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第17.5話 明日の敵と昨日の友のタイヤ
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(くそっ、アマチタダカツめ……いったいどんな手段を使いやがった!?)
鹿番長が悔しがる。足にはもう力が入らない。まるで限界まで長距離を走り続けたような感覚……もっとも、それに限りなく近い事をしているわけだが。
(それでも、まだ走行たはずだ。チクショウ!)
考えても分からないので、とりあえず回復を行う。と言っても、鹿番長がアスリートらしい合理的な回復法を知っているはずがない。
食ったら治る。そのシンプルな節理を信じて、彼は牛丼屋にいた。本日の注文は3種のチーズ牛丼メガ盛りと、カレー大盛。そして豚汁おしんこセット。冷静に考えたら2~3人前の量だが、自転車に乗っている男子中学生にとっては標準かもしれない。
「失礼。隣、いいかな?」
バクバクと食べ進める鹿番長の横に、赤い服を着た中年男性が座る。いや、初老だろうか。全身を赤でコーディネイトした服装が、あまり一般的でないことは分かる。右手には見たことのある緑色の腕輪。
「あんたも、出場者か?」
鹿番長が訊く。その腕輪は、出場者全員に配られたGPS付きのものだ。初老の男性はにやりと笑い、言った。
「――私はかつて、シャア・アズナブルと呼ばれたこともある男だ」
「……ふーん」
「今の私は、ただの自転車乗りだよ」
「……へぇ」
正直、世代じゃないからネタが分からない。シャアの名前くらいは聞いたことがある。赤い人だ。それ以上の何も知らないが。
「で、そのコスプレアニメオタクの爺さんが、チャリチャンに出場るのはどんな意味があんだ?まさかこの大会を、コスプレイベントかなんかと間違ってねぇだろうな!?」
椅子に座ったまま、特攻服の裾を翻した鹿番長。そのリーゼントの下から、強い眼光を放つ。
「君のコスプレも似合っているが?」
「誰がコスプレだ!俺のこれは普段着だぞ」
牛丼屋の店員は、そんな二人を奇異の目で見ている。ついに店員が一人こらえきれずに笑いだし、もう一人の店員がつられて笑う。
「ごっ、こちゅ、もん……ぷくくっ、決まりましたら、ボタンでお呼びください……ぷっくはっ!ごごごゆっくり、どうぞぉ」
シャアっぽい人にお冷を運んできた店員は、必死で笑いをこらえながら奥に戻ろうとする。それをあえて、シャアっぽい人は引き留めた。
「注文は決まっている。キムチ牛丼を大盛だ。それと、紅ショウガを補充してくれないか?おそらく足りない」
「ぶっはぁっ!」
ついに店員が立っていられなくなったため、奥から別の店員が交代。
「大変失礼いたしました。キムチ牛丼大盛をおひとつですね。紅ショウガの方、こちらをお使いください」
ベテランっぽい店員は、別なテーブルから紅ショウガを持ってくると、注文を確認して奥に引き込む。そして笑い転げていたバイトを奥で叱りつけているようだった。
「丁寧な接客だな」
「ひでぇ皮肉だぜ……つか、バイトを撃墜すなよ」
「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」
「いや、お前そんな若くねぇだろ!」
鹿番長のツッコミを受けたシャアっぽい人は、今日の食事が愉しいものになると確信する。ニュータイプの直感だ。
「私の事は、そうだな……彗星と呼んでくれて構わないよ」
「……名乗られたら仕方ねぇな。俺は鹿番長。夜路死苦」
チャリンコマンズ・チャンピオンシップという大会の最大の特徴は、区間を分けないことにあるだろう。走りっぱなしの21日間だからこそ、誰かが休憩している間にもレースが続いていくのだ。
つまり、鹿番長と彗星が牛丼を食べている頃、砂浜では何台もの自転車がしのぎを削っていた。
『夜の砂浜って、暗くて何も見えないですよねぇ。満天の星空の下、どんなえっちな事をしても気づかれませんよぉ。ああ、でも、誰かが偶然近づいてきたらどうしよう。そんな不安が、いっそう興奮させてくれるんですよねぇ』
ミス・リードが、実況ほったらかしで何かほざいている。何事かと思えば、
