適正がないと言われた俺が、受け継いだ勇者の力で悪魔たちを薙ぎ倒す話

わたなべ ゆたか

文字の大きさ
8 / 13

一章-7

しおりを挟む

   7

 悪魔は俺たちの前に現れた途端、大きく跳躍した。
 どうやら、目的は町らしい。前に出ていた俺とレイユを飛び越した悪魔は、衝撃とともに地面に着地した。
 丁度、俺たちと、ソノリーやマリルアとのあいだだ。
 俺が振り返ったとき、悪魔は町へと移動を開始していた。その足音に混じって、呪文の詠唱が聞こえてきた。


「〈石壁〉!」


 気合いが込められたソノリーの声がした直後、悪魔の前にある地面から、巨大な石の壁が突き出した。
 悪魔は石壁にぶつかり、歩みを止めた。


「くそ、ヤツを止めるぞ! ソノリーとマリルアは、ゴブリンどもを頼む!」


「わ……わかった!」


「餓鬼は、俺と来い!」


「わ、わかってる!」


 俺とレイユは同時に悪魔に斬りかかったが、悪魔は林側へと大きく跳躍した。若木を押し倒しながら着地した悪魔を見て、レイユが舌打ちをした。


「くそ――巨体の割に身軽すぎる」


 レイユの意見には、俺も同意だ。あんなに跳躍されていたら、攻撃が当てられない。
 悪魔は俺たちを睨みつけながら、四本の腕を変化させ始めた。一秒足らずで、斧となった四本の腕を振りながら、跳躍してきた。


「やべぇ!」


 レイユが叫ぶまでもなく、俺は落下地点から逃げていた。
 さっきまで俺やレイユがいた地面が、爆発した――ように見えた。悪魔の斧が叩き付けられた衝撃が、地面を揺らしていた。
 着地の隙を狙って一撃を加えようと、俺とレイユが同時に動いた。しかし、悪魔はすぐに真横へと跳び、俺たちから距離を取った。
 あんな動きをされたら、鳥みたいに空を飛べなきゃ攻撃できそうにない。まるで、重力を感じていないような動きだ。そんな相手に、どうすれば――。


〝解放具に残った勇者の力を使って〟


 ――また、あの声? 

 思考を遮った声を探そうと、視線を彷徨わせた。だが、相変わらず姿は見えない。声の主を探すのを諦め、俺は助言の意味を考えたが……意味がまったくわからない。


「勇者の力を使えって……どーすりゃいいんだ」


〝主様が解放具を受け取った相手は、どんな戦い方をしてました?〟


 どんな戦い方って言われても――俺は東の都で悪魔に襲われたときしか、戦いを見ていない。そのときは確か、風を纏っているように見えたけど……。


「風……どう使うんだ?」


〝仕方ない。主様、ちょっと失礼しますよ〟


 前に見た光球が、前に見た光球がふわりと浮かんできた。こいつが、あの声の主の正体か――そう思った途端、光球が俺の口に入ってきた。


 ――っ!? 


 いきなりのことに、俺は驚いた。だけど、なにかを飲み込む異物感や、苦しさはまったくない。その代わり、俺の額に丸い結晶のようなものが浮き出てきた。
 視界の上辺に、僅かに結晶が見えている状態だ。


〝風よ――〟


 声とともに、俺の周囲で旋風が渦巻いた。
 これは――これが、勇者ヴィネシスが使っていた力なのか。旋風が強くなるにつれ、俺の身体がふわりと浮いた。
 悪魔は膝を深く曲げ、また跳躍しようとしていた。また町へ行く気か――そう思った途端、頭の中に声が響いた。


〝飛びます?〟


「もちろん――だ」


 俺が応じると、身体がフワリと浮いた。跳躍して俺やレイユを飛び越そうとした悪魔のあとを追った。
 悪魔が後衛に控えていた、ソノリーとマリルアへと迫っていた。このまま追っても、間に合わない。ソノリーが火の玉や光の玉を放ったが、悪魔には傷一つ付かなかった。


〝魔王級――そう呼ばれる悪魔に、魔術が効くわけないですからね。主様が斃して下さいよ!〟


 全力の攻撃は体力が消耗して、前みたいに疲労困憊になってしまう。だが、今は余力を残すだけの余裕はない。
 前回と同様、俺は精神を集中させた。四本の腕の斧を振り上げる悪魔の向こうで、恐怖に目を見広げるソノリーとマリルアの姿が見えた。
 着地する前の――空中にいる悪魔へ、俺は槍を斜めに振り抜いた。矛先から伸びた光の刃が、悪魔の身体を斬り裂いた。


