魔法使いフウリン

烏帽子 博

文字の大きさ
61 / 69
第四章

ドラクロワ

しおりを挟む
いよいよダンスタイムだ


ドラクロワ伯爵のリードは流石で、私の体は彼の思うままに流される。
隣ではリタも、ダンス上手みたいに踊っている。

「ドラキュラ伯爵のリードは、凄いです。まるでもともと踊れたみたいにさせてくれますね。
私も多少魔力が有りますが、まるで足に魔法がかかったみたいです」

「私は、ドラクロワだよ、ドラキュラではなくてね。」

「失礼しました。ドラクロワ伯爵。
では、咬まれる心配はしなくていいんですね。」

「咬む?なんの事かな?女性に噛みつく趣味は無いよ」

本当かしら?吸血鬼じゃないのかしら。
まあ、少し様子をみてみましょう。

「すみません伯爵、化粧を直して参りますわ。」

伯爵から解放してもらい、シュウ王の元に行った。

「シュウ王様、素晴らしいパーティーを有難うございます。
お礼に、リタと私の舞をお見せしたいのですが、いかがでしょうか」

「それは、是非とも見てみたい。」

「では、身支度をして参りますわ」

リタと二人化粧室で、冒険者スタイルに着替えた。

「あの締付けは生きた心地がしなかったわ」

「王子様素敵でしたよ」

相変わらずのリタの脳天気ぶりにはなぜかホッとする。

集まった貴族たちの前で剣舞を舞った。

剣と剣がぶつかる金属音が、会場に響く。
リタの振り下ろす剣を、紙一重で身をかわすと、観衆からは、安堵の声が聞こえる。
そう、私たちの剣舞は舞と言うより真剣勝負に見えるのだ。
ジャンプやバク転も混ぜて派手な演出で、「オオー」と感嘆の声があがる。

途中から、魔力で身体強化をして、スピードアップすると、拍手が湧いた。

最後には舞台狭しと空中戦で剣を交わして、火花を散らして、リタの剣を折って、エンディングとした。

「わー」「ピィー」歓声や口笛と拍手が、しばらく鳴り止まなかった。

シュウ王が頃合いを見て手を上げると、みな静まり返った。

「フウリン姫、リタ殿、素晴らしい舞を見せていただいた。
あなた方の実力も相当だとお見受けする。
この国のどんな剣士よりも強く、そして美しいだろう。
両国の友好にかけがいのない架け橋があなた方だ。
皆の者、二人に今一度拍手を!」

私たちは拍手の波にのまれた。

その日のパーティーは、これで終わりとなった。

ドラクロワ伯爵が私の所にきた

「フウリン姫、素晴らしい舞でした。あんなに迫力の有るのは初めて観ましたよ。
王も見抜かれた様ですが、お二人とも相当な使い手ですね。
一度手ほどきをお願いしますよ。」

「伯爵とのダンスは、楽しかったわ。日を改めてリタとお屋敷に行きましょうか?」

「ほう、それでは今夜はその打ち合わせをしましょう。
宿までお送りさせて下さい。」

「有難うございます。素敵な夜になりそう フフっ」

リタは、エドワード王子の馬車で、私はドラクロワ伯爵の馬車と、わざわざ2台の馬車で宿へと送られることになった。


馬車の中で、伯爵とダンスの話や、慣れないコルセットの話とか他愛のない話をして過ごした。
私の馬車は宿ではなくて大きな屋敷に着いた。

「今夜は、もう少し姫とお話がしたい。後で宿にはお連れしますので、少し私の屋敷でワインなど飲みませんか?」

屋敷の前に横付けしてから、それを言うのか。
もうすでに執事がドアを開けてかしこまっている。

私は、黙って馬車を降りた。

ー リタ 聞こえる。ー

ー うぅん 王子様ぁ~ だめですよぅ馬車の中では。ー

だめだこりゃ



応接室に案内された

「白ワインは有りますか?」

「すまない。私はワインは赤しか飲まないんだ」

「では柑橘系のジュースは?」

「トマトジュースなら」

「緑茶は?」

「紅茶でしたら。
申し訳ない、今度用意しておきます。」

「いいわ、それでは、赤ワインをいただきます」

ワインを酌み交わしながら、しばらく国にいた頃の話をし、伯爵の日常についての話を聞いた。

ー リタ 聞こえる? そっちは、終わった? ー

ー えっ ああ 止めないで もっとです もっと ー

まだ最中か?仕方がないな。


一人で何とかするか、逃げるか

「ドラクロワ伯爵、そろそろ宿に送って下さいますか。
少し疲れが」

「そうですな。無理にここまで付き合わせて申し訳ない。」

立ち上がろうとした途端、あたりの景色が歪んで、私は倒れ込んだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

処理中です...