『つまり、皆さんは安全のため、ライトを点けて走行することをお勧めしますって事ですぅ。まあ、ライトなんかついてないって自転車も多いでしょうけど、事故っても実行委員は責任を持てませんからねぇ』
つまり、暗いから気をつけろと言いたかったらしい。どうして無理やりにでもエロを挟むのか、それは謎だ。
(まあ、ミス・リードの実況も聞きなれると心地いいな)
氷堂綺羅は、ぼんやりとそんなことを考えながら、砂浜を走っていた。恐るべきは、ぼんやり考えながら走れるだけの走破性を有した2WD自転車の性能だ。
本来こういった砂の中なら、後輪が滑り始めただけで車体が停止する。それは多くの自転車が後輪駆動だからだ。一方DOUBLEは違う。チェーンとユニバーサルジョイントによって前輪にも駆動をかけるため、前後どちらかの車輪がグリップしていれば進める。
(体力の消費は大きいが、確実に進めるメリットも大きいな。この2WDという機構、ビーチクルーザーにでも採用したら面白そうだ)
もともと見た目の派手さを重視するビーチクルーザーとは、デザインやコンセプト的にも相性がよさそうだ。なぜ今まで誰も作らなかったのか疑問に思うほどである。
(いや、それでも値段が高くなりすぎると売れないか。うーむ)
改めて、自分の乗っている2WDの性能を見直す。こうして知らなかったことを発見するのが、綺羅にとっての楽しみだった。自転車には、まだ発掘されていない可能性が沢山ある。それを綺羅は知りたいのだ。
(スパイクタイヤは役に立たないか。やはりこれはアイスバーン専用だな。柔らかい砂の上では……むしろスノータイヤの出番なのかもしれない)
そう考えて、さらに進む。後ろから、2台のハードテイルバイクが追い上げてきていた。
彗星が使った紅ショウガの量は、意外にも普通だった。もっと山ほどてんこ盛りに使うと思っていた鹿番長は、少しがっかりする。
「それで、先ほどの話の続きだが……」
「ああ、どうして太いタイヤが有利かって理屈だったよな?」
ロードバイクにしか乗ったことがないと語る彗星は、鹿番長の極太タイヤに興味を示していた。少なくとも彗星の知る限り、タイヤが太いことのメリットはない。
「私の知る限り、タイヤが太いという事は、それだけ摩擦が分散するという事だ。表面積の広さから滑りにくくなるように見えるかもしれないが、1cm²あたりの摩擦力は低下するので、トータルで見れば同じだけ滑るのではないか?」
と、彗星は語る。もちろん、鹿番長の車体を否定したいわけではない。ただ純粋に知りたいだけだ。
そんな彼の意をくみ、鹿番長もしっかり答える。
「そもそも、オンロードで塵一つ落ちてないくらいに磨かれた路面なら、タイヤの太さはグリップに影響しない。そこは彗星の言う通りだぜ。ただ、そんな路面状況はあり得ない。つまり考える意味がないんだ。
で、雪の場合だが、摩擦がどうのって理屈じゃなく、雪をどう捕まえるか、だ。ブロックタイヤを突き刺す考え方でいい。刺さるような突起が増えれば増える程、雪に引っかかる。
雪の結晶は巨大い。だからスタッドに溝を掘るとき、細い溝を掘ったって刺さらないんだ。必然、太い溝を掘るっつーか、ブロック同士の間隔をあける必要があるわけよ。
っつーことになると、自転車のタイヤは細すぎるだろ?だからブロックの数を増やすために、十分な表面積を確保する都合があるわけだ。
つまり、タイヤそのものが太いから滑らないんじゃなく、太い溝をたっぷり刻むから滑らない。ここまでは理解ったな?」
鹿番長の丁寧な説明に、彗星は納得する。やはりこういうことは経験がものをいう世界だ。自転車歴などという年数じゃなく、一年でどれだけの経験を積んだかに依存する。
事実、彗星は30年以上のロードバイク歴を持つが、雪の上を走ろうとしたことは一度もない。それに比べると、ファットバイクと言う選択肢にたどり着き、若くしてそれを乗りこなす鹿番長は、今まで様々な自転車で雪道に挑み続けたことが解る。
「ところで、この時点で君の説明に疑問が生じる。いいかな?」
「なんだ?何でも聞いてくれ。回答えてやるよ。学校じゃ教育えられねぇトコまでな」
この自信である。
「巷では、ブロックタイヤはオフロード用で、雪にはスタッドレスだと聞いたことがある。タイヤメーカーすら言っていることだが……鹿番長君の意見は?」
