超時空スキルを貰って、幼馴染の女の子と一緒に冒険者します。

烏帽子 博

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第2章

王家からの刺客

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エドガーは、当時まだ伯爵では無く伯爵家長男の立場であった。
エドガー9歳の時に王家の第3王女ケリーとの婚約がまとまっていた。

エドガー10歳の時に魔法学の家庭教室としてジニーが雇われてきた。
エドガーは、魔法を学びながらも、ジニーの人柄に惹かれていった。そして、自然な流れのように二人は、恋仲となった。
そして、ジニーは、エドガーの子を宿した。

ジニーは、出産時の出血が多く亡くなってしまった。(この頃は、出産時に亡くなる女性は、3割を超えていて、よくある事だった)

エドガーは、深くジニーを愛していて、強いショックを受けたが、どうすることもできなかった。
ジニーの死に事件性も無くはなかったが、エドガーは調べる気力もなかった。
失われたジニーはなにをしても生き返る訳でもない。
エドガーは、失った恋人を思い、ただただ傷心の日々を過ごしていた。

ジニーの忘れ形見の赤ん坊は、男の子で、ジニーと同じように青い髪で目は栗色だった。
エドガーは、その子にクリスと名を付けた。

ジニーが亡くなってから二月程経った頃、クリスの乳母が殺され、クリスの姿も消えた。

1週間経っても、クリスの消息は、わからなかった。身代金の要求でもあれば、喜んで応じるつもりだった。
騎士たちに捜索させ、冒険者ギルドにも依頼をだしたが、なんの情報も得られなかった。

それからまた1週間が経った。相変わらずクリスの消息は、全くわからなかった。

当時の伯爵、エドガーの父親に呼ばれた。
「クリスのことは、もう諦めろ。もう死んだか殺されたんだろう。
犯人も人質に死なれたら何もできまい。」

「いや、でも、亡骸でも見ない限りは」
と食い下がったが

「もう、諦めよ。よいな。
半年後には、お前は王家から姫を迎えるのだ。
わかるな この意味が」

エドガーは、父親を睨んだ。
もしかして、犯人は、父親かも知れない。
王家の仕業かも知れない。
とにかく、ジニーの死と息子の失踪は仕組まれたものだとエドガーは、思った。

エドガーは、自分の運命を呪った。
「俺が伯爵の息子でなければ、そして王家の姫との婚姻がなければ、ジニーと息子は死なないで済んだはずだ。」

そう思いながらも、エドガーは、運命の流れに逆らうことができなかった。


半年後、エドガーは、ケリーとの結婚式を挙げて、同時に伯爵位を継いだ。

周囲の祝福も、エドガーにはよそよそしく感じられた。

ケリーを嫌ってる訳ではなかったが、睦み合う気持ちにはなれなかった。

「私はあなたとの間に子をなす為に嫁いで来たのです」

そういうケリーと何度か関係を持ったが、ケリーが妊娠したことで、その義務からも解放された。

ケリーは、男の子を産んだ。

これで、運命からも解放だ。
エドガーは、そう思ったが、しばらくすると
ケリーは、二人目の子どもを欲しがった。

「役立たず」とケリーに罵られたが

「もう、君の寝室に俺が通うことは無い」と宣言した。

それからのケリーは、政務にも口を出すようになり、少しずつエドガーの仕事を肩代わりするようになった。
ケリーは、元々が王家の姫の為か選民思想が強く貴族以外の者を蔑む場面をエドガーは、何度か目にしていた。
しかしケリーも又エドガー同様に運命に弄ばれ、好きでもない男と結婚し、子どもが産まれた途端に夫から寝屋を共にすることを拒否された女だ。

自分は、形だけの領主でいい。
エドガーは、なんでもケリーの好きにさせるようになっていた。

エドガーは、表舞台はケリーに任せ、自分は、表に立たずに、少しずつ、情報を集めながら裏人脈を作っていった。
『影』を組織し、十年以上過ぎた昨今も尚、ジニーの死因やクリスの行方を探らせていた。



☆☆☆☆☆



「失礼します。」
部屋にペローナが、入って来た。

「彼女は、わしの『影』のひとりだ」

「ペローナさんが『影』」
クリスは思わず彼女の名を口にした。

「おや、知り合いだったか」

ペローナは身に着けてた武器を机に置き3歩後に下がって膝をついた。

「わたくしの『影』としての役目は終わりました。そして2重スパイとしての役割も。
どうぞ首をはねるなり、ご処分の沙汰を下して下さい。」

「2重スパイだと」

「はい、伯爵様が長年調べられていた答えは、全て私の中に有ります。」

「なんだと、それを詳しく述べよ」

「ジニー様を殺したのは、私です。
そして、クリス様の乳母を殺して、クリス様を攫い、そして殺したのも私です。
私は、元々王家の『影』として仕えていました。ケリー様は恋人が居るエドガー様との婚姻に悩んでおられました。
ケリー様は、自分がないがしろにされて
る思いを強くしていき。私に殺害の指令を出されました。」


「何を言っている。クリスは、こうして生きておるではないか。」

「私はあの時クリス様の死を確認しました。
そして、幼子を手に掛けた呵責から弔いの気持ちを持って、修道院の門前にその亡骸を放置しました。
どうして、クリス様が生き返ることができたのかは、分かりません。」

「夢での神のお告げは、やっぱり本当だったのね
クリス話してあげれば」

ララに促されてクリスは、夢で見た話をした。


ラングレー伯爵は、腕を組んでクリスの話を聞いていた。

「信じ難い話だ。神が死者に別人の魂を入れて蘇生したとはな。
肉体は、クリス・ラングレーであっても、魂は別人か。そんなことが有るのだな。」

せっかく見つかった血を分けた息子から別人宣言をされて、伯爵は淋しそうだ。
クリスは、励ますように声をかけた。

「ぼくも自分のことが知れてよかったです。
別人格だとしても、この体の持ち主が、ちゃんと愛されていて、愛し合ったふたりの子どもでよかったと思いました。」

伯爵は、クリスの言葉でなにか吹っ切れた思いがした。

「さて、ペローナ。お前に最後の役目だ。
ケリーを消せ。
それを持ってお前の『影』の任を解く。
そして、我が領には、二度と戻って来るな。いいな。」

「クリスは、ラングレー家の名を捨てたまま生きてくのをみとめる。
伯爵位はケリーの息子のケビンが継ぐから問題ない。
ケビンは、王都の騎士学院でまだまだ修行中だがな。」

その後、クリスにはラングレー家の紋章入の剣が、渡された。 

「これを見せれば、王宮にも入れる。
誤認逮捕の詫びにもらってくれ。
そして、たまにでよいから、わしに顔を見せてくれ」

別れ際、どこか淋しげな作り笑顔で、エドガー・ラングレー伯爵は、クリスとララを見送ってくれた。


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