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第3章 奈落の底から
第15話 物語る錬金術師
しおりを挟む暗い……。
私達……死んじゃったのかな……、家族にも友達にも2度と会えないのかな……。
いつもの日常に戻れないのかな……、またみんなで笑うことができないのかな……。
怖いよ……助けて……。
「起きんしゃい!!」
「ひゃあ!!」
目が覚めたら、底は植物だらけのベッドの上だった。
見渡す限り、ツルや花、どうやら、この家は木のお家なのだろう。
そしてそこには、八重歯を光らせた青年が立っていた。
「よぅ目が覚めたのぅ、大した怪我じゃないから良かったわ。」
「あのー、ここは?私達さっき崖から……」
「何も言わんでええ、そしてここは俺の拠点だ。」
「……!シラユキは!?」
そうだ、落ちたのはアリスだけではない。
シラユキに、オルステッドとかいう馬の人も一緒に落ちたのだ、無事だといいけど。
すると青年は欠伸をしながら薬と思われるものを持ってきた。
「おまんの仲間かぁ?長い白髪の女と金髪の王様みたいな奴と馬が落ちてきたのぅ……あとこれ回復薬じゃき、飲んでみんしゃい」
「ありがとうございます」
どうやらシラユキは無事だったみたいだ、ついでに馬の人も。
驚く事に、飲んだ回復薬は通常の回復薬より効き目が良かった、だいたい1.5倍ぐらい。
「この回復薬は……?」
「あぁ、俺が作った回復薬じゃき、マギ二次職業のアルケミストの作る回復薬は一味違うぜよ」
マギ二次職業のアルケミストとはその名の通りアイテム精製等を得意とする職業で、戦闘には向かないって訳でも無く、アイテムで精製したもので戦える癖の強い職である。
「あの……アリスです、アウトロー二次職業のシノビやってます」
「俺はヘレニズムぜよ」
ヘレニズムさんはニコニコしながら、アイテム精製しながらアリスに聞いた。
「おまん、集団で落ちたなんて、滅多に無いんじゃが、何かあったのか?」
「はい、雷壊竜に遭遇してしまって……。」
「あぁ、何かアプデ情報で書いてあったのぉ、新しい災厄種じゃったか?」
「はい、レベル38レベルの仲間が一撃で瀕死になってしまって…」
「当たり前ぜよ、災厄種は今確認させている魔物で一番強い種じゃからな、そして災厄種は今の所、4体いて、そのうちの1体倒されておるぜよ」
「あんなのが4体もいたんですか!?」
「初代災厄種の狂牙獣イオ・クリプス、そして黒龍王ファフニール、蛇潜艦ハブクラーク、後は最近追加された雷壊竜ヴァジュールじゃき」
「どれも強そう……」
「じゃが黒龍王は倒されておる、サカモトというドラグーンにな」
「サカモトさんが!?」
「古参なら分かる話じゃが、当時のサカモトは周りの指示を聴かん奴での、1人で突っ走って黒龍王に挑んだぜよ」
「えぇ!?たった1人で!?」
「見事、黒龍王を撃破し英雄の肩書きを得たのじゃが、失ったものはでかかったぜよ」
「失ったもの?」
「サカモトの相棒、サイゴウじぜよ。」
「サイゴウ?」
「あいつはアウトロー二次職業パニッシャーって職で、黒い風のように素早く移動し、死神の様に狙った敵に死を与えるというスタイルが特徴じゃき」
「そのような方がなぜ……?」
「サカモトを庇い、身代わりになって逝っちまったぜよ」
「そんな……」
「ちなみにその時にサカモトは初めて固有スキルに目覚めたぜよ」
「確か空母蒼龍のオーラですね、ギルメン情報で見ました。」
「そうそう、装甲を纏った巨大な竜を召喚し、操って攻撃するスキルじゃき、その装甲は今は亡きサイゴウが愛用してた鎧そっくりだったぜよ」
「そんなに強力なスキルを隠し持ってただなんて……」
「聖清都市2強のもう片方、アレクも最強を誇るプレイヤーじゃが、サカモトと互角に渡り合える点で災厄種に挑めるレベルかもな」
「そうなんですか!っていうか何故お2人のことをそこまで?」
「ちょっとした縁でな、まぁ、古参にしか分からんことじゃき」
「古参にしか……汗」