「ああ、自動車のタイヤは理屈が違うんだよ。そもそも乗用車は50cmも積もると埋まって走れないだろう?だから乗用車が言う雪道っていうのは、厳密にいえば雪道じゃなくてアイスバーン程度なんだ。圧雪された後とかの、な。
一方、俺の相棒は本物の雪道に対応する。除雪車の陰に隠れないと何もできない自動車ごときとは性能が違うぜ。
で、アイスバーンと雪道の違いなんだが、前者は氷が濡れているから滑る。乾いた氷は滑らない。何かのCMでもやってたよな?だから水を吸い上げるよう、細くて深い溝が欲しくなるんだ。毛細管現象ってやつな。
一方、パウダースノーっていうのはそもそも濡れてない。だから毛細管現象を起こす意味もないんだ。こうなってくると、足元の雪をどれだけ掴むかが大切になってくる」
まとめると、摩擦、吸着、刺突の三種類のタイヤがある理屈になる。
オンロードでは摩擦がものをいうため、タイヤの柔らかさが重要になる。
アイスバーンでは水分が問題になるため、吸着が大切だ。
パウダースノーでは刺突が重要だが、そもそも車高の低い自動車には無縁の話である。
「凄い実験結果だな。フラナガン研究機関も驚くだろう」
「いや、そのナントカ研究機関は多分、タイヤを研究はしてないだろ」
自転車好きのタイヤ談義は、始まると止まることを知らない。いつだって自転車は自分の知らない世界を見せてくれるし、予想の遥か上の走りを実現するんだ。
現に50年も生きている彗星でさえ、こうして驚いている。
砂浜でも、この手のタイヤ談義は止まない。
綺羅は、追いついてきた2台の自転車と並走していた。うっかりすると沈み込む砂浜で、話題は当然タイヤの事だ。
「――タイヤが太いもう一つの理由。それは、重量を分散する事。例えば体重を1cm²に乗せるのと、10cm²に乗せるのとでは、理屈上は沈み方が1/10になる」
と、語ったのはMTBに乗る少女である。
ニーダと名乗った彼女は、綺羅と並走しながら喋っていた。その声は消え入りそうな音質で、表情は一向に冷たい。どこか機械的でもあり、それでいて幽霊のような雰囲気も併せ持つ。
「まあ、人間の足が雪に沈むのに、スキー板が沈まない理由みたいなものだな。サーフボードだって表面積で浮力を稼ぐだろう?それこそ自転車なら、タイヤを4本にして10inくらい太くしたら水にも沈まないんじゃないか?」
綺羅がニーダの弁を補足する。ちなみに過去に水陸両用自転車なるものが発明されたこともあったらしい。事実として水の上を渡れたが、陸に上げるのが大変だったり、流れの速い川では体力を必要としたことから普及しなかった背景がある。
「なるほど。勉強になるというか……俺はオートバイも趣味なんだが、自転車とは法則が違うのだな」
そう納得したのは、ストラトスだった。電動アシストを搭載したマウンテンバイクというチート性能を誇る彼は、砂を力任せに掻き出すようにして走っている。
「――もう一つ、ファクターがある。それはタイヤの直径」
ニーダが言った。
「直径?そんなもの、影響が……ぐあっ!」
「しまったっ。柔らかい砂か!」
潮の流れの所為か、もしくは風の影響か。砂浜には柔らかい砂ばかりが滞留するポイントがある。ストラトスと綺羅は、その砂に当たってしまった。
タイヤがのめり込む。前輪自体が埋まってしまうと、そこから先の脱出は困難だ。
「ええい、ままよ!」
ペダルを力任せに漕いだストラトスは、電動アシストに物を言わせて突破しようとする。タイヤは沈むばかりで、自らアリ地獄に入るような格好になる。ついに失速し過ぎたストラトスは、その場で転んでしまった。
「この俺様が、この程度で沈むか!」
綺羅は自転車を必死で漕ぐ。ペダリング効率を重視した、変速ギアとケイデンスを利用する走り方だ。一度埋まったタイヤが砂を掴み、這い上がろうと足掻き続ける。
ついに、綺羅は砂から脱出した。前輪で砂を掻き出せた恩恵もあるだろうが、それ以上に本人のバランス感覚の賜物である。
「――お上手」
その横を、ニーダは全く沈まずに進んでいく。いや、沈んではいる。それでも大した力を入れずに、砂を無駄に掻くこともないまま進んでいくのだ。
「いったい、何をした?」
ストラトスが訊く。ニーダは意外に饒舌に、その答えを示した。
