後宮に入りましたが、旦那さんが来ないので恋人を探します

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船旅を楽しみながらゆっくり帰り、アルラシード宮殿の後宮に入った私は、門を守るアクラムを見つけた。

スワイマン殿下は私がカーン王子の所にいるという手紙を受け取ると、私に謝罪するチャンスだと思い、すぐに出発したそうで、後宮には何も指示を出さなかったらしい。

つまり私がものすごくアクラムのことを心配している間も、アクラムはいつも通り仕事をしていたということだ。
たぶん、私の手紙を見つけて少しは怒っていたと思うけど。

部屋に戻ってゆっくりしていると、アクラムがやってきた。

「大変です。ジェーン様。今夜スワイマン殿下が来られるそうです。ついにこの日が来ました」
アクラムは顔を輝かせている。

一応こうなるだろうと、心の準備はできているはずだけど、なんだか緊張してしまって、私は「あ、そう」と無表情でアクラムに対応した。

アクラムは「もっと喜んでください」と言ってひとりで喜んでいた。


部屋で一人になった私は、ジュメイラさんからもらったお土産をベッドの上に広げていた。

この国の女性は、外でおしゃれできない分、家の中、つまり夫の前で ものすごくおしゃれする。
それは夜も同じだそうで、ジュメイラさんは私に夜の衣装をプレゼントしてくれた。

とてもセクシーなそれは、シルクとレースでできたスケスケの１着で、防御力は限りなく0に近い。

「郷に入っては郷に従えだ！」
私は自分に言い聞かせて、ジュメイラさんからもらった衣装を着て、スワイマン殿下が来るのを待った。

私は落ち着かず、そわそわと部屋の中を歩き回っていた。

ノックがして、私はすぐにドアの所でスワイマン殿下を出迎えた。

スワイマン殿下は私を慎重に抱き上げ、寝室に運ぶと私を組み敷き、私にキスをしながら私の身体を愛撫した。

え？
私はあまりの展開の速さについて行けない。
もっとこう、お話したり、お酒を飲んだり、そういう場の空気やムード作りをしてからするんじゃないの？

「まって、あの、するの？」
「もう待てない。兄上の宮で君を見た時からずっとしたくてたまらなかった」

嘘でしょ。信じられない。
ずっと普通に話してて、そんなの全然きづかなかった。

話ながらも、私の身体は愛撫され続けている。

「まって、お酒用意したから飲む？」
「いらない。先に君のを飲む」

まずい。
何か言わないと、何か。

「ジェニファーに懸賞金をかけて探してたのはあなた？」
「そうだ。ジェニファーは手元に置いて、ジェーンの許しを得たら後宮に迎えるつもりだった。それなのにジェニファーは忽然と消えてしまい捜していた」

徐々に愛撫する手が下に向かって行く。
もっと他に何か話さないと！

「なんでカーン王子はあなたが女が苦手だと思ってたの？」
私が言うと、スワイマン殿下の手の動きが止まった。

「それは…」
「それは？」

「それは、ジュメイラに『どんな子がタイプなの？』って聞かれたくなくて言った言葉だ」

なるほどなぁ。ジュメイラさん恋愛脳だから無邪気に聞きそう。
好きな人に聞かれたら、辛いなぁ。

「もう質問は受け付けないぞ」

私の口を塞ぐように、濃厚な口づけが始まった。
再び手が妖しく動き出す。

その夜、私は眠れぬ夜をすごした。