適正がないと言われた俺が、受け継いだ勇者の力で悪魔たちを薙ぎ倒す話

わたなべ ゆたか

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二章-2

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   2

 翌朝。
 久しぶりに寝藁で寝ていた俺は、ノックで起こされた。ドアの隙間から差し込む朧気な外光が、小屋の中をボンヤリと照らしていた。
 自分の身体すら、辛うじて輪郭がわかる程度の光だ。閂なんか、手探りじゃ無いと探し出せない。
 ノックの主は、勇者のサムスだ。


「なんです?」


 という俺の問いに、サムスは短く答えた。


「鍛錬の時間だ」


「あれ……でも、今は盗まれた遺体を探す任務があるって聞いてますけど」


「それはそれ、だ。早朝ならば、鍛錬をする時間がある。それとも鍛錬は止めるか?」


「あ、いえ……やります」


 今は少しずつでも強くなりたい。俺はサムスと裏庭へと移動した。布を巻かれた棒、そして訓練用の木剣を使って、開門の鐘が鳴るまで型の訓練と組み手を行った。
 木剣での一撃を受けた――かなり手加減はされていたが――あと、俺はサムスに前回、魔王と戦ったときの話をした。


「二回目もそうなんですけど、光の刃を放ったあとで、体力が尽きるんですよ。ソノリー力の調整がどうのって言われても、やりかたがよくわからなくて」


「ふむ……レイユの戦い方も見たのだろう? ヤツは、どうやって力を使ったのかを見たか?」


「見ました。なんか……魔素吸引? なんか、黒い靄みたいな魚っぽいのや蛇を解放具に吸収してましたけど……」


 俺は見たままのことを言っただけが、サムスは眉を僅かに上げた。


「黒い靄……を吸引? おまえは魔素が見えるのか?」


「あー……いえ、あの靄の魚っぽいのが魔素なのか、わかりませんけど」


 俺の返答に、サムスは顎に手を添えた。


「そうか。まあ、その件はあとだ。レイユは魔素吸引で能力を増幅させて、最大の攻撃を行う。これは勇者の持つ、力の一つだ。だが――」


 サムスは「解放――」と呟くと、勇者の装備を身に纏った。
 長剣を手に二度、呼吸を繰り返す。その直後に素早く振り上げた刀身には、炎が纏っていた。
 サムスの口から、短く息が吐き出された。
 次の瞬間、振り下ろされた長剣から、炎が吹き出した。それはまるで炎の刃のように、轟音を伴って目の前の地面を一直線に焼き尽くした。
 軽く一〇イマル(約十一メートル)の焦げ目ができた地面から目を離すと、サムスは静かに息を吐いてから俺を振り返った。


「無心の域まで力量が達し、己の力を最大限に引き出せるようになれば、魔素吸引など必要なくなる。力の調節とて、可能だ」


「これで、加減をしてるんですか?」


「無論。これで三割ほどだ。必要なのは心技体の修練だ」


 サムスの言葉に、俺は気を引き締めた。
 心技体――か。サムスの力量に追いつくには、まだまだ先は長そうだ。そんなことを考えていると、教会からマリアンヌが飛び出してきた。
 あからさまに慌てた顔をするマリアンヌは、サムスの前で立ち止まった。


「な、な、な、なにごとなんです。悪魔の襲撃ですか? それとも別の脅威が――」


「いえ、申し訳ない。ヌアダに勇者としての力を使う実例を見せただけです」


「実例……」


 マリアンヌは地面の焦げ痕――雑草らしいものは、まだ少し燃えていたが――へと目を向けてから、重い溜息を吐いた。


「勇者サムス……その実例を示すためだけに毎回、教会の裏庭を焦がすつもりですか? 騒音に光に、ご近所迷惑なんですよ? 苦情とかきちゃいますよ? 住民さんからの文句を一人で引き受けて頂けますか?」


 矢継ぎ早に問い詰めるマリアンヌに、珍しくサムスがたじろいでいた。それはマリアンヌの言葉の強さというより、住民たちの相手をすることへの忌避感が強いみたいだ。
 少し視線を彷徨わせたあと、聖母へ微かに頭を下げてみせた。


「申し訳ありません」


「本当に……鍛錬に力を入れるのは良いことですが、周囲への配慮も忘れないように。いいですね?」


「……はい」


 慇懃な態度のサムスに頷くと、マリアンヌは教会に戻っていった。
 サムスの溜息が、まだ薄暗い早朝の空気に消えていった。


「鍛錬の続きをしようか」


「そーですね」


 俺は頷くと、鍛錬用の棒を握りしめた。


「お願いします」


 サムスは俺に頷くと勇者の装束を解いた。
 そして鍛錬用の棒を手にすると、油断のない構えをとった。



 そして日が昇り、朝の礼拝が終ると、俺たちはヴィネシスの遺体を捜索するべく、教会の庭に集まった。
 まずは探索の組み分けを――サムスがそう言いかけたとき、教会の前に鎧を身につけた騎馬が入って来た。
 東の都の城に仕える、騎士のようだった。
 騎士は俺たちを見回すと、羊皮紙を広げた。


