこの国の王族になってしまったのだ。
リナレイでの私は、社交界デビューしていたものの、デビューしてすぐにカーン王子との婚約が決まったため王宮に閉じこもって勉強していることが多く、人目を集めるということがあまりなかった。
そのため人目を気にした行動というのをあまりしてこなかった。
気づいた時には私と王子はすごく仲のいいおしどり夫婦と思われてしまったそうなのだ。
王子に紹介されてお話しさせていただくと、「まぁ、本当にお二人は仲がおよろしいようで、良かったです」なんて言われることも多々あった。
話している内容が内容だけに、自然と二人の距離はかなり近いものになっていたのもよくなかった。
清い関係だけれど確かに夫婦なのだから仲がいいと思われて悪いことはないと思う。
けれど、ジュメイラさんの耳に入ったら不快な思いをさせてしまうかもしれないと少し不安になった。
そして最終日、私は攫われた。
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