「――あなたたちのタイヤは27.5inで、私のタイヤが29inだから。本来、タイヤの半径を越える高さの段差は乗り越えられない。たとえ2WDでも、電動でも」
これが砂浜で役に立ったのは数奇な偶然である。とはいえ、このタイプの偶然はそこかしこに転がっているのだ。
タイヤが大きければ乗り越えられたはずの段差。それを乗り越えられなくて事故を起こすのと、たかが数センチの違いで乗り切るのとでは、後の運命が大きく変わる。
また、自転車のタイヤは円形で、下面部は空気圧と重力の影響でやや潰れる。タイヤの太さが接地面積を横に広げるように、円周が接地面積を縦に広げる。縦×横で初めて面積だ。
「なるほど。29inとは、素晴らしいのだな」
感動するストラトスだったが、綺羅は別なことを考えていた。
「……なあ、ニーダ。今のは車体重量の影響もあるんじゃないか?」
「――な、何のこと?わわわ私は知らない」
「ポーカーフェイスのくせに嘘つくの下手くそかよ!?」
楽しげな談笑が、夜の砂浜に響いていく。
この手のスポーツに、脇役などいない。別にどこかの曲の安っぽい歌詞を否定するわけでもないが、人を笑う方も笑われる方も、それぞれに主人公だろう。
空と茜がいないところでも、物語は紡がれる。そういうものだった。
彗星のおごりで食後のアイスクリームまで食べた鹿番長は、満腹になった状態で店を出てきた。
「悪いな。今日は御馳走になったぜ」
「いや、私の方こそ、楽しい話を聞かせてもらった。なんなら、今日の分をすべて奢っても良かったのだが?」
「いや、いいって。そこまでされたら俺も恐縮しちまう」
鹿番長はそう言ってこれ以上のおごりを断り、自転車の鍵を開錠する。
「さて、それじゃあ、今夜の宿でも探索すとするか」
コースに戻ろうとした、その時であった。
「危ない。待て!」
「え?」
彗星に呼び止められた鹿番長は、ブレーキをかける。その目の前を、まるで弾丸のように自転車が走り去っていった。
(何だ……あれは?)
奇妙な形の自転車だった。そして鹿番長の目の錯覚でなければ、乗っていたのはゴスロリドレスの少女だった。
速度的には、
「ふむ……だいたい100km/hというところか。すさまじいな」
と、彗星は予想する。
「はぁ?おいおい、この路上で100だぁ?自転車が?……冗談も笑える程度にしてくれよ」
鹿番長がそういうのも無理はない。そもそも自転車で100km/hだなんて、ロードでもピストでも越えられない壁だ。道路は平坦な直線。別に下り坂が近くにあるわけでもない。
こういう時は、気軽に凸電だ。
「ミスり姉ちゃん。ちょっといいか?」
『はぁい。鹿番長様。なんなりとご命令ください』
「いや、口調変わってんじゃねぇか!……まあいいや。いま俺の前を通過していった自転車があるだろう。あれ、何キロ出てた?」
鹿番長が訊くと、ミス・リードは情報を探し始めた。
『ああ、エントリーナンバー101 天仰寺 樹利亜さんですねぇ。鹿番長さんと同じ、中学生ですよぉ。あ、でもジュリアさんが2年生だから、年下ですねぇ』
「嘘だろ?俺より年下!?」
以前ミス・リードが、勝手に中学生四天王と名付けたうちの一人だ。現在残っている出場者の中で最年少でもある。ちなみにリタイアした参加者も含めると、3歳だったアギトが最年少なのは余談。
『ちなみに、その辺にはスピードガンもカメラもないので、ハッキリとした速度情報をお伝えすることは出来ないんですぅ。ごめんなさい。あ、でもでも、そこから500m手前の交差点にスピードガンがありましたねぇ……』
相変わらず話の早い実況者である。特に何も言わなくても、正確な選手情報を教えてくれる。このサービスがすべての参加者に対して、ミス・リード一人で提供しているのだから尋常じゃない。
しかも、その情報は最新の計測器を用いたものだ。信頼性があり、非常に正確である。だからこそ……
『えっと……ジュリアさんの速度は、103km/hですねぇ』
だからこそ、ミス・リードにまで言われてしまっては、信じるしかない。
鹿番長の常識をあざ笑うように塗り替える、天仰寺樹利亜。
彼女もまた、物語の主人公たり得るのだ。
鹿番長が悔しがる。足にはもう力が入らない。まるで限界まで長距離を走り続けたような感覚……もっとも、それに限りなく近い事をしているわけだが。
(それでも、まだ走行たはずだ。チクショウ!)
