さまよう魂からの異世界転生

烏帽子 博

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第一章

魔法使いエスメラルダ

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さまよう魂は、人に気づかれないようにしながら町の方へと向かった。

町のそば迄来ると高度を上げて町全体を見下ろす事にした。
町は海沿いで、白い建物がいくつも立っている。
平地ではなくて、海岸線から丘を登るように町ができてる。

生活するには、年寄りにはキツイ坂ばかりの町だが、見た目は、素晴らしいな。
ここで人になって、生きて見るのも良いかもなぁ

「さまよう魂」がそんな事を考えていると、突然攻撃を受けた。

氷の矢が自分めがけて飛んできたのだ。
一射目は、運良く外れたが、まだまだ撃ってきそうだ。
さまよう魂は、高度をどんどん上げて攻撃の射程から逃げることにした。
ここは、まごまごなんてしていられない。
『魂注入』で人になる為に転生したのに、その前に消されたら、たまったもんじゃない。
相手は、見るからに魔法使いと言う感じで黒のローブに三角帽子で杖を持って、こちらを見上げている。

「降りて来て、私に倒されなさい」

なんて自分勝手な言い草だ
倒される為にわざわざ行くはずがないだろう。
バカなのか。

「降りて来ないなら、こっちから行くわよ」

お前も飛べるのかい。だったらとっくに飛んで来てもよさそうなものを

「そこを動くんじゃないわよ」

そう言われて、待つ義理は無いんだが、ついこのバカな魔法使いが面白くなって、その場に佇んでいた。

魔法使いは、キョロキョロ周りを見渡して、一軒の家に入っていった。
さまよう魂の予想どおり、魔法使いは、箒を手にしていた。

魔法使いは、やっぱり箒で飛ぶのか。
ど定番だが、このあとの展開が面白くなってきた。

魔法使いは、飛ぶのに苦労している。
ふわっと浮かんでまた落ちたりを何度か繰り返している。

下手くそだなぁ

「ちょっと、何でこの箒、言うこと聞かないのよ」

あらあら、自分が下手くそなの棚に上げて、箒のせいにしてるよ。

あ、諦めたみたいだな、地面に降りて箒をだんだんと踏みつけてる。

「この、このー、箒のくせに私の言うこと聞かないから、こうなるのよ。」

それ、人の家から借りてきた箒でしょ。そんなことしたら、誰もあんたに箒貸さないよ。

さまよう魂は、今のうちにこの場を離れようとした。

「逃げる気」

えっ!気づくのかい。この魔法使いバカだと思ったけど意外と鋭い所もあるんだ。

「私、飛ぶのは苦手だけど、探知には自信が有るのよ。
逃さないから。」

個人情報自分でバラしてるよ。

それでも逃げられないことも無いと思うが、また出会う度に攻撃されるのも嫌なので、さまよう魂は魔法使いと話をすることにした。

(魔法使いのお嬢さん。何で俺はあなたに倒されなきゃいけないんだい。
俺があんたに何したって言うんだ。)

「だってあんた魔物でしょ。魔物は退治しないといけないのよ。」

(俺は、魔物じゃないぞ。
神ロザリーによって、さまよう魂として、この世界に転生してきたばかりなんだぞ。)

「マジっ」

(マジだよ。だからもう俺に構うな。)

「くっ」
魔法使いの娘は、下唇を噛んでいる。

(じゃあな。俺は行くから。)

「待ちなさいよ。
あんたは魔物じゃあないって言うけど、どう見ても、魔物よ。
神様の名前を出したからって信用できるわけないわよ。
喋る人魂が魔物じゃ無かったら、何だって言うのよ」

(お前、人の話聞かないタイプだな。
さっき言ったばかりだぞ、俺は魔物でも人魂でもなくて、さまよう魂なの
人を害する様なことはしないし、するつもりもない。
善良な、さまよう魂なの。)

「うっ じゃ、じゃあ、あんたこれからこの町で何をするつもりなのよ。
私のこと騙して、やっぱり人を襲うんじゃないの」

(はぁ~、もう面倒くせぇ~
いいか、もう少し俺のことを教えてやる
俺が神ロザリーから貰った能力は、魂注入と再生だ。
人を攻撃するような能力は、はなっから持ってないんだよ)

「ふぅ~ん。そしたら寝てる人の体を乗っ取ることもできるんじゃない。
そしたら、あんなことや、そんなことして、キャー、スケベ、エッチ、変態。」

魔法使いの娘は、足をクロスしてもじもじしながら紅くなった顔を手で隠している。


(1人で盛り上がってる所悪いが、魂注入は、死人しか相手にできないし、俺は女になるつもりも無いぞ。)

「そうなの。
つまらないわね。」

(何だと~
あ~このバカ女殴りて~
でも腕も無いただの『さまよう魂』じゃ何もできねぇ)

「アンタ心の声がダダ漏れよ。
言っとくけど、私バカ女じゃないわよ。
エスメラルダよ
アンタは」

(俺か、俺は 
名前は、まだ無い。
前世の名も忘れた。
新しい体を手に入れたら、名前を考える予定だ。)