「おっと話を戻すが、おまんの仲間は無事じゃき、外にいるから合流するといいぜよ」
「ありがとうございました、それでは。」
そういい、アリスはヘレニズムの拠点を後にした。
外に出たら、そこは小さな花畑が広がっていて、家の後ろのら辺には微妙に深そうな湖が広がっているが、アリス達と落ちた足場が沈んで、水面からその一部が顔を出していた。
「アリスちゃん~!遅いよぉ、いつまで寝てたのぉ?」
「回復が遅すぎるぞ、フッ…、これだから初心者は」
「いちいち癇に障るわねアンタ(º言º)」
「それにしても、本当に僕達はあそこから落ちたんだな……」
オルステッドにつられ上を見上げた、自分達がいただろう部分は完全にえぐれてて戻ることは難しいだろう。
聖清都市サピュルスに帰れないし、どうすればいいのだろうか……。
「アリスちゃん~、ここでぼーっとしてても何も起きないよー、早く登ろうよ~」
あ、そう来ましたか。
「登る必要はない、そこに洞窟がある、そこから上に行けるはずだ」
「じゃあそこ目指して出発!」
アリス、シラユキ、オルステッドの3人は聖清都市サピュルスを目指し、渓谷を進んでいくことにした。
暫く歩くとオルステッドは2人に聞いた。
「そういえば、お2人」
「なぁに?馬の人ぉ」
「何か用?」
「もし道がえぐれてて聖清都市に帰れなかったらどうするつもりだい?」
「遠回りしてでもぉ~、帰るぅw」
「なるほどw」
そう言っているうちに洞窟に着いた、気を付けて欲しいのは、この洞窟は紅鷹の峡谷とは別のダンジョンだ。
推奨レベルは渓谷より少し低いが、ボスを倒さないと上に上がれない仕組みになっている。
オルステッドはアリスとシラユキの方を向き、意外な台詞を放った。
「お2人、先ほど件はすまなかった、こう頼むのもアレだが、僕と共闘してくれないか?」
「私はぁ、大歓迎だよぉ」
「まぁ、いいけど。」
まさか謝るとは思ってもなかった、まぁパーティに1人加わっただけで心強い。
「この周辺を知る僕が言う、ここのボスである鉄鋼大蜘蛛は強敵だ、ここで命を落としたプレイヤーは少なくない、心して掛かろう」
「鉄鋼って、そんなに硬いクモがいるの?」
「糸も吐くから要注意だ。」
そう言って、3人は洞窟に入った。
入って少し進むと巨大な広場に出た、周りは暗く、外の光が少し中の暗闇を照らしている、
蜘蛛の姿は無い。
「蜘蛛なんてどこにも……」
「アリスちゃん!危ないよ!」
「え? きゃあぁ!!」
「シノビのお嬢さん!」
アリスは蜘蛛の糸に巻かれ吊り上げられてしまった。
「待ってろ、今助ける!」
「はぁ……♥、いいかもぉ……♥」
「ちょっとシラユキ!?」
シラユキさん助けてあげてくださいw
アリスはくっころ系では無かったので、ただ顔を赤らめて喚いてるだけであった。
オルステッドはジャンプし、アリスを捕らえた蜘蛛の巣を斬ろうとした瞬間
「僕の剣が弾かれた……、僕の剣は鉄鋼を斬れないというのか……。」
「硬そうだねー」
アリスは洞窟に入る前にオルステッドは鉄鋼大蜘蛛が言ったのを思い出した。
(鉄鋼?相手が金属系ならば……)
アリスはすぐさま指を束ねた。
「アリスちゃん~?」
「シノビのお嬢さん?何か策が!?」
「相手が鉄ならば、私は炎だ!火遁の術 火炎衣!!」
アリスは火を纏い、脱出を試みた。
糸はみるみる柔らかくなり、アリスは糸を揺らし、壁に足が着いたところで、初期スキル、スラッシュザッパーを応用し、糸を斬った。
オルステッドがアリスを受け止め、下ろし、敵を確認した。
「わぁ、大きい蜘蛛だぁ!」
「手応えはありそうだな」
「私達は最初から最後までクライマックス!!」
鉄鋼大蜘蛛はその名の通り硬い肉体を持つ強敵だが、アリスの炎なら弱体化可能だ。
勝算を見つけ、アリスを前衛にし、弱体化させながらシラユキとオルステッドで斬りまくる作戦でいくことにした。
To Be Continue…
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