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第二章~魔女狩りの街で見る悪夢
番外編
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番外編 大嘘次回予告
クリス嬢と並んで街中を歩いていた俺は、ふと首から下げた竜の指輪に触れた。
「ガランは昔、恋人とかいたの?」
〝恋人――つがいのことか? 我には、そのような存在はいなかった〟
「あら? 幻獣さんは、恋人とかつくらないんですの?」
意外そうなクリス嬢の問いに、ガランはいつもの調子で答えた。
〝いや――そうではない。我は王として、すべての幻獣の頂点に立たねばならなかった。その責務を果たすため、つがいを持たなかったのだ〟
「それは……孤独でしたのね」
クリス嬢が少し寂しげな表情を見せたとき、俺たちは屋台の前を通りかかった。
様々な食べ物、小物が売られた屋台を順に通り過ぎていったとき、不意に声が聞こえてきた。
〝パパの気配がする! パパ! パパぁ!〟
幻獣の声――? 顔を見合わせた俺とクリス嬢は、足を止めて周囲を見回した。
「……ガラン。気配がどこから聞こえるか、わかるか?」
〝ああ――斜め右から気配がする〟
斜め右――ネックレスや帽子など、どこかから盗んだか家のものを持ち出したような品を売っている屋台に近づいた俺とクリス嬢は、そこに地面から剥がしてきたと思しき、土がこびり付いた結晶の塊を見つけた。
あまりの暇さに、うつらうつらとしている店主の目を盗んで、俺は結晶に触れた。
「おい、聞こえるか?」
〝聞こえるよ。誰? そこにパパがいるの?〟
「パパって、誰だ?」
〝えっとね。王様なの。ガラーンニードアーアルクドムンっていうんだ〟
……確か、ガランってそんな名前だっけ?
でも、つがいはいないって言ってたような。
怪訝に思いながらも、俺は竜の指輪に触れながら、ガランに訊いてみた。
「ガラン……そう言ってるけど、心当たりはある?」
〝いや――〟
ガランが答えようとしたとき、結晶から大声が響いた。
〝パパだ! パパ! なんで、ママを置いて、どこかにいっちゃったの? 僕とママ、ずっと寂しかったの〟
この言葉の内容は――俺とクリス嬢は、二人揃って竜の指輪に目を向けた。
「ガラン――あの」
「ガラン――あなた、まさか子を作って逃げたんですの?」
俺より先に、質問をしてしまった。女性の立場からすれば、この内容は許せない類いのものに違いない。
少し怒ったようなクリス嬢の質問に、ガランは少し早口に答えた。
〝いや――そんな記憶はない。な、なにかの――そう、なにかの間違いだ。二人とも、信じて欲しい。我は、決してそんな、そんなことしてはおらぬ!〟
……少し上擦ったガランの声って、初めて聞いた気がする。
俺とクリス嬢は、顔を見合わせると無言で頷いた。言葉はなくとも、お互いに考えていることは――状況が状況だけに、すんなりと分かった。
――ガランの隠し子。
まだ疑惑の段階ではあるが、否定できるだけの材料もなかった。
幻獣の所在を探していたマーカスは、ドラグルヘッド市の露店を巡っていた。
そんなとき、ヴィラが唸り声を挙げていることに気づいた。
「ヴォラ? どうしたんだい?」
マーカスの問いかけを、ヴィラはまったく聞いていなかった。
〝か、か……隠し子ですって? あ、あたしには、そんなこと一切しなかったのに!〟
かくして――結晶に封じられた幻獣の魂、その本当の親を巡る謎が、トラストンとクリスティーナ、そして幻獣であるヴォラを悩ませることとなる。
次回第三章、隠し子パニック~パパと呼ばれたガラン。疑惑の過去を探せ!
近日未公開!
注:本当に書きません。本編でシビアなシーンが多かったですし、お気楽なものをやってみただけです……。
--------------------------------
本作を読んで頂き、本当にありがとうございました。
わたなべ ゆたか です。
コメディオンリーの文章は、トトと幻獣王の指輪では初めてかもしれません。
お目汚しではありますが、クスリとでもして頂けたら幸いです。
それでは本当に、次回のアップをしたときに。
そのときもどうか、よろしくお願いします!