「勇者一同へ。東の都を治める、ルンドフ・グラマン公爵様からの通達を報せる! 本日、午前の鐘三つ過ぎに、公爵様からの使者が訪問なされる。それまで悪魔討伐時を除き、教会にて使者を待たれよ――とのことである」


 騎士はどうやら、先触れらしい。遺体の捜索を優先すべきだと思ったけど、公爵家は貴族の中でも一、二を争うほど王家に近しい存在だ。
 ここが東の都と呼ばれる所以――という話を聞いたことがある。
 そんな貴族から『待て』と言われれば、流石に無視をするのは難しいんだろう。早朝の開門の鐘,そして午前の鐘は一つ目が鳴ったばかりだ。
 あと鐘二つ(約二時間)も待つのか。
 待っているあいだ、俺は槍術の型を繰り返すことにした。最初に教わった一歩下がりながらの振り下ろし〈虚月〉、そして突きからの横薙ぎの〈三日月〉。槍術でサムスから伝えられた型は、この二つだけ。
 だけど、この二つでさえ完全にモノにしていないから、なんども素振りを繰り返し、身体に覚え込ませるしかない。
 俺が素振りをしていると、修道服を着たフォルナが近寄って来た。


「ヌアダ、あんたねぇ。もうすぐ公爵様の使者が来るのに、なにをやってるのよ」


「なにって、修練だよ。早く強くならないと、みんなの足を引っ張るかもしれないだろ」


「……へぇ。意外と真面目にやってるのね。不真面目な素振りを見せたら、おばさんに連絡してって思ったけど……」


「なんだよ。俺をカラドに戻すつもりか?」


「おばさんは、それを望んでるのよね。まあ、あたしも教会にお世話になってるから、人のことは言えないけど」


 悪魔に狙われた理由がわからない以上、カラドに戻ったら別の悪魔に襲われるかもしれない――そんな理由から、保護を兼ねて教会の世話になっているというわけだ。
 教会から二人の家に手紙は送っているらしいから、俺たちの状況は伝わっているはずだ。
 だから不安を覚える必要はない――というわけでもなく、急に二人ともが東の都から帰れないとなれば、やはり家族や故郷のことが心配になる。      
 ここで言葉が途切れると、俺の背後から軽い足音が近づいて来た。


「やっと見つけたよぉ」


 駆け寄ってきたソノリーが、俺の右腕に抱き付いてきた。


「ああ、もう。汗だくじゃない。もうすぐ使者が来るから、汗は拭っておかなきゃだめだよ」


「あ、もうそんな時間……なんだ。えっと、ありがとうございます。汗を拭ってきますね」


「もう。堅苦しい喋り方なんかしなくてもいいのに」


 ソノリーは不満げだったけど、ほら……俺は後輩にあたるわけだし。最低限の礼節は必要だろうからさ。
 俺はフォルナが用意した湯を使って、汗を拭い、服を着替えた。
 教会の礼拝堂へ入ると、俺以外の勇者たちが揃っていた。


「おせーぞ」


 レイユに二文句を言われたが、俺に駆け寄ってきたソノリーが、思いっきり舌を出しながら抗議してくれた。
 聖母マリアンヌやフォルナまで揃ったところで、教会の前で馬車が止まる音が聞こえてきた。
 聖母を先頭に礼拝堂から出ると、階段の前に馬車が停まっていた。黒塗りで金や銀の装飾が使われた、かなり豪華な馬車だ。窓は小さく、外から中の様子を伺うことはできない。
 俺たちが階段を降りて整列をすると、馬車のドアが開いた。
 さて、どんなヤツが出てくるのか――と思っていたら、馬車の中から小さな影が出てきた。
 深い緑色のドレスは、装飾が少ない。金髪は軽く結い上げられ、イヤリングやペンダントなどの装飾品は身につけていない。
 目元のパッチリとした青い瞳は、澄んでいて純粋そうな気質を醸し出していた。
 まだ七、八歳らしい彼女は御者が置いた台を使って馬車から出て、台からはぴょんっとした仕草で降りている。そして俺たちの前に進み出ると、やや緊張した面持ちで、しかし笑みを絶やすことなく、深々と膝を折る形で一礼をした。