考えても分からないので、とりあえず回復を行う。と言っても、鹿番長がアスリートらしい合理的な回復法を知っているはずがない。
食ったら治る。そのシンプルな節理を信じて、彼は牛丼屋にいた。本日の注文は3種のチーズ牛丼メガ盛りと、カレー大盛。そして豚汁おしんこセット。冷静に考えたら2~3人前の量だが、自転車に乗っている男子中学生にとっては標準かもしれない。
「失礼。隣、いいかな?」
バクバクと食べ進める鹿番長の横に、赤い服を着た中年男性が座る。いや、初老だろうか。全身を赤でコーディネイトした服装が、あまり一般的でないことは分かる。右手には見たことのある緑色の腕輪。
「あんたも、出場者か?」
鹿番長が訊く。その腕輪は、出場者全員に配られたGPS付きのものだ。初老の男性はにやりと笑い、言った。
「――私はかつて、シャア・アズナブルと呼ばれたこともある男だ」
「……ふーん」
「今の私は、ただの自転車乗りだよ」
「……へぇ」
正直、世代じゃないからネタが分からない。シャアの名前くらいは聞いたことがある。赤い人だ。それ以上の何も知らないが。
「で、そのコスプレアニメオタクの爺さんが、チャリチャンに出場るのはどんな意味があんだ?まさかこの大会を、コスプレイベントかなんかと間違ってねぇだろうな!?」
椅子に座ったまま、特攻服の裾を翻した鹿番長。そのリーゼントの下から、強い眼光を放つ。
「君のコスプレも似合っているが?」
「誰がコスプレだ!俺のこれは普段着だぞ」
牛丼屋の店員は、そんな二人を奇異の目で見ている。ついに店員が一人こらえきれずに笑いだし、もう一人の店員がつられて笑う。
「ごっ、こちゅ、もん……ぷくくっ、決まりましたら、ボタンでお呼びください……ぷっくはっ!ごごごゆっくり、どうぞぉ」
シャアっぽい人にお冷を運んできた店員は、必死で笑いをこらえながら奥に戻ろうとする。それをあえて、シャアっぽい人は引き留めた。
「注文は決まっている。キムチ牛丼を大盛だ。それと、紅ショウガを補充してくれないか?おそらく足りない」
「ぶっはぁっ!」
ついに店員が立っていられなくなったため、奥から別の店員が交代。
「大変失礼いたしました。キムチ牛丼大盛をおひとつですね。紅ショウガの方、こちらをお使いください」
ベテランっぽい店員は、別なテーブルから紅ショウガを持ってくると、注文を確認して奥に引き込む。そして笑い転げていたバイトを奥で叱りつけているようだった。
「丁寧な接客だな」
「ひでぇ皮肉だぜ……つか、バイトを撃墜すなよ」
「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」
「いや、お前そんな若くねぇだろ!」
鹿番長のツッコミを受けたシャアっぽい人は、今日の食事が愉しいものになると確信する。ニュータイプの直感だ。
「私の事は、そうだな……彗星と呼んでくれて構わないよ」
「……名乗られたら仕方ねぇな。俺は鹿番長。夜路死苦」
チャリンコマンズ・チャンピオンシップという大会の最大の特徴は、区間を分けないことにあるだろう。走りっぱなしの21日間だからこそ、誰かが休憩している間にもレースが続いていくのだ。
つまり、鹿番長と彗星が牛丼を食べている頃、砂浜では何台もの自転車がしのぎを削っていた。
『夜の砂浜って、暗くて何も見えないですよねぇ。満天の星空の下、どんなえっちな事をしても気づかれませんよぉ。ああ、でも、誰かが偶然近づいてきたらどうしよう。そんな不安が、いっそう興奮させてくれるんですよねぇ』
ミス・リードが、実況ほったらかしで何かほざいている。何事かと思えば、
『つまり、皆さんは安全のため、ライトを点けて走行することをお勧めしますって事ですぅ。まあ、ライトなんかついてないって自転車も多いでしょうけど、事故っても実行委員は責任を持てませんからねぇ』
つまり、暗いから気をつけろと言いたかったらしい。どうして無理やりにでもエロを挟むのか、それは謎だ。
(まあ、ミス・リードの実況も聞きなれると心地いいな)
氷堂綺羅は、ぼんやりとそんなことを考えながら、砂浜を走っていた。恐るべきは、ぼんやり考えながら走れるだけの走破性を有した2WD自転車の性能だ。
