魔探偵探偵事務所

カクカラ

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1章3節 欲まみれの浸食

1-1,2 (40,41話)

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ジリリリリッ・・・・・
どこかの警報音が鳴り響く。
警察官3人が周りを警戒し、巡回じゅんかいをし始める。
こっそりと隠れてやりすごす1人の影。
すきをみて逃げていく。
怪盗のように素早い動きで。
「犯人はいたか!」「そっちはどうだ?」
警察の動きもより厳重になりはじめる。
しかし、1つの金庫室に目を向けた。
そこはお金を管理している倉庫。
頑丈がんじょうな扉に穴が開いている。
でも、それが急に消えた。
すぐにその扉を開けた。
大量の札束が一瞬にしてなくなっていた。
「おい、まだ犯人がいるはずだ。探せ!あんな札束持ち出せるわけがない!」
響いた警察官の声が夜の銀行内を騒がせた。

* * *

警察庁の中にある魔道専門の課、特別魔道対策室。
相変わらずの雑用係。
書類整理はいつものことだが、今度は社内の掃除まで頼まれる始末しまつ
そこにいるのは警視の西崎と巡査部長の岩城。
グダグダな感じで仕事を始めていた。

「なんでこないなことしなあかんのでしょ・・・これまでの雑用と変わりないやないですか!!」
「しゃーないだろ。あれこれ言うな。仕事がないんだし」

冷静な西崎に少しいらだちを見せる岩城。
それでも仕事が出るまでは待機状態たいきじょうたい
4年経っても雑用扱いには変わりなかった。
しかし、いろいろと社内でも起きた。
この課を作った人間が突然警察庁を辞めてしまった。
理由はわからないが、今も何をしているのかはまったくわからない状態。
そのためこの課を守るのは西崎の仕事になってしまった。
この課にいるのはやっぱり2人。
あの時と同じ環境になってしまった。
でも、この課でもやりがいはあった。
何かあれば出動できる。
昔のはきだまりとは違った環境だ。

「仕事がほしいわーーーーっ!!!」
「うるさいんだよ!!でかい声出しやがって!!」

1発平手打ちが岩城の後頭部こうとうぶに当たる。
痛みをこらえて仕事をしていく。
社内に響いた岩城の声に周りはクスクスと笑っていた。
西崎はなさけないと思いながらも仕事をしていた。

「笑われてんな、お前は。恥ずかしいわ」
「恥ずかしいなんていう概念がいねん捨てたらいいんですよ!そんなん捨てたらええ話やないですか!」
「俺がそんなことできると思うか、バカか!!」

今度は脳天のうてんにグーパンチがくる。
頭の上に星がグルグル回りそうだ。
そんな時間を過ごしながら雑用をこなしていく。

「おっ、こんな時間か。岩城、巡回行くぞ」

ある時間になれば巡回に行くようになっていた。
これも警察の役割であるように。
2人は巡回に向かって行った。
こんな時にあの人物に遭遇そうぐうするなんて思ってもみなかった。



あの連続殺人から4年。
シンも一回り大きく成長した。
研修段階けんしゅうだんかいだったあの時も今は立派な魔探偵という称号しょうごうを持っている。
学校に行きながら、放課後から夜まで魔探偵という仕事。
本来なら許されるわけはないのだが、魔探偵の法令上問題ほうれいじょうもんだいはないのだ。
たとえ未成年でも魔探偵として、そして側近そっきんとして働く場合は職を与えてもいいことになっている。
しかし、シンには側近がいない。
守ってくれる人はいるが。
中学に入って1か月ぐらいの5月。
少しずつ暖かさがやってきそうな季節。
まだまだ慣れない制服にぎこちない感じがしている。
いつものように起きて日の光を浴びる。
1階に降りていつもの直也のごはんを食べて学校に向かう。
中学までは歩いてでは30分かかるので自転車で通っている。
愛用の緑のフレームの自転車で。
あの道とは逆の道。
大きい道路を進んで、坂まで通る。
体力には自信があったので軽々とこいでいく。
広い道路に車が渋滞している。
歩道を沿って自転車をこいで学校に向かう。
友達もあんまりいない。絡んでくる人もいない。
楽な様で息苦しさがある。
初々ういういしいクラスのメンバーとは慣れそうにもない。
むしろ人見知りしてもいいくらいに。
中学に着いて席につくが、誰も話してこない。
だからこそ読書ができる。
みんな気になった人に声をかけていくばかり。
シンには誰も近寄ってこない。と、思ってた。
マフラーのようなのをしてオレンジ色の髪の毛で短髪たんぱつの女の子がシンの席にまでやってきた。

「ねぇ、いつも1人で何してるの?」
「別にいいじゃん。関係ないだろ」

冷たい口調で女の子に対応する。
普通なら帰っていくのだが、その女の子は食いついてきた。
いつも自分が担当している事件の事を思い出している。
どういう目線で、どういう状況でなったのかを。

「そういえばいつもあたしより難しいの読んでるよね。どんなの読んでるの?」
「あんたじゃわからないよ」

いつもはびっしり英語の本を読んでいたり、科学らしい本を読んだりといろいろしている。
自分の時間を誰かのためにくなんてことはできない。
子供の時よりずいぶん態度も違ってきた。
声もクールな声になっていた。
でも、これだけは変わった。
左目にコンタクトを入れていることを。
必死に食いつく女の子に対抗たいこうするかのようにけていくシン。
そうしているとチャイムが鳴った。
あきらめて席に戻った女の子は授業に集中する。
しかし、ものの5分で聞いていない。
いつも寝ている。
最近の人間はまともなやつもいないのかと思うくらいに授業を受けている人なんていない。
そんな退屈な日々をいつも過ごしていた。
いつもの1日が始まっていく。
静かで騒がしい教室が。
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