後宮に入りましたが、旦那さんが来ないので恋人を探します

国湖奈津

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「すまない。私は君が何を言っているのか分からない。私の恋人?協力?どういうことだ?」

そうか、スワイマン殿下は私がスワイマン殿下の秘密に気付いているとは思っていないから、分からないのか。

「えっと、実は私はカーン王子から聞いてスワイマン殿下には男性の恋人がいて、その恋人との仲をカモフラージュするために私を後宮に入れたことを知りました。なので、私はスワイマン殿下と恋人との仲を応援します。今度、部屋に二人で遊びに来てください!」

私は親指を立てて笑顔でスワイマン殿下を見た。

スワイマン殿下は「兄上ッ!何を教えてる!」と言って項垂れた。

大人っぽいスワイマン殿下が、少しだけ子供っぽく見えてなんだか可愛い。

「違うんですか?」
「全然違う」
スワイマン殿下は頭を抱えている。

「じゃあ、なんで私をカーン王子からもらったんですか?」

沈黙が流れた。

スワイマン殿下は、話そうか話すまいか迷っているように見える。
私は水を向けてみることにした。

「スワイマン殿下、私はすべての愛を応援したいと思っています。愛に性別は関係ありません。だから、私に隠さなくても大丈夫ですよ」

私は力説した。

「その考えからは離れてくれ」
スワイマン殿下は言って、すこし姿勢を正すと話し始めた。

「私は子供の頃、カーン兄上と、ジュメイラと仲良くさせてもらっていた。そのことは知ってるか?」
私はうなずいた。

「兄上とジュメイラは子供の頃から相思相愛で。私も子供の頃はジュメイラが好きだったが、子供にとって4歳の年の差は大きい。ジュメイラは私のことなど男だとは思っていなかった。でも私は尊敬する兄上がジュメイラを大切にしてくれるなら、それでいいと自分に言い聞かせていた。ジュメイラが16歳の時、兄上との婚姻の話が進んでいた。しかしジュメイラは行方不明になった。私も兄上もそれはそれは落ち込んだ。ところが奇跡が起きて、10年経ってジュメイラは見つかり、兄上はジュメイラを娶った。私は自分のことのようにうれしかった。それなのに君が現れた。王宮での式典の時、君と兄上はおしどり夫婦だと話題になった。私も君たちが仲睦まじく微笑みあっているのを何度も見た。兄上にはジュメイラがいる。君は邪魔だ。私はそう思った。それで兄上から君を遠ざけるために、欲しいと言ってみたら兄上があっさり私にくれた。そういった次第だ」

スワイマン殿下は言いにくそうにしながらも、話してくれた。

要するに、推しカプ(カーン×ジュメイラ)の間に邪魔な女(私)が入って来たので、排除しようと思って私をもらったと、そういうことのようだ。

確かにカーン王子とジュメイラさんのカップルは、見ている方も幸せになれるような幸せオーラを持っていて、守りたくなる。

二人が相手を思い合っているのが伝わってくる。
私以上に長い間二人を見守って来たスワイマン殿下からすれば、その思いは一層強いだろう。

なるほど。
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