子を奪われた王大子妃は王女に転生して復讐を誓うことにした

獄○○に封印された人

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第九話 処刑誓て

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 一睡もすることなく、処刑の日はやってきた。

『リリネット・ド・アルガン! 貴様はヒトリ王太子殿下を裏切り、更に新王太子妃であるアンジュレア様にも
 無礼を働いた! よってその罪は重い。これより、ヒトリ王太子殿下の命により貴様を処刑する!』

 処刑執行官が冷たく叫んだ。
 貴族らは汚いドレスを身にまとっている私を取り囲み見物している。
 
 新王太子妃――アンジュレアは勝ち誇った顔をしながらワインを喉に流し込み、私を見るなり微笑んだ。
 まるで「処刑おめでとう」とでも言っているように。
 その隣でヒトリ王太子は私に見せつけるようにアンジュレアに口づけをした。
 
『リリネット元王太子妃、早く断頭台に登れ!』

 執行官が私に怒鳴ると、私の周りをぐるりと囲んでいる貴族らが声を荒げた。
 「裏切り者は早く死ね!」
 「リリネットに断罪を!」
 「史上最悪の悪女は消えろ!」
 「アンジュレア王太子妃様に謝れ!」
 「地獄に落ちろ!」
 
 貴族らの無数の”声”が私の耳に入ってくる。
 その言葉は止むことなく、私の心をえぐる。
 
 ――誰も私を助けようとはしない。
 ――ヒトリと結婚したときは心から祝っていたというのに。
 ――が何をしたというのだ?
 ――私は処刑されるべき人間なのか?

 違う、違う、違う。
 本当に断罪されるべきはアンジュレア。
 本当の裏切り者はヒトリ。
 地獄に落ちるべきは私を貶めたフラーム。

 私の心の中で凄まじい憎悪が溢れ出す。
 だが今更、断頭台から引き返すことなどできない。
 
 ――私は潔く断頭台に頭を置いた。
 
 ふざけるな。
 どうしてここまで私を追い詰める?
 私の大切な子すら奪い、のうのうと生きていられるアンジュレア、お前が憎い。
 あんなにレオンを欲しがっていたというのに、何故レオンが泣いたくらいで怒鳴る?

『ヒトリ王太子殿下の命により、これよりリリネット元王太子妃の処刑を実行する!』

 執行人の処刑実行宣告。
 貴族らの興奮の叫び声。
 
 これから殺される苦しさと恐怖に、私の心臓の鼓動は大きく波打つ。 

 嗚呼、一体私の人生は本当に何だったんだろう。
 つまらない。
 惨めな。
 滑稽で。
 最悪な。
 最低で。
 不幸な。
 略奪愛と。
 嫉妬だらけの。
 何もない。
 汚辱的で。
 哀しみに溢れた――

『さよなら』

 アンジュレアの一声。
 その小さな声がなぜか私だけに聞こえた気がした。


 もう二度と私はお前らを許さない。
 もう二度と私から何も奪わせない。
 もう二度と私はお前らを地獄の果てまで追い詰める。
 もう二度と私は――

 上から刃が落下する音が耳に達した刹那、私の首に張り裂けるような激痛が走る。
 心臓を潰されたような激しい痛みを一瞬感じたあと、目の前が真っ暗になった。
 瞬刻の間に、私の意識は燃え尽きた蝋燭のように消えた。
 
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