魔法使いフウリン

烏帽子 博

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第一章

旅立ち

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ロジャーとの魔法練習は楽しかった。
ロジャーは炎の属性だった。
私は風属性なので、もっぱらかわしてばかりだ。
たまたま彼の術に風を乗せたら、威力がとんでもなく強くなった。

「止めてください!
大きな火を見ると、火事を思い出してしまいます」

「トラウマか、わかった、すまない、辛い思いをさせたな」

それからは、お互いの魔法を打ち消す練習をしながら、チャンバラをした。

私は剣の練習を父としていたし、毎日の水汲みで体力もあって、負けることはなかった。

ロジャーは、メキメキと腕を上げたが、私もそれ以上になっていった。

3年の月日がたち、私が来月で14歳になる時、ケントさんから話が有ると呼び出された。

「いつもロジャーの相手をしてくれてるようだな。ありがとう。
フウリン、お前も来月で14歳で成人だな。
そこで、お前はここから離れ、私の知り合いの商人の所で働く事にする。見習いではなく、ちゃんとしたメイドとしてな」

そうして、私は別の所で働くことになったのだった。

姉のように慕ってくれたロジャーはこの話を聞いて大層落ち込んだが、私もつらかった。

有る夜ロジャーが、私の部屋に来た。
「フウリン、お前はうちの親父に騙されてたんだ。
お前うちに来るときに、契約書にサインしたって言ってたよな。
俺、親父にバレないように調べてみんだ。
そしたら、お前が親と住んでた所の権利を、お前が成人する迄面倒をみたら、権利を譲るって内容だぞ!
それに、次の奉公先の商人ってのは、奴隷商人なんだ。
俺、親父がそんな奴だと思わなかった。」

「ロジャー、ありがとう。私は3年もここに置いて貰えて、あなたのお父さんに感謝してるわ。
もちろんあなたにも。
だから、土地のことはもういいの、いずれはあなたのものでしょ。
でも、奴隷にはなりたくないわね。
私 迎えが来る前に逃げるわ」

「ぼくも一緒に行く!」

「駄目よ!貴方は、立派な商人になりなさい。
学校でも優等生でしょ。
私も鼻が高いわ。
それに、なんで家出してまで、あなたのお世話しなきゃいけないの?私は自由になりたいのよ」

これでいい。私も今はロジャーの事が好きだ。
でも彼はもっとふさわしい人と一緒になるべきだと思っている。

それから3日後、旅商人の幌馬車が明日朝出発する話をロジャーから聞いた。
私は、荷物や食糧を無限箱に入れて夜になるのを待って飛び出した。
足に風を纏わせて走った。私は未だ空を飛ぶ程の風は使えないが、こうして走ると、普通の倍のスピードを出して走れる。

ロジャーからの情報通りに、幌馬車は、宿屋のそばに停車していた。
私は見張りが居なくなった隙に、荷台へと潜り込んだ。
幌馬車の荷物の奥に少しだけスペースがあったので、そこに隠れた。
私はそこで眠くなり、寝てしまったようだ。朝になり男たちが、バタバタと出発の準備をしている。
その音で目が覚めた。
私は 見つかりませんように と息をひそめていた。
暫くして、幌馬車は出発した、町のゲートをくぐり、街道に出た。

「お嬢さん、もう出てきていいよ」
御者の人は、わかっていたようだ。
「勝手に乗ってご免なさい。私、事情があって町から出て行く所を人に知られたくなかったんです。お代を払いますので、どうかこのまま連れて行って下さい。
お願いします。助けて下さい。」

「何だか訳ありなんだな。心配しなくても、放り出したりはしないよ。乗車賃なら昨日あんたくらいの兄さんからもらってるよ。
それと、これもあんたに渡すよう頼まれた」
御者は、懐から手紙を出して振って見せた。

私は荷台から移動して、御者の隣に座って、手紙を受け取った。

「フウリン、君がこの手紙を読んでるなら、やはり幌馬車にしたんだね。
別れの挨拶もしないでいなくなるのは、寂しいよ。
ぼくのことは心配しないで、父のようにはならないから。
一緒に行きたかったけど、ぼくにはここでやるべき事が有ると思って残る事にした。
ぼくは、この町で一番の商人になるから。
元気でね。 ロジャー

p.s.
君のことが好きだった」

ー 私もあなたのことが、好きだったわ、ロジャー

涙が頬を伝わった。

御者のおじさんが
「どした?大丈夫か?」
と声をかけてくれた

「目にホコリが入ったんです」
と、通用しない言い訳を言った。

風が気持ちいい、私も前を向いて行こう。

「あの兄ちゃんも、やるな」
おじさんは、ボソッと呟いたが、私は聞こえないふりをした。
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