遊び人ロイはハーレムスキル

つまらない男

「もうすぐ定年よね」

「ああ　そうだけど、そしたら二人で旅行でも行くか」

「そんなの嫌よ　誰が好きこのんであなたと
あなた、これからどうするつもりなの
定年になったら
まさか一日中家に居るわけじゃ無いわよね。
あなた、休みはいつも家に居てゴロゴロするだけでしょ。」

「俺が長年ローン払ってやっとそれも終わった家でゴロゴロするのが、ダメなのか。」

「何よそれ、私が家の中の事やってたから、あなた安心して働けたんでしょ
自分だけ頑張ってたとでも言いたいわけ
だいたいあなた、つまらないのよ
私がこれまでどれだけ我慢してたか解る？」

「お　おまえ　何を言いたいわけ」

「前から考えてたんだけど、離婚しましょう。
もう無理なの
家と退職金半分くれれば、それでいいわ。」

　俺は妻のこんな気持ちに何も気付かずにこれまでいたのか
でも、何が悪い！浮気もせず。賭け事もしない。外で呑み歩くこともしない。加齢臭もしないように清潔にも気をつけてる。

「ドキドキの　ド　さえも感じない　つまらない人よあなたは」

「おまえ　男ができたのか」

「そんな不実はしないわよ。バカね。
まぁこの先は分からないけどね、もう籠の鳥は嫌なの、限界」

交渉の余地無しか…

こうして一方的に離婚宣言された俺は、居酒屋の暖簾をくぐり、大して強くない酒を、浴びる程呑んで、公園のベンチで横になった。


白靄の中で誰かが語りかけてきた

「もう一度人生やり直すか？」

「えっ　誰ですか」

「分かりやすく言えば神だ」

「俺　もしかして死んだんですか？」

「そう、コロッとな」

「あのー　妻はどうしてるか分かりますか」

「未練か？化けて出たいのか？」

「いや、ちょっと心配で、あれで優しいところもある女で、俺にはできた女房でしたから」

「お前はどこまでも人のいい者よな」

「で、どんな様子ですか」

「知らぬが仏じゃ」

「あなた神様でしょ。仏って！ないでしょ」

「…　世の中　知らぬ方が良いこともある例えじゃ」

「気遣ってくれたんですか」

「話を本題に戻すぞ　もう一度人生やり直すか？」

「また　「つまらない」って言われる人生をですか。このまま成仏でいいですよ」

「ファンタジー世界を用意してるが、どうする」

「ゲームみたいなですか。特殊な能力持って」

「つまらない　ということは、無かろう？」

「ならお願いします。で、どんな能力を付けてくれるんですか」

「運を使う力をやろう」

「えっ　運ですか？他には？魔法とか剣術とか？特殊な道具とかは？」

「贅沢な奴だな！転生できるだけでありがたいと思え！」

「そりゃそうですけど、運だけじゃ、そんな世界で無事に生きて行けると思わないですよ
神様だって、転生させた奴が、直ぐにコロッと死んだりしたら嫌でしょ
だからお願いしますよ、もう一つか二つ付けて下さいよ」

「ええい　うるさい奴じゃ。オマケしてやるからもう行け～」

「で　何の能力……」

一瞬白い光に包まれ、気が遠くなった。

それからどの位の時間が過ぎたか分からないが気がつくと、森の中、しかも木の枝の上にしがみついていた。

何だよこれ、ハードな！
森で魔物狩ってレベルアップしろってことか？