本来こういった砂の中なら、後輪が滑り始めただけで車体が停止する。それは多くの自転車が後輪駆動だからだ。一方DOUBLEは違う。チェーンとユニバーサルジョイントによって前輪にも駆動をかけるため、前後どちらかの車輪がグリップしていれば進める。
(体力の消費は大きいが、確実に進めるメリットも大きいな。この2WDという機構、ビーチクルーザーにでも採用したら面白そうだ)
もともと見た目の派手さを重視するビーチクルーザーとは、デザインやコンセプト的にも相性がよさそうだ。なぜ今まで誰も作らなかったのか疑問に思うほどである。
(いや、それでも値段が高くなりすぎると売れないか。うーむ)
改めて、自分の乗っている2WDの性能を見直す。こうして知らなかったことを発見するのが、綺羅にとっての楽しみだった。自転車には、まだ発掘されていない可能性が沢山ある。それを綺羅は知りたいのだ。
(スパイクタイヤは役に立たないか。やはりこれはアイスバーン専用だな。柔らかい砂の上では……むしろスノータイヤの出番なのかもしれない)
そう考えて、さらに進む。後ろから、2台のハードテイルバイクが追い上げてきていた。
彗星が使った紅ショウガの量は、意外にも普通だった。もっと山ほどてんこ盛りに使うと思っていた鹿番長は、少しがっかりする。
「それで、先ほどの話の続きだが……」
「ああ、どうして太いタイヤが有利かって理屈だったよな?」
ロードバイクにしか乗ったことがないと語る彗星は、鹿番長の極太タイヤに興味を示していた。少なくとも彗星の知る限り、タイヤが太いことのメリットはない。
「私の知る限り、タイヤが太いという事は、それだけ摩擦が分散するという事だ。表面積の広さから滑りにくくなるように見えるかもしれないが、1cm²あたりの摩擦力は低下するので、トータルで見れば同じだけ滑るのではないか?」
と、彗星は語る。もちろん、鹿番長の車体を否定したいわけではない。ただ純粋に知りたいだけだ。
そんな彼の意をくみ、鹿番長もしっかり答える。
「そもそも、オンロードで塵一つ落ちてないくらいに磨かれた路面なら、タイヤの太さはグリップに影響しない。そこは彗星の言う通りだぜ。ただ、そんな路面状況はあり得ない。つまり考える意味がないんだ。
で、雪の場合だが、摩擦がどうのって理屈じゃなく、雪をどう捕まえるか、だ。ブロックタイヤを突き刺す考え方でいい。刺さるような突起が増えれば増える程、雪に引っかかる。
雪の結晶は巨大い。だからスタッドに溝を掘るとき、細い溝を掘ったって刺さらないんだ。必然、太い溝を掘るっつーか、ブロック同士の間隔をあける必要があるわけよ。
っつーことになると、自転車のタイヤは細すぎるだろ?だからブロックの数を増やすために、十分な表面積を確保する都合があるわけだ。
つまり、タイヤそのものが太いから滑らないんじゃなく、太い溝をたっぷり刻むから滑らない。ここまでは理解ったな?」
鹿番長の丁寧な説明に、彗星は納得する。やはりこういうことは経験がものをいう世界だ。自転車歴などという年数じゃなく、一年でどれだけの経験を積んだかに依存する。
事実、彗星は30年以上のロードバイク歴を持つが、雪の上を走ろうとしたことは一度もない。それに比べると、ファットバイクと言う選択肢にたどり着き、若くしてそれを乗りこなす鹿番長は、今まで様々な自転車で雪道に挑み続けたことが解る。
「ところで、この時点で君の説明に疑問が生じる。いいかな?」
「なんだ?何でも聞いてくれ。回答えてやるよ。学校じゃ教育えられねぇトコまでな」
この自信である。
「巷では、ブロックタイヤはオフロード用で、雪にはスタッドレスだと聞いたことがある。タイヤメーカーすら言っていることだが……鹿番長君の意見は?」
「ああ、自動車のタイヤは理屈が違うんだよ。そもそも乗用車は50cmも積もると埋まって走れないだろう?だから乗用車が言う雪道っていうのは、厳密にいえば雪道じゃなくてアイスバーン程度なんだ。圧雪された後とかの、な。
