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3章

23・いつもと様子が違うと思ったのは、私だけではなかったようです

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「どれもエレファナさまによくお似合いですので、私も同じものを選ぶと思っていたところです」

「カミラさんもポリーと同じだったのですね!」

「ええ。選ばれたものはエレファナさまの雰囲気を損なわず、それぞれが違う印象を持たせてくれるようにと、工夫の凝らされた選択です。ポリーさまはエレファナさまのためを思い、なおかつ魅力を引き立てる審美眼をお持ちのようです」

「い、いえ、私にはそのような……」

「そうでしたか。ポリーはいつも一生懸命で、私のことをよく見てよく考えてくれているからですね」

「お、奥さ……いえ、エレファナさまからそんな風に思っていただけているとは……私にはもったいないお言葉です」

 ポリーはエレファナと和やかに話すカミラを見てかなり困惑しているようだったが、カミラは気にする様子もなく続ける。

「もちろん私で良ければお手伝いさせていただきますので、なにかありましたらお声がけしてくださいね」

「なにかないと、声をかけてはいけませんか?」

 エレファナがあまりにも率直に聞くのでカミラは目を丸くしたが、それが自分と話したいという素朴な意思表示だと気づいたらしく、すぐに込み上げてくるような笑顔になった。

「いいえ、エレファナさまの好きなときにお声がけしてください」

「ありがとうございます。カミラさんも、どうぞ気軽に話してください。色々な意見を聞きたいです」

「エレファナさまは気さくで、向上心の高いお方なのですね」

「そうなのですか……? 私はただ、セルディさまがにこっと笑ってくれる品を探したいのです! それとポリーが今日はちょっとはしゃいでいるので、いつもより疲れていると思います。カミラさんがお手伝いしてくださっている間、ポリーも少しは休めるかもしれません」

「い、いえ……エレファナさま、私は疲れてなどおりませんよ。はしゃいだつもりもありませんし……」

 エレファナに対してポリーが慌てたように頬を赤くしているのに気づくと、カミラは率先して手伝う気になったらしい。

「今日のポリーさまは、いつもとご様子が違うと思っておりましたが……納得しました」

 そういたずらっぽく一声かけてから、エレファナのそばへ歩み寄る。

「先ほどから思っていたのですが、エレファナさまはきっと、髪型を変えるとまた違った雰囲気を引き出せる方ではないでしょうか。特にその柔らかに流れるような髪が、お召しになったものを引き立ててくれる上品な存在感がありますので」

「そうですか。髪が上手くできたようで、良かったです」

 エレファナの珊瑚色の髪は、いくらカミラが信頼できる人物だとしても「見られるには印象的過ぎる」とセルディが気にしていたため、少し戻ってきた魔力で綺麗な胡桃色に変化させている。

 そして髪質自体もポリーが良い櫛で梳いてくれたり、湯あみ上がりに香油で手入れをしているうちに、目を引くような美しさを保っていた。

「この髪はポリーが一生懸命お世話してくれています。色も上手だと気に入ってくれたんです。そうですよね、ポリー……ポリー、どうしたのですか?」


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