〝ガアアアアアアアアアアアアッ!!〟


 左の二本の腕を切断、そして脇腹までを深く斬ったことで、悪魔は体勢を崩し、ソノリーたちへの軌道が逸れた。
 左側に立っていたマリルアの側に落下した悪魔は、息も絶え絶えだったが、まだ生きていた。
 か細く吼えながら、悪魔は起きあがろうと藻掻いていた。
 悪魔の後方に着地をしたけど、俺はその場で膝から崩れてしまった。全力を出したからか、体力が消耗しきっていた。
 だけど、トドメを刺さなければ、逃げられるかもしれない。
 槍を構えた俺の横を、レイユが駆け抜けた。


「魔素吸引!」


 そう叫ぶレイユの解放具が微かに光り、黒い靄のような魚や蛇たちが吸い込まれていく。
 その光景にゾッとしたものを覚えていると、レイユの持つポールアクスが赤黒く光り始めた。


「喰らえ、〈魔素爆裂斬〉ッ!!」


 レイユは叫びながら、ポールアクスを悪魔の頭部へと振り下ろした。
 途端、悪魔の頭部が爆発した――ように見えた。だが、血飛沫などは真上に吹き上がり、そのまま消滅した。
 レイユは大きく息を吐くと、尊大に振り返った。


「やっと終わったぜ。俺がいなきゃやばかったな。ソノリーにマリルア、大丈夫か?」


「大丈夫か、じゃないでしょ? 最後の最後に良いところ取りじゃない。ほとんどヌアダが斃したようなものじゃん」


「う、うるせーな! トドメは俺だろうが。中途半端な傷しか負わせられねぇ、あいつが頼りねぇだけだ」


 フンと鼻息を荒くしながら、レイユは周囲を見回した。


「そんなことより、ゴブリンの残党を警戒するぞ。衛兵が戦ってるかもしれねぇからな。俺は右回り。てめーは、逆廻りだ。ソノリーは――」


「あたしは、ヌアダと行くよ。今の一撃で、疲れちゃったみたいだし」


「は――ん。それじゃあ、マリルア」


「わたくしは……ヌアダさんが心配ですので、共に参ります。ゴブリンなら、あなた一人でも充分でしょうから」


 マリルアの返答に、レイユは呻くような仕草で二人を見た。そして最後に俺を睨み付けて、舌打ちをした。衛兵たちに警備を任せると告げて、右回りに町の外周を歩き出した。
 俺が立ち上がると、ソノリーが近寄って来た。


「ヌアダ、大丈夫? 歩けそう?」


「あ……な、なんとか」


 俺は少しふらつきながら、歩き出した。左回りに、ゴブリンたちへの警戒をしなくちゃな。数歩だけ歩いたとき、足元に柔らかいものが当たった。
 足元に視線を向けると、斬り落とした悪魔の腕だった。斧と化していた部分は、無数の繊維が解けたように崩れ、その隙間から鋭利な爪のある細い指が露出していた。
 その指に金属質の物体が填まっているのを見て、俺は左手を伸ばした。金属は指輪っぽいが、輪っかにはなっていない。指の肉に食い込ませている金属を、俺は抓んだ。
 その途端、金属はボロボロと崩れてしまった。指先から伝わって来る生暖かい感触に身震いしたとき、ソノリーが声をかけてきた。


「どうしたの?」


「あ、いや……なんか金属っぽいのを見つけたから、気になって」


「金属? どこに?」


「もう崩れて無くなったから」


 指先を見ながら答えると、マリルアが俺を見上げてきた。


「不用意に、悪魔の品には触れないほうが良いでしょう。それより、先に進みましょう」


「ゆっくりね、ゆっくり。それにしても、凄かったね。ヴィネシスみたいに、飛んじゃってたし。勇者の力を使いこなせるようになったの?」


「いや、それは……この丸いやつのお陰というか」


「丸いの?」


「なにも見えませんが……」


 ソノリーとマリルアは俺の胸元を見て、首を傾げた。あの光球と同様に、この結晶みたいなヤツもほかの人には見えないのか。


「嘘は言ってなさそうだし……ヌアダには見えてるんだね」


 それでも、ソノリーは信じてくれたみたいだ。
 俺が胸元の結晶を指で突くと、再び声が聞こえてきた。


〝主様、詳しい話は、後日――〟


 そう言ってくると、胸元の結晶が光球となって離れていった。
 なんか日に日に、わからないことが増えていく気がする。やっぱり俺は、勇者になったわけじゃないのか……。
 複雑な想いを胸に、俺は歩き出した。

   *

 東の都にある教会で、聖母であるマリアンヌは運ばれていたヴィネシスの遺体に手をかざしていた。
 安置所は、外へのドアと教会内へと続くドア、そして外気と外光を取り入れるために、壁の上部に開口部があるだけだ。
 ドアは木製で、そこそこ古い。一枚板ではないため、劣化のせいか所々に隙間ができている。
 そのほかにある物といえば、マリアンヌの傍らに置かれた解放具だけだ。
 安置所の中央に安置された遺体は、数日以上経過しても腐敗が進んでいる形跡がない。
 手の平から青白い光が溢れ、遺体を包み込んでいる。数十秒ほど、遺体を光で包んでいたマリアンヌは小さく息を吐くと、かざしていた手を引いた。