一方、俺の相棒は本物の雪道に対応する。除雪車の陰に隠れないと何もできない自動車ごときとは性能が違うぜ。
で、アイスバーンと雪道の違いなんだが、前者は氷が濡れているから滑る。乾いた氷は滑らない。何かのCMでもやってたよな?だから水を吸い上げるよう、細くて深い溝が欲しくなるんだ。毛細管現象ってやつな。
一方、パウダースノーっていうのはそもそも濡れてない。だから毛細管現象を起こす意味もないんだ。こうなってくると、足元の雪をどれだけ掴むかが大切になってくる」
まとめると、摩擦、吸着、刺突の三種類のタイヤがある理屈になる。
オンロードでは摩擦がものをいうため、タイヤの柔らかさが重要になる。
アイスバーンでは水分が問題になるため、吸着が大切だ。
パウダースノーでは刺突が重要だが、そもそも車高の低い自動車には無縁の話である。
「凄い実験結果だな。フラナガン研究機関も驚くだろう」
「いや、そのナントカ研究機関は多分、タイヤを研究はしてないだろ」
自転車好きのタイヤ談義は、始まると止まることを知らない。いつだって自転車は自分の知らない世界を見せてくれるし、予想の遥か上の走りを実現するんだ。
現に50年も生きている彗星でさえ、こうして驚いている。
砂浜でも、この手のタイヤ談義は止まない。
綺羅は、追いついてきた2台の自転車と並走していた。うっかりすると沈み込む砂浜で、話題は当然タイヤの事だ。
「――タイヤが太いもう一つの理由。それは、重量を分散する事。例えば体重を1cm²に乗せるのと、10cm²に乗せるのとでは、理屈上は沈み方が1/10になる」
と、語ったのはMTBに乗る少女である。
ニーダと名乗った彼女は、綺羅と並走しながら喋っていた。その声は消え入りそうな音質で、表情は一向に冷たい。どこか機械的でもあり、それでいて幽霊のような雰囲気も併せ持つ。
「まあ、人間の足が雪に沈むのに、スキー板が沈まない理由みたいなものだな。サーフボードだって表面積で浮力を稼ぐだろう?それこそ自転車なら、タイヤを4本にして10inくらい太くしたら水にも沈まないんじゃないか?」
綺羅がニーダの弁を補足する。ちなみに過去に水陸両用自転車なるものが発明されたこともあったらしい。事実として水の上を渡れたが、陸に上げるのが大変だったり、流れの速い川では体力を必要としたことから普及しなかった背景がある。
「なるほど。勉強になるというか……俺はオートバイも趣味なんだが、自転車とは法則が違うのだな」
そう納得したのは、ストラトスだった。電動アシストを搭載したマウンテンバイクというチート性能を誇る彼は、砂を力任せに掻き出すようにして走っている。
「――もう一つ、ファクターがある。それはタイヤの直径」
ニーダが言った。
「直径?そんなもの、影響が……ぐあっ!」
「しまったっ。柔らかい砂か!」
潮の流れの所為か、もしくは風の影響か。砂浜には柔らかい砂ばかりが滞留するポイントがある。ストラトスと綺羅は、その砂に当たってしまった。
タイヤがのめり込む。前輪自体が埋まってしまうと、そこから先の脱出は困難だ。
「ええい、ままよ!」
ペダルを力任せに漕いだストラトスは、電動アシストに物を言わせて突破しようとする。タイヤは沈むばかりで、自らアリ地獄に入るような格好になる。ついに失速し過ぎたストラトスは、その場で転んでしまった。
「この俺様が、この程度で沈むか!」
綺羅は自転車を必死で漕ぐ。ペダリング効率を重視した、変速ギアとケイデンスを利用する走り方だ。一度埋まったタイヤが砂を掴み、這い上がろうと足掻き続ける。
ついに、綺羅は砂から脱出した。前輪で砂を掻き出せた恩恵もあるだろうが、それ以上に本人のバランス感覚の賜物である。
「――お上手」
その横を、ニーダは全く沈まずに進んでいく。いや、沈んではいる。それでも大した力を入れずに、砂を無駄に掻くこともないまま進んでいくのだ。
「いったい、何をした?」
ストラトスが訊く。ニーダは意外に饒舌に、その答えを示した。
「――あなたたちのタイヤは27.5inで、私のタイヤが29inだから。本来、タイヤの半径を越える高さの段差は乗り越えられない。たとえ2WDでも、電動でも」