「名無しなんだ。
だったらアタシが名前つけてあげようか」

(嫌な予感しかしない。
やめてくれ。)

「エディってどう。
悪くないと思うわ。
ねっ、そうしなさいよ」

(な なんだコレ)

さまよう魂とエスメラルダを包むように二人の体が、まばゆく光った。

「なんか契約しちゃったみたいね」

(解約を申請します。
クーリングオフ。)









「私が名付け親ってことになったのよね。
よろしくね。エディ」

(まさか、奴隷とか眷属とかじゃないだろうな。)

「試してみようか。
エディ、お手」

(俺には、手は無いし、犬じゃねぇ。)

「エディ、おすわり
エディ、ちんちん
いや~~ん、ちんちんって言っちゃったわ。恥ずかしい。」

エスメラルダは、内股になってクネクネしている。

エディは、これ以上エスメラルダを構っても時間の無駄だと思い、黙ってその場を離れることにした。

エディの予想に反して、エスメラルダは、後を追って来なかった。

町中を適当に散策してみるが、エスメラルダの様にエディを見つける人は居なかった。
やはり、エスメラルダは、探知系の能力が優れて居たんだろう。
他にもそれ系の能力持ちには、見つかる可能性も有るよな。ここは、慎重に行動するに越したことはないなぁ

(エディ、死体見つかった?)

エディは、辺りをキョロキョロ見回したが、エスメラルダの姿は無かった。

(エディ、聞こえてるんでしょ。返事位しなさいよ)

(エスメラルダ、どうやってんだこれ)

(アンタのマネしただけよ。だいたいエディは、口も声帯も無いのにどうして私と会話が出来たか分かってるんじゃないの)

(いや、まぁ、そうだが)

なんだかエディはエスメラルダに先を越された感がして悔しかった。

(エディに名前つけたら、なんか魔力で話が出来るようになったみたいよ。エヘヘ得しちゃった。
それでもう一つやりたいことがあるんだけど、いいかな。)

(却下だ)

(そんなぁ~、何やるかも言ってないのに、断らないでよ)

(どうせ、ろくなこと無いだろ)

(そんなこと無いわよ。とっても便利だと思うわよ)

(俺にとっても便利なことか?)

(やってみたほうが、説明するより早いわね)

(ちょ、ちょっと…)

エディは、フッと意識が飛んだように感じた。
そして次の瞬間、エディの目の前にエスメラルダが現れた。

「ヤッター 召喚成功」

(召喚だと)

「そうよ、あなた私の目の前にいるじゃない」

エディは、そう言われて初めて先程と周りの景色が違うことに気がついた。

はぁ~~
マジで、このちょっとお馬鹿な魔法使いの眷属になってしまったようだ。

「ねぇエディ。
あなたはあなたで、私の魔法とか使えるようになったりしてないの」

(エスメラルダの魔法を俺がか)

「氷の矢をイメージして、空の方に手を向けて、アイスアローって言ってみて」

(俺には手は無いぞ)

「いいから、魔法はイメージよ。
手があるつもりでやってみなさいよ」

(こうかな、アイスアロー)

目の前に氷の矢が現れて空に向かって飛んでいった。

すげぇ。できちまった。

「私のお陰よ。感謝してね。」

(あ、ああ、ありがとう
ちっとも嬉しくないがな)

「そうなの。エディは、攻撃手段が無いって言ってたじゃない。
攻撃は、最大の防御って言うでしょ」

(戦うより俺は逃げる方を選ぶ性格なんだよ)

「それで、これからどうやって新しい体を手に入れるつもりなの。
エディは、私の眷属なんだから、イケメンでスラットした細マッチョにしてよ。
それでどうせなら剣士がいいわねー」

(なぁエスメラルダ。何でアンタの希望に俺が沿わなきゃならないんだ。)

「エディは私の眷属でしょ。死が二人を分かつまで、私たちは一緒なのよ。だったら、私の理想の人になって欲しいじゃない。」

(俺のこと召喚しなければ、お互いに自由じゃないか。無理に一緒に居る必要はないだろ)

「酷い。そんなに私と居るのが嫌なの」

エスメラルダは、泣き真似をしている。

(俺たち、知り合ったばかりだぞ。
俺がどんな人間か、知らないだろ。
俺もエスメラルダがどんな女か知らない。
どうしてそれが急に『二人を死が分かつまで』なんて結婚みたいなことになるんだよ。
それにエスメラルダは、俺のこと倒そうとしたんだぞ。
なんで俺にこだわるんだよ。)

「運命を感じたのよ。それにエディは、強くなれる可能性が大きいじゃない。
過去の英雄の身体を手に入れることも可能なんでしょ。
私の眷属が英雄の身体を持ってたら素敵じゃない。
私たち最高のパートナーになれるわよ。
勝手に変な死人の身体選ばないでよ。
私が探すからね。
私が又呼ぶまでは自由にしてていいから。その代わりに他の人に見つかって討伐されたりなんてことには、絶対ならないでよ。
いいわね、約束だからね」

エスメラルダは、言いたいことをまくしたてて、去って行ってしまった。
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