魔法使いフウリン

烏帽子 博

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第一章

ワインと毒

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男たちの話だと、私をさらいに来るのは今夜だ。
多分薬で寝かせてとかだろう。

「旦那様やロジャーさんと一緒に食事!
そんな恐れ多いです。
あの時にメイドとして拾っていただいただけでも、感謝しております。
そんな者が、一緒に食事だなんて」

「フウリン 今日お前は我が家の客だ。
ワシがそう決めた。
それだけじゃ。早く座りなさい。この食事時位しかゆっくり話ができないからな」

私は仕方なく席に着いた。
毎日こんな食事をしたら、旦那さんのような体になる訳だ。
豪勢な料理が次々と出てきた。

「それで、結婚する人とは、どう知り合ったんだい」

私は盗賊に幌馬車が襲われた時の話をちょっと脚色して話した。
その時活躍したのは、彼ではなく、冒険者の護衛にした。
これまで薬草採取や街の清掃とかの依頼をこなして、ぎりぎり二人で暮らしてたことにした。

「どのくらい強くなったのかな、明日手合わせしてよ」

「ロジャーさん、まだチャンバラごっこ好きなんですね。
おかげで、私今日まで生き延びられたんですけどね。
私でよければ、お相手させていただきますよ。」

「おいロジャー いくらフウリンだとはいえ、今はプロの冒険者だぞ。お前がかなうはずないだろ」

「ぼくもそう思いますよ。だからこそ、どんだけ強くなったか、知りたいじゃないですか。ワクワクしますよ」

「商売の方もそれくらい興味を持ってくれたらいいんじゃがな」

「偉大過ぎる親には、僕みたいな方が、良いんですよ。
真面目にやればやるほど比べられるのは、かんべんして欲しいですよ」

「これまでで、一番大変なクエストは、どんなのがあったんだい」
旦那さんが、明らかに私の力量を測る質問を投げてきた。

私は適当な作り話をした
「お婆さんが飼ってた猫が逃げたんで、それを見つけるクエストです」

「猫かぁ それで見つけたのかい」

「ええ でもその猫が、ワイルドパンサーだったんです」

「ヘェ~ ワイルドパンサーか、猫科でも大違いだよなぁ
それで無事捕まえたのかい」

「いいえ 見つけるクエストですから、捕まえてません。危ないですしね」

「それでどうやって見つけたのの」

「そのワイルドパンサーがまだ小さい頃に寝かされてた籠とお婆さんの古着をそこに入れて森に置いたんです」

「それで」

「ワイルドパンサーは、籠とかお婆さんの匂いを覚えていたんですよ」

「なんでそうと分かるの」

「お婆さんの古着に頬ずりしたり、小さくて入れない籠に入ろうとしたんです」

「ヘェ~ それで」

「それで、そのワイルドパンサーが出没する場所にお婆さんを連れて行って、感動の再会して終わりです」

「お婆さんが食われて終わりってことじゃ無いよね」

「もちろん、ちゃんとなついてましたよ。」

「そのワイルドパンサー他の冒険者が狩ったりしなけりゃいいけどなぁ」

「お婆さんが、首輪を着けてあげましたから、そうそう襲われないとは思いますが、そのへんは運でしょうね」

その後は、ロジャーのノロケ話を色々と聞かされ、食事も終盤になる頃

「フウリン、ワインはどうだ、少しは飲めるだろう」

キター、定番パターン。
毒入りワインでしょ。
今回は眠り薬よね。

どうやって薬を入れるのかしら?

グラスが配られた。
目に魔力を集めて見たけど、異常はなかった。

ワインが、旦那様、ロジャー、と注がれて、

あ! ボトルの口を拭う仕草が不自然

私のグラスにもワインが注がれた。

「では、フウリンの結婚おめでとう。乾杯!」

私はほんの少しだけワインを口に含んだ。
味覚と嗅覚に魔力を集めてみると、眠り草の成分が入っている

「フウリン 乾杯なんだから、全部飲まないとだめだぞ、さあ」ケントさんが無理強いする

私はとっさに席を立って、ボトルを持ってケントさんの席に行く
「旦那様、グラスが空のようですね。お注ぎします」

「わ ワシはいい ワインは1杯だけと、医者に言われとる」

「まぁまぁ、一応お注ぎして置きますね」
ケントさんのグラスにワインを注ぎ終えて、席に戻ろうとする時に眠気が襲ってきた。

「ごめんなさい、疲れが出たのか、眠くて仕方ありませんので、失礼ですが、退席させていただきます」
最後の方は、ろれつが回らない風に話した。

部屋に戻る途中トイレに寄って、胃の中を空にした。
水が飲みたかったが、枕元に置いてある水も怪しいので我慢した。
魔力で脳と肝臓を活性化してみた。
それでも少しは寝ておこう。
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