「これで、しばらくは腐敗が止まるでしょう。国葬のため、埋葬を送らせて欲しいだなんて……」


 愚痴になりかけた言葉を閉ざすと、マリアンヌは傍らに置いてあった解放具を手にすると、ヴィネシスの指に填めた。


「勇者には……解放具がなければ」


 ヴィネシスの手を静かに置いてから、マリアンヌは立ち上がった。遺体から離れて外へ続くドアの閂を開けると、ドアを開けた。
 ふと、教会の庭園の一角に目を移したマリアンヌは、僅かに目を細めた。降り注ぐ陽光を遮るように手を挙げると、庭園から目を逸らした。
 そのままドアを閉じると、閂をかけないまま教会内へと入った。
 ドアの前で静かに佇んでいると、安置所からドアが開く音がした。なにかを引きずるような音が聞こえてくると、マリアンヌはドアの隙間から安置所を覗いた。
 ボロボロになったマントを頭から被った何者かが、安置所に侵入していた。枯れ枝のような腕を、遺体となったヴィネシスに伸ばす。
 皺だらけの顔だけを見れば、年齢どころか性別すら判別できない。ただ体付きから、辛うじて男であることがわかる。
 遺体を肩に担いだ男は、そのまま安置所から出て行った。
 その様子を無言で見ていたマリアンヌは、安置所のドアが閉じられるのを待って、その場から立ち去った。
 礼拝堂に入ったとき、床の掃除をしていたフォルナが駆け寄った。


「聖母マリアンヌ様!」


 フォルナは着ていた修道服を見回してから、マリアンヌに一礼をした。


「教会で保護をして下さり、ありがとうございます」


「いえ。また悪魔に襲われるかもしれませんから。教会で保護するのは、当然です。あ、話が変わって申し訳ないのですが、勇者サムスを見ませんでしたか?」


「サムス様……いいえ。午前の礼拝が終わってからは、見ておりません。なにか御用であれば、探してきましょうか?」


「そうね……お願いしてもよろしいでしょうか。実は、勇者ヴィネシスの遺体が、盗まれてしまったの」


 あまりにもおっとりとした口調だったので、フォルナはことの重大さに、すぐに気づけなかった。
 数秒の時間を要したあと、素っ頓狂な声をあげた。


「ええっ!? 大変じゃないで――大変ではありませんか!」


「そうなの。だから、急いでサムスに伝えたくて」


「わ、わかりました。勇者サムスを探してきます!」


 駆け足で礼拝堂から出て行くフォルナを、マリアンヌは無言で見送った。

----------------------------------------------------------------------------------------
本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!

わたなべ ゆたか です。

これをアップした日は祝日ですが、中の人は仕事でした……仕事終わってからのアップです。

本文は、ヌアダの力が少しずつ解放されつつある回です。ここで一章は終わり。次回から二章に入ります。

光球の正体なども、次回以降ということで。

少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

次回もよろしくお願いします!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

最凶と呼ばれる音声使いに転生したけど、戦いとか面倒だから厨房馬車(キッチンカー)で生計をたてます

わたなべ ゆたか
ファンタジー
高校一年の音無厚使は、夏休みに叔父の手伝いでキッチンカーのバイトをしていた。バイトで隠岐へと渡る途中、同級生の板林精香と出会う。隠岐まで同じ船に乗り合わせた二人だったが、突然に船が沈没し、暗い海の底へと沈んでしまう。 一七年後。異世界への転生を果たした厚使は、クラネス・カーターという名の青年として生きていた。《音声使い》の《力》を得ていたが、危険な仕事から遠ざかるように、ラオンという国で隊商を率いていた。自身も厨房馬車(キッチンカー)で屋台染みた商売をしていたが、とある村でアリオナという少女と出会う。クラネスは家族から蔑まれていたアリオナが、妙に気になってしまい――。異世界転生チート物、ボーイミーツガール風味でお届けします。よろしくお願い致します! 大賞が終わるまでは、後書きなしでアップします。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

異世界配信中。幼馴染みに捨てられた俺に、神々(視聴者)がコメントしてくるんだが。

葉月
ファンタジー
コルネ村で、幼なじみであり恋人でもあったユリアナと、ささやかな幸福を分かち合って生きていたロイド。 だがある日、ユリアナは女神の愛子として目覚め、国王の命により王都へと連れ去られる。 突然、日常を奪われ、運命に引き裂かれたロイドは、抗う術も持たぬまま、否応なく大きな流れへと呑み込まれていく。 これは、奪われたものを取り戻すため、そして理不尽な運命に抗おうとする、一人の少年の物語である。

処理中です...