子を奪われた王大子妃は王女に転生して復讐を誓うことにした

獄○○に封印された人

文字の大きさ
7 / 9

第七話 処刑

しおりを挟む

 分かっていることであった。
 復讐心で動き、結果的にアンジュレアに嵌められた。
 そして投獄され――私が行きつく先は断頭台。
 即ち処刑である。
 身分が上の者は下の者に何をしてもよい、それはこの国のルールであり常識だ。
 私はあの舞踏会場で正式に王太子妃では無くなった。
 貴族議会で話し合うこともなく、ヒトリの独断によって決められた。
 だが、あの場でヒトリに反論する者など誰もいなかった。
 結局私は、すべてを奪われても何もできなかったのである。
 子を守ることすら――

 ***


『リリネット、貴様はヒトリ王太子様の命令で今から聴取を受ける。
 担当は俺だ。いいか、嘘偽りなく話せ。すべてをだ』

 がっしりとした体つきの看守は、そういって私を地下取り調べ室へと連れてきた。
 薄暗く、じめじめとした取り調べ室には机と椅子が置いてあるだけ。 
 看守は足を組み口をへの字に結び、不気味な雰囲気を漂わせながら言葉を続けた。

『まず、貴様は騎士との逢引、およびアンジュレア様に不敬を働いた罪でここに来ているわけだ、それは理解しているな?』
「理解はしておりません」
「ふむ……この場に及んでまだ言い訳を?」
 
 看守の口調が強くなる。
 冷気が漂う取り調べ室で私は体が震えるが、看守は寒さなど気にせずに私を凝視する。

「騎士との逢引についてだが、証人がいると聞いた。これはその証人――フラームの供述書だ。確認しろ」

 机の上に乱暴に置かれた書類。
 フラーム・コーラスとの署名が書かれた供述書を見ると、そこにはあり得ない証言が連なっていた。

 【1 いきなり私にリリネット様が近づき、抱き着かれた
  2 そして口づけをされ、服を脱ぐように強制された
  3 顔中を舐められ、今宵はともに過ごそうと脅された
  4 私は逃げようとしたが、貴方はヒトリ王太子の代わりと言われてベッドに突き飛ばされた
  5 夜は怖くて眠れず、リリネット様が眠られた後に私は逃げた】

 
 1から5まで、すべてそのフラームという男の妄言が震えた文字で記されている。
 少しばかり紙がふやけている箇所があり、それがフラームの涙だと思うと恐ろしかった。
 偽りの証言をし人を貶め、更に己の妄想で涙を零す――私は身の毛がよだった。

「これの凡てが虚偽です。これは完全なるフラームの妄言です」
「……ほう、なるほど」
「私はフラームという者にこのような恥ずかしい行為をしたりはしておりません」

 看守は首をゆっくりと縦に振り頷いた。
 瞳を閉じているので、私のいう事を聞いているのかと思ってしまう。
 最初の威圧的な雰囲気はまるでなくなっていた。
 
『そうか……もう貴様は分かっていると思うが、貴様には処刑の道しか残されていないぞ?』

 淡々と処刑宣告をした看守は、つぶっていた目を開いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

処理中です...