二度目の人生は魔法使い

烏帽子 博

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ムー大陸

落盤

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「大変だ!落盤が起きて、何人か生き埋めだ!」

私たちは、大急ぎで坑道の入口に駆けつけた。
中からはまだもうもうと、砂ぼこりが出てくる。

砂ぼこりの中を人が出てきた。
肩を担がれ、片足をひきづってる人や、おぶわれている人もいる。

「私の所に連れてきて!治療します。」
「ヨシヒコ、魔力渡すから、空飛ぶ靴で患者連れてきて、順番は重症者が先よ。
それとあなたは、絶対に坑道には入らないこと。いいわね。命令よ。
ソナさんもお願いします。
治療は誰にも見られたくないので助手兼ガードをしてもらえますか」

自宅に戻り、急ぎ自分の部屋に入った
「コンパウンド」を使いキャスター付きベッドを数台とアイマスクを沢山用意した。

最初の患者が担ぎ込まれた。

どかどかと、いろんな人も入って来た「患者とソナさん以外は外に出て!」

「うちの人は助かるの?」

「その為には一刻も早く外に出て下さい。外に出るまで治療は始めません。」

「ソナさん患者にアイマスクを」

「頭から血を流してますが」

「早く!」

「アナライズ」
頭蓋骨骨折、脳挫傷、脳内に出血
右肘から手首にかけて複雑骨折
肋骨が折れて肺に刺さってる。

重症というより危篤だ
脳の方から初めて、肺の修復、骨折を治して行く回復をかけた。
命に関わらない細かい裂傷や打撲は放置した。

「はい、次」

「治療の終わった人はキャスター付きベッドから下ろして、ベッドは煮沸消毒した布で拭いてから、次の患者を乗せて下さい。」

「既に亡くなられている方は、助けられないわ。息が有る人を連れてきて!」

20人の方を助けた、4人の方は亡くなっていた。

「この患者さんが、今連れて来れる最後です。
まだ坑道に閉じ込められている人が多数居るようです」

「わかった、この方を診たら、坑道に行く」

坑道の入口に着いた。
ヨシヒコに魔力を補給してから
「行くわよ!」

「女は入るな!」

私は声の主を払いのけた

灯りをつける。微風を起こして空気を循環させる。

落盤現場に来た、水魔法とアナライズでしらべると。崩れた所にはもう人は居ないようだ。その先の小さな空間があり、6人が生存しているようだ。

一旦外に出て人手を集めることにした。

「今ならまだ6人が中で生きている、私が壁と天井に補強魔法かけるから掘って助けましょう。
掘り手と補強の木材集めて」

「崩れた坑道に入るだけでも後免こうむりたいのに、女が入ったんだ。そんな所に命は掛けられねえよ」
一人の男がそう言うと
「そうだそうだ死人が増えるぞ」
と声がする。

その時
「俺は入るぜ、女が入って居るのに、男が尻込みか?
そんな奴はお袋のおっぱいでもしゃぶってろ」その声はケントだった

鉱夫長が「俺も入るぜ!ビビりは来なくていい。命がけで仲間を助けようって奴は、ついてこい」

二人の激で状況は一変した。

救出作戦はすぐに始まった。
崩落部分の長さは魔法で把握しているが、そこまで到達するのにどれだけ時間がかかるのか
不安が募るが仕方ない。
残りの空気は?

「先に酸欠防止の為に、小さな穴を開けます。穴が埋まらないようにする為の、パイプかホースが有りますか?」

「竹の節を抜いて使うのはどうだ」

「それでお願いします。
向こう迄は7m位です。二ヶ所分用意して下さい」

水のカッターで掘り進んで行くとすぐに崩れて埋まってしまう。

竹を突っ込みながら回りから水を噴射して掘り進むことにしたら上手くいった。
鉱夫長さんのアイデアだ。

一本目の穴が貫通した。
すぐに竹筒に話しかけた。

「必ず助けます。そちらの状況を教えて下さい」

不幸中の幸いで、重症者はいないようだ。あとはいかに安全に救い出すかだ

ツルハシとスコップで掘り進むにはどうしても人の背丈よりも大きな穴を開けないとならない。
その為なかなか進まない。

「私が魔法で穴を掘ります。その方が、早く向こうに着けます。はい出せる程度の小さな穴にします
補強を60センチ角で作って下さい」

自分に回復を掛けながら、ふた晩徹夜で作業を続けた、3日目、穴はようやく貫通した。

閉じ込められていた鉱夫たちに回復をかけて、全員脱出した。

坑道を出ると、太陽がまぶしい。人々が歓声で迎えてくれた。
緊張が溶けて、急に疲れが襲って来た。

「家迄連れて行って」
そう言って、ヨシヒコに倒れ込んだ。
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