追記
エピローグと一緒にアップしたつもりでしたが、非公開になってました、、、すぐ寝てしまって、気付きませんでした。なんか生まれてすいません……穴掘って埋まってます……。
クリス嬢と並んで街中を歩いていた俺は、ふと首から下げた竜の指輪に触れた。
「ガランは昔、恋人とかいたの?」
〝恋人――つがいのことか? 我には、そのような存在はいなかった〟
「あら? 幻獣さんは、恋人とかつくらないんですの?」
意外そうなクリス嬢の問いに、ガランはいつもの調子で答えた。
〝いや――そうではない。我は王として、すべての幻獣の頂点に立たねばならなかった。その責務を果たすため、つがいを持たなかったのだ〟
「それは……孤独でしたのね」
クリス嬢が少し寂しげな表情を見せたとき、俺たちは屋台の前を通りかかった。
様々な食べ物、小物が売られた屋台を順に通り過ぎていったとき、不意に声が聞こえてきた。
〝パパの気配がする! パパ! パパぁ!〟
幻獣の声――? 顔を見合わせた俺とクリス嬢は、足を止めて周囲を見回した。
「……ガラン。気配がどこから聞こえるか、わかるか?」
〝ああ――斜め右から気配がする〟
斜め右――ネックレスや帽子など、どこかから盗んだか家のものを持ち出したような品を売っている屋台に近づいた俺とクリス嬢は、そこに地面から剥がしてきたと思しき、土がこびり付いた結晶の塊を見つけた。
あまりの暇さに、うつらうつらとしている店主の目を盗んで、俺は結晶に触れた。
「おい、聞こえるか?」
〝聞こえるよ。誰? そこにパパがいるの?〟
「パパって、誰だ?」
〝えっとね。王様なの。ガラーンニードアーアルクドムンっていうんだ〟
……確か、ガランってそんな名前だっけ?
でも、つがいはいないって言ってたような。
怪訝に思いながらも、俺は竜の指輪に触れながら、ガランに訊いてみた。
「ガラン……そう言ってるけど、心当たりはある?」
〝いや――〟
ガランが答えようとしたとき、結晶から大声が響いた。
〝パパだ! パパ! なんで、ママを置いて、どこかにいっちゃったの? 僕とママ、ずっと寂しかったの〟
この言葉の内容は――俺とクリス嬢は、二人揃って竜の指輪に目を向けた。
「ガラン――あの」
「ガラン――あなた、まさか子を作って逃げたんですの?」
俺より先に、質問をしてしまった。女性の立場からすれば、この内容は許せない類いのものに違いない。
少し怒ったようなクリス嬢の質問に、ガランは少し早口に答えた。
〝いや――そんな記憶はない。な、なにかの――そう、なにかの間違いだ。二人とも、信じて欲しい。我は、決してそんな、そんなことしてはおらぬ!〟
……少し上擦ったガランの声って、初めて聞いた気がする。
俺とクリス嬢は、顔を見合わせると無言で頷いた。言葉はなくとも、お互いに考えていることは――状況が状況だけに、すんなりと分かった。
――ガランの隠し子。
まだ疑惑の段階ではあるが、否定できるだけの材料もなかった。
幻獣の所在を探していたマーカスは、ドラグルヘッド市の露店を巡っていた。
そんなとき、ヴィラが唸り声を挙げていることに気づいた。
「ヴォラ? どうしたんだい?」
マーカスの問いかけを、ヴィラはまったく聞いていなかった。
〝か、か……隠し子ですって? あ、あたしには、そんなこと一切しなかったのに!〟
かくして――結晶に封じられた幻獣の魂、その本当の親を巡る謎が、トラストンとクリスティーナ、そして幻獣であるヴォラを悩ませることとなる。
次回第三章、隠し子パニック~パパと呼ばれたガラン。疑惑の過去を探せ!
近日未公開!
注:本当に書きません。本編でシビアなシーンが多かったですし、お気楽なものをやってみただけです……。
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本作を読んで頂き、本当にありがとうございました。
わたなべ ゆたか です。
コメディオンリーの文章は、トトと幻獣王の指輪では初めてかもしれません。
お目汚しではありますが、クスリとでもして頂けたら幸いです。
それでは本当に、次回のアップをしたときに。
そのときもどうか、よろしくお願いします!
追記
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