これが砂浜で役に立ったのは数奇な偶然である。とはいえ、このタイプの偶然はそこかしこに転がっているのだ。
タイヤが大きければ乗り越えられたはずの段差。それを乗り越えられなくて事故を起こすのと、たかが数センチの違いで乗り切るのとでは、後の運命が大きく変わる。
また、自転車のタイヤは円形で、下面部は空気圧と重力の影響でやや潰れる。タイヤの太さが接地面積を横に広げるように、円周が接地面積を縦に広げる。縦×横で初めて面積だ。
「なるほど。29inとは、素晴らしいのだな」
感動するストラトスだったが、綺羅は別なことを考えていた。
「……なあ、ニーダ。今のは車体重量の影響もあるんじゃないか?」
「――な、何のこと?わわわ私は知らない」
「ポーカーフェイスのくせに嘘つくの下手くそかよ!?」
楽しげな談笑が、夜の砂浜に響いていく。
この手のスポーツに、脇役などいない。別にどこかの曲の安っぽい歌詞を否定するわけでもないが、人を笑う方も笑われる方も、それぞれに主人公だろう。
空と茜がいないところでも、物語は紡がれる。そういうものだった。
彗星のおごりで食後のアイスクリームまで食べた鹿番長は、満腹になった状態で店を出てきた。
「悪いな。今日は御馳走になったぜ」
「いや、私の方こそ、楽しい話を聞かせてもらった。なんなら、今日の分をすべて奢っても良かったのだが?」
「いや、いいって。そこまでされたら俺も恐縮しちまう」
鹿番長はそう言ってこれ以上のおごりを断り、自転車の鍵を開錠する。
「さて、それじゃあ、今夜の宿でも探索すとするか」
コースに戻ろうとした、その時であった。
「危ない。待て!」
「え?」
彗星に呼び止められた鹿番長は、ブレーキをかける。その目の前を、まるで弾丸のように自転車が走り去っていった。
(何だ……あれは?)
奇妙な形の自転車だった。そして鹿番長の目の錯覚でなければ、乗っていたのはゴスロリドレスの少女だった。
速度的には、
「ふむ……だいたい100km/hというところか。すさまじいな」
と、彗星は予想する。
「はぁ?おいおい、この路上で100だぁ?自転車が?……冗談も笑える程度にしてくれよ」
鹿番長がそういうのも無理はない。そもそも自転車で100km/hだなんて、ロードでもピストでも越えられない壁だ。道路は平坦な直線。別に下り坂が近くにあるわけでもない。
こういう時は、気軽に凸電だ。
「ミスり姉ちゃん。ちょっといいか?」
『はぁい。鹿番長様。なんなりとご命令ください』
「いや、口調変わってんじゃねぇか!……まあいいや。いま俺の前を通過していった自転車があるだろう。あれ、何キロ出てた?」
鹿番長が訊くと、ミス・リードは情報を探し始めた。
『ああ、エントリーナンバー101 天仰寺 樹利亜さんですねぇ。鹿番長さんと同じ、中学生ですよぉ。あ、でもジュリアさんが2年生だから、年下ですねぇ』
「嘘だろ?俺より年下!?」
以前ミス・リードが、勝手に中学生四天王と名付けたうちの一人だ。現在残っている出場者の中で最年少でもある。ちなみにリタイアした参加者も含めると、3歳だったアギトが最年少なのは余談。
『ちなみに、その辺にはスピードガンもカメラもないので、ハッキリとした速度情報をお伝えすることは出来ないんですぅ。ごめんなさい。あ、でもでも、そこから500m手前の交差点にスピードガンがありましたねぇ……』
相変わらず話の早い実況者である。特に何も言わなくても、正確な選手情報を教えてくれる。このサービスがすべての参加者に対して、ミス・リード一人で提供しているのだから尋常じゃない。
しかも、その情報は最新の計測器を用いたものだ。信頼性があり、非常に正確である。だからこそ……
『えっと……ジュリアさんの速度は、103km/hですねぇ』
だからこそ、ミス・リードにまで言われてしまっては、信じるしかない。
鹿番長の常識をあざ笑うように塗り替える、天仰寺樹利亜。
彼女もまた、物語の主人公たり得るのだ。
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