消耗品扱いの発掘技師は、元クールビューティーな魔造少女と世界を救う

わたなべ ゆたか

文字の大きさ
31 / 57
消耗品扱いの発掘技師は、元クールビューティーな魔造少女と世界を救う

消耗品扱いの発掘技師は、魔造少女と世界を救う_アフターストーリー だって女の子だもの ~ レオナ  その2

しおりを挟む

   2

 発掘の仕事が終わった僕は、レオナと一緒に商店の並ぶ通りを歩いていた。
 第三坑道が落ち着くまで、僕は第二坑道の手伝いをしている。第三坑道は、軍が主体となって崩れた部分の掘削が続いている。
 アイホーントを封印していた、あの巨大な箱を掘り起こすという話だ。
 噂では、アイホーントの死骸を再封印するらしいけど……上手くいくのかな?
 とはいえ軍の管轄になった以上、僕の出る幕はない。ジョージ大尉あたりから、相談を持ちかけられたら応じるけど……あまり良い思い出がないから、あまり関わりたくないっていうのが本音だけど。

 僕とレオナは先ず、《金の砂塵亭》に入った。
 店内は、まだ客の姿は少なかった。僕とレオナが二人掛けのテーブルに座ると、店員のダレスさんが近寄って来た。


「いらっさいっと。お、久しぶり。なんにする?」


「じゃあ、パンとスープ……あ、いや。パンと鶏の唐揚げを」


「あたしは、鶏の唐揚げを二つ」


「あいよ。ちょっと待ってな」


 店の奥へ行ったダントさんと入れ替わりに、おかみさんが僕らのテーブルへと近づいて来た。


「しばらくぶりじゃないか。最近は自炊を頑張ってるって聞いてたけど、今日はこの辺に用事でもあるのかい?」


「えっと、僕はダグラスさんのところでバイトが」


「あたしは……下着が欲しくて」


「下着? ああ、戦いかなにかで、破れたのかい?」


「あ、いえ……その、まだ持ってなくて」


 レオナが返答した途端、店内にいた男性客――みんな発掘技師だ――が、一斉にこちらを向いた。皆一様に、少し鼻の下が……伸びている。
 おかみさんといえば、僕に少し釣り上げた目を向けた。


「……アウィン。あんた、今まで下着もなしで過ごさせてたのかい」


「え? いや、その……」


「あ、違うんです。その、水着みたいな補助アーマーが下着代わりだったんですけど、やっぱりちゃんとしたものが欲しくて」


 この僕を庇ってくれたレオナの返答に、店内の男性陣は一斉に元の姿勢に戻った。なにを期待してたのか……あまり想像したくないなぁ。
 おかみさんは、安心したように息を吐いた。

「ああ、そういうわけかい。納得したよ」


「そういうわけで……あとは、バイト探しですね。下着代とか稼がなくちゃ」


 その言葉に、おかみさんは目を丸くしながらレオナを見た。


「あんたが、バイト探し?」


「そうなんです。協力し合うって決めたので、自分の欲しいものくらいは自分で買いたいんです。じゃないと、アウィンがバイトを増やしそうで、心配なので」


「へえ……なるほどねぇ」


 おかみさんは腕を組むと、見回すようにレオナの周囲で顔を動かした。
 なんだろう――と、僕とレオナが顔を見合わせていると、おかみさんは満足げに頷いた。


「そうだねぇ。なんなら、ここでバイトするかい? 注文とかテーブルの片付けをする仕事だけどさ」


「え――? え? あ、あの……いいんですか?」


「あんたさえ良ければ、だけどね。給料もそんなに高くはないし。看板娘もあたしだけじゃあね」


 ……看板娘。

 おかみさんは、看板娘としては少し恰幅の良い体型だと思うけど……そのあたりは、突っ込まないほうがよさそうだ。
 レオナといえば……少し腰を浮かせながら、おかみさんへと笑顔を向けていた。


「あ、あの、お願いしたいです。よろしくお願いします!」


「そりゃ良かった。こっちこそ、よろしく。明日からで――」


 おかみさんが微笑んだとき、その背後から半泣きのダントさんが大声でわめいた。


「おかみさん! お、俺クビッすか?」


「あんたね――そんなわけないだろう。忙しい時間帯に、人手が欲しいって思ってたところだしね。丁度良いって思っただけだよ」


 溜息を吐きながら、おかみさんは呆れ顔で答えた。
 ともあれ、これでバイトが決まったのは時間的にも助かるなぁ。あとは、下着の下見だけど、それはレオナ一人で行くんだろうし。
 そうなると、晩ご飯を食べたら別行動になっちゃうな……。
 少しの寂しさを覚えながら、僕は注文の品が届くのを待つことにした。

   *

「予想はしてたけど、やっぱり地味なのばかりだね」


 店内に並んだ商品を眺めながら、レオナが素直な感想を口にした。
 しばらく商品棚を順に眺めていたけど、不意に振り返ると、両手に品を僕に見せてきた。


「どっちが似合うと思う?」


「……あの、そんなことを聞かれても」


 僕は下着が陳列された場所から背中を向けて、顔を真っ赤にさせていた。
 てっきり別行動になると思っていた下着の下見だけど……何故か、僕も同行することになっちゃってた。
 まだ街の地理に疎いレオナが、僕に道案内をして欲しいって言ってきたからなんだけど……正直、恥ずかしい上に周囲の目が気になっちゃうよ、これ。

 そもそも、女性の下着とかわかんない。

 僕はレオナをチラ見しながら、右に持っている水色のものを指さした。少なくとも、左の茶色よりは……良いと思うけど。
 レオナは僕の指先を目で追って、右の水色のものを顔の前に上げた。


「やっぱりこっちよね……ねえ、二〇ベリって、どのくらいなの?」


「ええっと……銅貨で二〇枚」


 大体、僕が修理屋でやる二日分のバイト代が、そのくらいだ。発掘の給料が、大体……六バロン。銅貨に換算すると、三〇〇ベリだ。
 銅貨五〇枚で銀貨一枚換算だから、計算は合ってると思う。

 女性用の下着って、高いんだなぁ……。

 それでも、手持ちでなんとか支払える額だ。
 そう思っていたら、レオナは同じ色の品をもう一つ取り出した。


「二つで四五ベリだって。足りそう?」


「ごめん……少し足りない」


 女性用の下着って……上と下とで別なんだ。今まで知らずに済んでいたことだけど……これからは、そういうわけにもいかない。
 そうは言っても、流石に女性用の下着ばかり売ってる場所は、やっぱり恥ずかしいなぁ……。
 そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、レオナは「もう少し安いのないかな」と別の棚を探し始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最弱弓術士、全距離支配で最強へ

Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」 剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。 若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。 リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。 風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。 弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。 そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。 「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」 孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。 しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。 最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...