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第2章 変化之瞬撃者

第14話 雷鳴のスラッガー

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「いくよぉ!アイスコフィン!!」

 本気を出し始めたのか、シラユキのアイスコフィンの形が棺型から巨大な剣の形に変化していた。

「何ィ!?物魔複合魔法だと!?」

 物魔複合魔法とは、物理攻撃と魔法攻撃を含んだ魔法の事で、魔法防御が高くても物理ダメージも計算に入れる為、防ぐことは難しい。

「フフッ、どうやらシノビの方は初心者みたいですね、下僕達、シノビの方を集中狙いしなさい!」

 手下達がアリスを集中狙いし、弓プレイヤーがアリスに向け、弦を引いた。

「ハッハァ!死ねぇ!」

「アリスちゃんー!」

 複数の矢が飛んでくるが、アリスから見てそれは止まっているかのように見え、スラスラと避けることができた。

「おっそ~い!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーッ」

「あいつ化け物かよ……!?俺たちの射撃をいとも簡単に……!?」

「アリスちゃんすごーい!」

 アリスが戦う描写が少なかったせいか、弱いという印象だったが、実は回避に特化した高いPSの持ち主だったのだ。

「相手は初心者だ!何やってる下僕達!?」

「しかし!攻撃が当たりません!!」

「アリスちゃんは回避が得意なフレンズなんだね!」

 シラユキは無駄話をしながらパラディンを薙ぎ払っている。

「仕方ない、この僕が直々に剣のさびにしてやろう」

「!?アリスちゃん!馬の人そっち行った!」

 馬のプレイヤーは馬でアリスを蹴飛ばした。

「がっ……!」

「アリスちゃん!」

 結構な距離まで飛ばされた、本体が攻撃されたせいか、分身が全て消えてしまった。

「あれが本物か!!あれを狙え!」

(まずい!このままじゃアリスちゃんが……!!)

「ハッハッハ!無様に死ね!」

 馬のプレイヤーはアリスにトドメを刺そうと走ってきた。
 このままじゃ殺される、こんな奴に負けたくないという気持ちでいっぱいだった。

「あーもう!いい加減にしろっての!!」

 そう叫んだ途端、アリスの背中に巨大な手裏剣の様なものが生成された。
 それは緑のオーラで包まれ、風で出来ているかのようにかなりの風圧を感じられる。

「アリスちゃん!サ〇シゲッ〇ウガみたい!」

 馬のプレイヤーは、馬を止め後退した。
 アリスの新スキルを、これはまずいと思ったのだろう。
 そしてアリスは風で生成された巨大な手裏剣を持ち、立ち上がった。

「よし、これを使えばいいんだね!さぁ、かかってこい!馬刺しにしてやる!」

 一方シラユキは、パラディンの2人を倒し、アーチャーと戦っている。
 そして、弓プレイヤーの1人の足を凍らせて、かなり優勢な戦況であった。

「馬鹿な……!パラディンの防御を破っただと!?」

「足が凍って……動かない……!」

「どんなに硬ぁくても寒さは防ぎきれないようだねー」

 シラユキは弓プレイヤーの足元に巨大な魔法陣を張った、人の弓プレイヤーは足を凍らせられているので、避けることはできない。

「や……やめろ……!!」

「助けてくれぇぇ!!」

 弓プレイヤー達が必死に助けをこうが、シラユキはドSモードに入ってしまったため誰にも止められない。

「少し弱めのコキュートス!」

 その一撃は峡谷の崖を一瞬にして凍らせた。
 少し弱めの攻撃だったのか、弓プレイヤーはこの魔法に耐える事が出来た。

「い……生きてる……!!」

「へへ!!大したことないな!」

 だが、2人とも体の一部が凍らせられてて身動きが取れない。
 そしてシラユキは2人にゆっくり近づいた。

「これから楽しい時間が始まるねぇ」

 ゴソゴソ……

 取り出したのは、なんと鞭だ。

「え……?冗談っすよね?」

「まじ止めてくんさい!死んでしまうっす!」

「えー、しょうがないなぁ…そこまで言うなら仕方ないよぉ」

「あぁ…!助かった!!」

「なーんてね♪」

「え」

 シラユキはとても嬉しそうな顔をして鞭を撃ち始めた。

 ビシッ!ビシッ!

