魔探偵探偵事務所

カクカラ

文字の大きさ
83 / 101
1章4節 幸せの居場所

3-9 (104話)

しおりを挟む
どう伝えるのだろうか。
ヒュプノスから伝えてくれるみたいだが、何を話すのかと言われればわからない。
このおばあさんを通じて発するわけだから本当の事を言うのだろうな。
依頼者に何を伝えるんだろう。

「伝えることって・・・何だろ・・・」

依頼者に伝えること。
それは一体何だろうか。
これまでの事がすべて繋がった時、真相がわかる。

「ヒュプノス、どうしてこの人にいたんだ?何か理由があって憑いたんだろ。それだけじゃない。他の人にも憑いていたんだよな?伝えたい何かがあって憑いたんだと俺は思っている。お願いだ、本当の事を話してくれないか?」
「人の願いを叶えるため。願いを叶えるためなら何としてでも伝えなければいけないんだ。本当の想いを、痛みを。そして、伝えきれなかった言葉を」

伝えられなかった想いや痛み、言葉。
本音では言えないことを伝えたい想いがヒュプノスを呼び寄せたんだ。
それが他の人にも伝染でんせんしてこうなったしまった。
事故なんだ・・・。
これは事件性もない。
間違いなく魔道による事故なんだ。
悲しい事故なんてむなしいだけ。
悲しみしか残らないなんて・・・。

「伝えることも伝えられず、ただ日々だけが過ぎていった。天井だけしか見れない場所にたった1人だけポツリといる。かかわるのはここにいる職員と同じ環境の人間だけ。家族にすら会えないまま、伝えられずに死を待つだけなんて辛い話。でも、相手になる人物は同じ環境の中にいる人間のみにしか伝えられない。他の人間に伝えられえるかと思えばそうはいかない。職員に伝えられるかと思えば伝えられないことだってある。筆圧ひつあつで伝えたくても書けないし、言葉でも伝えられるかと思えば無理もある。認知が入っていれば話す事も忘れてしまう。だからこそ伝える人間が必要だったんだ・・・」

この事を伝えてほしい。
出来事を風化ふうかしないようにと誰かに伝えてほしかったのだ。
だからこそ、依頼者のおばあさんに憑いたという。
職員に伝えたところで幽霊扱いにされてしまう。
除霊じょれいなんてされたら伝えたいことも伝えられずに終わってしまう。
それどころか人が寄ってこなくなる。
この原因で廃墟はいきょになっては元も子もない。
だからこそ誰かに伝えなければいけない。
安全なんだという安心感を持ってもらうためにも。

「それだけじゃないんだろ?伝えたらどうだ?」

何かを察知したシンはヒュプノスに話す。
これが最後の言葉。
交わした先にどんな未来が待っているのか。
それは交わした本人と魔道の関係なのだからわかるはずもない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不思議なショートストーリーたち

フジーニー
ミステリー
さくっと読める短編集 電車内の暇つぶしに、寝る前のお供に、毎日の楽しみに。

【アラウコの叫び 】第4巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日19:20投稿】 4巻は、序盤は「推理もの」、中盤から後半は「ロマンスもの」が展開されます。 ・サンティアゴで起こる「事件」と「裁き」 ・「アンデスの悪魔」として悪名を轟かせた狂気の老人カルバハルの存在感 ・ニドス家の兄妹の「行く末」 ・イネスとバルディビアとの「出逢い」と「結末」 大きく分けてこの様な展開になってます。 ------------------- 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。 マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、 スペイン勢力内部での覇権争い、 そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。 ※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、 フィクションも混在しています。 動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。 HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。 公式HP:アラウコの叫び youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス insta:herohero_agency tiktok:herohero_agency

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

【戦国時代小説】 甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助

蔵屋
歴史・時代
 わたしは、以前、甲斐国を観光旅行したことがある。  何故、甲斐国なのか?  それは、日本を象徴する富士山があるからだ。     さて、今回のわたしが小説の題材にした『甲斐の虎•武田信玄と軍師•山本勘助』はこの甲斐国で殆どの戦国乱世の時代を生き抜いた。そして越後の雄•上杉謙信との死闘は武田信玄、山本勘助にとっては人生そのものであったことだろう。  そんな彼らにわたしはスポットライトを当て読者の皆さんに彼らの素顔を知って頂く為に物語として執筆したものである。  なお、この小説の執筆に当たり『甲陽軍鑑』を参考にしていることを申し述べておく。  それでは、わたしが執筆した小説を最後までお楽しみ下さい。  読者の皆さんの人生において、お役に立てれば幸いです。  

処理中です...