魔法使いフウリン

烏帽子 博

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第一章

突然の別れと出会い

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「フウリン 水汲みに行ってきて」

「はーい、お母さん」

フウリンは水嚢を背負って下の川に向かった。家の周りの草原を抜けて林の奥に進むと水音が聞こえてきた。

水汲みの仕事は大変だけれど、川の近くには、色々な果物の木が生えていて、それを採って帰るのは楽しみだった。
それにこの日は、暑い日だった

「水浴びもしてから帰ろう❤️」

上着だけ脱いで、汗で濡れた下着のまま、川に入っていった。
川の水は冷たくて気持ち良かった
泳いだり潜ったりして少し遊んでから、陽当たりのいい岩の上で体を乾かした。

上着を着て、水を汲む前に木苺の実を沢山採った
「これだけ有れば、お母さんがジャムを作ってくれるかな?」

水嚢にも水をしっかり汲んで、帰り道を歩いて行く
帰りは、登り道だ
「折角水浴びをしたのに、すぐ汗だくになっちゃった。」

林を抜ける頃、家の方から煙があがっているのが見えた。
最初は、お母さんが、料理をしてるのかと思ったけど、それが違うことが直ぐわかった。

荷物を投げ捨てて、家に向かって走った。

家が燃えている
「お母さん! お父さん!」
何度も呼んでみたけど返事がない。

月が真上に来る頃まで、家は燃えて、殆ど何も残らなかった。

朝になって、ようやく自分の置かれた状況を理解出来た。

魔法の箱を開けなきゃ!

「フウリン 私たちにもしもの時は、この箱を開けなさい」
そう言って、お父さんとお母さんがリビングのテーブルの下に箱を埋めたのを思い出した。

幸い外にあって燃えなかったスコップがあった。
夢中で箱を掘り出した。鍵を掛ける所も無いのに、蓋が開かない。

そうだ、母に教わった言葉があった
「私はフウリン、無限箱よ我と共にあれ!」

ーー
300G
聖なるナイフ
ーー
箱が消えて、文字だけが空間に浮かんだ。
手を払うと、空間の文字が消えた。

「お父さん お母さん、これからどうしたらいいの」
又涙が出てきた。


「フウリンちゃん」
私を呼ぶ声で目が覚めた。知らないうちに寝ていたみたいだ。

目の前には、隣の土地を所有してるケントさんがいた。
「大丈夫かい?大変なことになったね」

ケントさんは、普段はそこの畑を小作人に貸して、本人は町で商店を営んでる。

「私の、お父さん、お母さんは?」

「残念だけど、この火事で亡くなられたようだ」

「わぁーー」
ケントさんの胸をかりて、泣いて泣いて泣いた。

気が付くと、私はベッドの上で目が覚めた。

「ここは どこ?」

飛び起きようとすると、メイド服の女性がいた

「大丈夫ですよ」
その人は優しく声をかけてくれた

「目覚めたら、教えるよう旦那様から仰せつかってます」

そう言って、彼女は部屋から出ていった。

5分程して、ケントさんがやってきた。
「君の家族は、残念だけどもう誰もいない。
ご近所のよしみで、君を雇ってもいいと私は思ってるんだ。
私の所で住み込みで働かないかい?
それが嫌なら教会の孤児院に行く手も有るが。
このあたりの孤児院出の子どもが、大人になってから困った人になってる噂が多いんだよ。
うちにきた方が君のためだと思うんだが、どうかな?フウリンさん」

「ケントさんのお世話になりたいと思います」

「よし、じゃあ決まりだな。
でもね。親子さんがいない未成年を預かるには、役所に出す書類がいるんだよ。
これから書類を用意するから、サインをしてくれ」

お菓子と紅茶を出してもらった。
30分位して、ケントさんが書類を持ってきた。
「ここと ここと ここにサインしてね」
と書類を出され、言われるままにサインをした。

ケントさんの家には、一つ年下の男の子ロジャーがいた。

私は、メイド見習いとして働きながら居候しているのだけど、いつも仕事よりもこいつの世話がメインだ。

今日も学校から帰って来ると
「今日は灯りの魔法を覚えた」
とかで、私にそれを教えようとする。
「俺と手を繋ぐんだ。
いいか、自分の中の魔力を感じるんだ。
なんか温かい流れが分かるかい?」

ロジャー曰く、魔法は全然使えない人が殆どで、自分は特別なんだそうだ。
私は、元々母に教わっていたから少しは魔法が使えた。
使えたと言っても、風の魔法でそよ風を起こす程度だけど

ロジャーは、一つ年上の私にものを教えるのが楽しいらしい。

「はい、なんとなく、流れを感じます」

「凄いぞ、フウリンも魔法が俺と同じように使えるはずだぞ」

私も最初母にそんな風に教わったっけ。
ロジャーには悪いが母を思い出して、泣いてしまった。

「フウリン 御免よ、何か嫌なこと俺がした?」

「いいえ ロジャー様の暖かな手に触れて、家族を思い出していました」

「誰か魔法が使えたの?」

「母が少しだけ」

「そうか、それでフウリンも使えるんだな。
お前が、魔法を使えるのは、他の人には内緒な
それから俺の練習相手になれ
俺は学校で一番になりたいんだ」

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