「き、急な訪問となり、皆様には申し訳なく思います。父、ルンドフ・グラマン公爵の名代で参りました。セイライ・グラマンと申します」


「まあ、セイライ様。お久しゅうございます」


 マリアンヌが代表して、セイライ公女へ挨拶を返した。


「それで本日は、どのような御用件でしょうか?」


「はい。勇者の一人――ヴィネシス様の訃報に、わたしだけでなく、父も哀しんでおります」


「勿体ない御言葉に存じます」


 聖母が頭を下げ終えるのを待って、セイライ公女は小さく頷いた。


「葬儀については、父も援助を惜しまぬと申しております。でも、聖母様や勇者様方を訪ねたのは、これが本題ではありません。あくまで噂なのですが……勇者の試しで認められなかった者が、勇者になったと聞きました。これは、事実でしょうか」


「それは――」


「公女様、彼がそうです!」


 返答に迷っているマリアンヌに代わり、ソノリーが答えた。
 背中を押される形で二歩ほど前に出た俺に、セイライ公女は見広げた目を向けてきた。


「あなたが――聖母様、間違いありませんか?」


「……はい」


 観念したように応じるマリアンヌから離れると、セイライ公女は俺へと近寄った。
 そしてマジマジと俺の顔を見上げてから、数回の瞬きをした。


「想像していたより、地味ですね」


 これはきっと俺への発言ではなく、独り言だと思う。だけど呟きのように小さくない声だったため、周囲にも聞こえてしまっている。
 その証拠にソノリーだけでなく、マリルアやレイユ、フォルナまでもが笑いを噛み殺す事態となっていた。文句を言うわけにもいかず、俺はただ赤面するしかない。
 そんな周囲の雰囲気に気づいたセイライ公女は、サッと顔を紅く染めながらも俺に頭を下げた。


「ご、ごめんなさい! 独り言とはいえ、失礼な言……発言をしてしまいました」


「いえ。大丈夫です。その……否定はできませんし」


 幼いとはいえ、公女という立場の人間から謝罪をされるとは思ってなかった。そのことに驚いたからか、不思議と怒りは沸かなかった。
 そんな俺の返答に、セイライ公女はホッとしたように微笑んだ。


「ありがとうございます。そういえば、お名前をまだ伺っておりませんでした」


「すいません。お――その、ヌアダ・ノーランと申します」



「ヌアダ……改めて、セイライ・グラマンと申します」


 行儀良く膝を折った一礼をしたセイライ公女は、はにかみながら俺の顔を見上げた。


「それにしても、勇者の資質のない貴方が、勇者のように戦えるなんて。これはもしかしたら、東の都――いえ、悪魔たちによって被害を受けている全世界の方々にとって、朗報となりうるかもしれません。期待をしていますね」


「はい。ありがとうございます」


「もっとも、勇者となる者を選定し、擁立をしている教会にとっては、面白くないかもしれませんけれど。悪魔に対抗する勇者――その存在があって、オーガスト教は全世界に広まったわけですし」


 これは、聖母マリアンヌに対しての発言だ。
 マリアンヌは少し困った顔をしながら、小さく肩を竦めた。


「恥ずかしながら、その通りです。勇者以外でも悪魔――特に魔王級と戦えるとなれば、教会の存在意義が薄れてしまいます」


「それはそうでしょうが、彼の才能を伸ばし、悪魔たちから人々を護る力となるよう、教会として援助を惜しまぬよう願います」


「……心します」


 マリアンヌが応じると、セイライ公女は小さく頷いた。


「それでは、これを朗報として、父には伝えます。ヌアダ――あなたとは色々とお話をしたいことがありますの。またの機会に、よろしくお願いしますね」


「はい……俺、いえ、わたしで良ければ」


 辿々しい俺の返答に、セイライ公女は満面の笑みを浮かべた。
 馬車に乗った公女が去って行くと、ソノリーが俺の背中を突いてきた。


「……もしかして、ああいうのが好み?」


「え? いや、どうして……いくらなんでも、幼すぎるでしょ」


 ふて腐れているソノリーに、俺は項垂れた。
 それから、なんやかんやあって――俺たちは二手に分かれて、ヴィネシスの遺体捜索のために街へと出た。

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本作を読んで頂き、誠にありがとうございます!

わたなべ ゆたか です。

本作において、武術を極めた領域のことを無心と表記しています。古武道などでは、よく使われているものですね。

スポーツ物の領域(ゾーン)とは、また違う意味合いですね。

本作においては、当人の肉体や精神の状態ではなく、スキルが一定以上に達した者のみが会得できる、身体能力を超えた状態――的な感じです。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

次回もよろしくお願いします!
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