「ぎゃあああああああ!!」

 一方、アリスはかなりの苦戦を強いられていた。
 回避に特化したアリスのプレイスタイルだが、回避した先に回り込まれてしまう。
 それも奴のナイトライダー特有のスピードだ。

「我、オルステッドの剣のサビとなるがいい!!」

 彼のプレイヤー名はオルステッドというらしい、早く名乗れよ、馬のプレイヤーって結構しんどいからさ。

 アリスはオルステッドの剣を軽々と避け、後ずさりした後、全身に風を纏った。
 アリスは忍術で、全属性の魔法が使えるので、敵の弱点をどんどん攻めることができる。
 奴の弱点は風属性、カテゴリ風遁の術のスキルを多少覚えたアリスにとって、かなり糧になる戦いだ。

「風遁の術!飛燕刃!」

 このスキルは、風を身に纏い、瞬間的な早さで敵を斬るスキル。
 アリスが最初に覚えたスキル、スラッシュザッパーの上位互換と言えるだろう。

「かはっ……!!」

 これはかなり効いている、ドラゴンからレアドロップした双剣の効果により、火属性も少し含まれている。

「初心者の癖して中々やりますね」

「あんたが弱いだけじゃない?」

「減らず口を!!」

 アリスはオルステッドの攻撃を軽々回避していき、クナイや風で生成した手裏剣で反撃して相手のHPを削っていった。

 アリスはオルステッドのスピードに目が慣れてきて、攻撃を避けては反撃、避けては反撃を繰り返すことで、有利に戦っていたが……

「アリスちゃん~!馬の人~!あれ~」

 アリスとオルステッドが戦っている最中、峡谷と荒野の間に、巨大な黒いドラゴンなのか、ワニなのか、あるいは合成獣なのか、そのような魔物がいた。
 身体中に蒼い電気をまとい、堂々としたたたずまいでこちらを見ている。

「シラユキ、その眼は……?」

「わたしのぉ、固有スキルだよぉ」

 シラユキの固有スキル『完全なる眼力パーフェクトインサイト』によって遠くにいても、その魔物が発見された。

「あの魔物ぉ~、すっごく強いみたいだねぇ」

「「で、で、出たァァァ!!」」

アーチャーとパラディンは大声を上げ、一目散に逃げた。

「早くも姿を見ることが出来るとは……、雷壊竜ヴァジュール……。」

「なるほどぉ、ドラゴンやキマイラとかとは格別だねぇ」

「このオルステッド、1度刃を交えてみたいと思ったところだ。」

「あんた!死ぬつもり!?」

「負けると思って戦えば、勝てる勝負も勝てるわけがない、先に討伐して、あの忌々しき騎士を見返してやらねば……!」

「アリスちゃん~、わたしたちはぁ、生き残ることを優先するよぉ」

 アリスとシラユキはその場から速やかに立ち去ることを試みたが……。

「なっ……!!」

「一瞬で目の前に!!」

 雷と共にアリスとシラユキの目の前に移動した。
 ヴァジュールは尻尾に大量の電気を帯び、野球のバットのような形をした尻尾をアリス達に振りかかった。

「アイシクルイージス!!」

 シラユキは敵の攻撃を防ごうと氷属性の巨大な障壁魔法を発動した、そこにあるだけで、その周辺は極寒に変わるが、アリス達は信じ難い事態になった。


 ガシャァァァァン


「嘘でしょ……!?」

 シラユキが生成した巨大な障壁魔法がいとも簡単に木っ端微塵に破壊された。
 アイシクルイージスは、シラユキのスキルの中でも最強クラスの障壁魔法だが、それを簡単に破壊するほど、雷壊竜は恐ろしい相手なのだ。

 シラユキは絶望したかの様に、その場に跪いてしまった。

「こんなの……嘘……」

 しかし、現実は残酷であり、雷壊竜は二撃目を放とうとしていた。
 アリスは庇おうとしたが、雷壊竜の次の攻撃は雷属性魔法で、間に合う事はなかった。

「あがっ……!!」

「シラユキぃぃ!!」

 直撃した。シラユキのHPは9割程度減らされ、もはや瀕死状態だ、このままだと全滅してしまう、逃げる術すらなく、これまでかと思った。

「地面にヒビが……!」

 オルステッドは地面にヒビが入った事に気付き、持ち前のスピードを生かし、回避しようと試みるが……

「「え?」」

 地面が崩れ落ち、アリス達は奈落の底へ真っ逆さまに落ちてゆくのだった。
 雷壊竜はそれを見て、諦めたかの様に去っていったが、奈落の底へ落ちたアリス達は無事なのだろうか?

To Be Continue…
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