子を奪われた王大子妃は王女に転生して復讐を誓うことにした

獄○○に封印された人

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第八話 独房

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『貴様の処刑は決定事項だ。俺がこんな事情聴取をしたのは、貴様がどのような心情なのか知るため。しかし、貴様が反省していようがいまいが、処刑は確定だ』

 雨水が滴り落ちる音が取り調べ室に響いた。
 無機質な灰色が広がる石造りの壁床。
 
 看守は「話はこれで終わりだ」と言い、私の腕を乱暴に引っ張った。
 彼はヒトリの様に怒りをあらわにしているわけでもなく、かといって無関心というわけでもない。
 看守からは何の感情も感じ取れないのだ。
 あの威圧的な態度は何だったのか、と思うほどに。

『貴方は……』
『喋るな。口を開けば冷気が肺の中に入る』

 冷たい石床の上、私が言葉を発すると、看守がそれを止めた。
 これが心配しているのか、それとも単純に死刑囚に死なれては困るからなのかは分からない。
 だが少なくとも――私の死は確定している。
 
 レオンを凶暴な母親から守ることすらできずに、私は死んでいく。
 国民の権利である裁判など行われなかった。
 恐らく、それはアンジュレアの意向だろう。
 裁判をしフラームの証言が虚偽であることが発覚すれば、アンジュレアは信頼を無くす。
 もうすぐアンジュレアは王太子妃になることだろう。
 そして王妃となり、この国を破滅に導いていく。
 そんな未来が、私の頭の中で容易く想像できていた。
 
「ここが貴様の独房だ。貴様の処刑は明日である。それまで大人しくていろ」
 
 看守は私を独房に入れ、施錠して立ち去って行った。
 独房にはミニテーブルの上に粥が、穴あき薄布が布団代わりに地べたに置いてある。
 
「私の人生は何だったの……」

 目の前にある栄養がまるで無さそうな粥を喉に流し込みながら、私は床に座り壁にもたれかかる。
 人参が一切れ入った粥を食べても、何ら動く気力はこみあげてこなかった。
 
 決して私の人生は幸せではなかった。
 幼いころから王太子妃候補として厳しい嫁入り修行を強いられ、一日中スパルタ教育を受けた。
 それでも、王太子妃となる事を夢見て努力をし、遂に憧れの王太子妃となった。
 だが、それもアンジュレアによって奪われ、初めての子すら略奪された。
 愛していた夫も私を蔑み、代わりにアンジュレアを娶った。

 あの時の必死の努力は何だったんだろう?
 あの時の愛情は何だったんだろう?
 あの時の裏切りは何だったんだろう?

 よく考えれば、私が貴族に生まれなければこんなことにはならなかったのかもしれない。
 どんなに下の身分でも、どんなに貧乏でも、温かい家があって、抱きしめてくれる家族がいればそれで幸せだったのかもしれない。
 
 けれども、もう遅い。
 私がどんなに泣き叫ぼうと、抗おうと、私は明日処刑される。
 
 夫を裏切った悪女として。 
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