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見せられた紙は、私が隣の商会で見たものとよく似ていた。
「あぁ、そうそうこれです。あの紙にも、これと同じように『茶 20袋』『豆 50袋』とか書いてあったんですよ。読めたけど、中身はありふれたことが書いてあった。何かの注文書みたいな。だからあれが見たらまずい文書だとは思わなかったんです」
「読めるのか?」
「もしかして解読できてないですか?じゃあ教えましょうか?」
「まだ手に入れて間もないだけだ。だが、頼む」
「まず、これは文字は違うものが当てられているけれど、ランゲルト語で書かれているということを意識してください。そうだとするとこの中で一番多く出てくる『φ』がランゲルト語で一番多く使われる『e』という文字です。『e』が一番多く使われるのは同じ言語族に属するリナレイ語も同じだから、確かだと思います。ランゲルトは皇帝が統治する軍事国家です。この文章には一番初めと最後に同じ文字列があります。ランゲルトの文章で一番初めと最後に同じ言葉が書かれているとしたら、それは『皇帝陛下万歳』だと私は思いました。そうだと思って読んだら、文字と文字が一致して、全部解読できました」
「なるほどな」
「でも中身は単なる注文書ですよね?それが何かすごい文章なんですか?もしかしてランゲルトが何か企んでるんですか?」
私はふと外を見た。
夕日が沈みかけている。
そろそろ帰らないと夕食の時間に間に合わない。
アクラムに私がいないことがバレてしまう。
「ごめんなさい。なんだかすごく火傷したところが痛くて、調査に協力したい気持ちはあるんですけど、そろそろ帰って休みたいの。いいですか?」
これは早く帰りたくて言ったことだけど、火傷したところが痛いのは本当だ。
痛み止めを飲んで少し楽になったけど、それでもやっぱり痛い。
「家はどこだ?この文章を見て、しかも目の前で解読したなら、君が狙われて放火された可能性が高い。危険だ。どこに住んでいる?小隊を派遣して家の周辺を警備させよう」
あの通路は王族専用の通路で、王族以外が知ってはいけないはず。
あの家に住んでいると言うのは危険だ。
「まだ2週間前にここに流れついたばかりだから家はなくて、その辺の宿に泊まってます」
「そうか。しかしそんなところに泊まられて、また放火でもされたら、周りに迷惑がかかる。そうだな、それなら安全な場所に心当たりがある。今日はそちらに泊まってもらおう。そして明日また、話を聞きたい」
どうしよう。
大変なことになった。
余計なことを言わなければよかった。
でも命を狙われてるなら言ってよかったとは思うんだけど。
とにかく帰れなくなっちゃった。
アクラムに私がいないことがバレちゃう。
どうしよう。
考えてなかったけど、私がいなかったらアクラムが叱責を受けるんじゃ?
…というか、今更気づいたけど、後宮から人が消えたら大問題になって捜索活動が始まっちゃいそう。
困った。
どうしよう。
私は州兵の格好をさせられ、同じ格好をした4人の男性に連れられて、促されるままに歩いた。
私たちはアルラシード宮殿に入っていく。
先日嘆願書を届けに来たときは、こんなに奥まで入らなかった。
やはり手の込んだ芸術的な建築物を見るのは楽しい。
街中では誰も何も話さなかったけれど、宮殿の中の人気のない場所に来ると、小隊長と呼ばれていた1人の男性が説明を始めた。
「明日、あなたの体調を見てまた迎えに来ます。それまでは後宮で過ごしてください。スワイマン殿下には許可を取ってあるし、殿下は外出中なので来ることもないそうです。一番安全な場所ですので、ゆっくり過ごしてください」
到着した場所は、後宮だった。
「あぁ、そうそうこれです。あの紙にも、これと同じように『茶 20袋』『豆 50袋』とか書いてあったんですよ。読めたけど、中身はありふれたことが書いてあった。何かの注文書みたいな。だからあれが見たらまずい文書だとは思わなかったんです」
「読めるのか?」
「もしかして解読できてないですか?じゃあ教えましょうか?」
「まだ手に入れて間もないだけだ。だが、頼む」
「まず、これは文字は違うものが当てられているけれど、ランゲルト語で書かれているということを意識してください。そうだとするとこの中で一番多く出てくる『φ』がランゲルト語で一番多く使われる『e』という文字です。『e』が一番多く使われるのは同じ言語族に属するリナレイ語も同じだから、確かだと思います。ランゲルトは皇帝が統治する軍事国家です。この文章には一番初めと最後に同じ文字列があります。ランゲルトの文章で一番初めと最後に同じ言葉が書かれているとしたら、それは『皇帝陛下万歳』だと私は思いました。そうだと思って読んだら、文字と文字が一致して、全部解読できました」
「なるほどな」
「でも中身は単なる注文書ですよね?それが何かすごい文章なんですか?もしかしてランゲルトが何か企んでるんですか?」
私はふと外を見た。
夕日が沈みかけている。
そろそろ帰らないと夕食の時間に間に合わない。
アクラムに私がいないことがバレてしまう。
「ごめんなさい。なんだかすごく火傷したところが痛くて、調査に協力したい気持ちはあるんですけど、そろそろ帰って休みたいの。いいですか?」
これは早く帰りたくて言ったことだけど、火傷したところが痛いのは本当だ。
痛み止めを飲んで少し楽になったけど、それでもやっぱり痛い。
「家はどこだ?この文章を見て、しかも目の前で解読したなら、君が狙われて放火された可能性が高い。危険だ。どこに住んでいる?小隊を派遣して家の周辺を警備させよう」
あの通路は王族専用の通路で、王族以外が知ってはいけないはず。
あの家に住んでいると言うのは危険だ。
「まだ2週間前にここに流れついたばかりだから家はなくて、その辺の宿に泊まってます」
「そうか。しかしそんなところに泊まられて、また放火でもされたら、周りに迷惑がかかる。そうだな、それなら安全な場所に心当たりがある。今日はそちらに泊まってもらおう。そして明日また、話を聞きたい」
どうしよう。
大変なことになった。
余計なことを言わなければよかった。
でも命を狙われてるなら言ってよかったとは思うんだけど。
とにかく帰れなくなっちゃった。
アクラムに私がいないことがバレちゃう。
どうしよう。
考えてなかったけど、私がいなかったらアクラムが叱責を受けるんじゃ?
…というか、今更気づいたけど、後宮から人が消えたら大問題になって捜索活動が始まっちゃいそう。
困った。
どうしよう。
私は州兵の格好をさせられ、同じ格好をした4人の男性に連れられて、促されるままに歩いた。
私たちはアルラシード宮殿に入っていく。
先日嘆願書を届けに来たときは、こんなに奥まで入らなかった。
やはり手の込んだ芸術的な建築物を見るのは楽しい。
街中では誰も何も話さなかったけれど、宮殿の中の人気のない場所に来ると、小隊長と呼ばれていた1人の男性が説明を始めた。
「明日、あなたの体調を見てまた迎えに来ます。それまでは後宮で過ごしてください。スワイマン殿下には許可を取ってあるし、殿下は外出中なので来ることもないそうです。一番安全な場所ですので、ゆっくり過ごしてください」
到着した場所は、後宮だった。
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