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模造品の利用方法
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「どうしました?」
義彦の「問題がある」という言葉に忠弥は不安になった。
「まさかエンジンか何処かに欠陥がありますか?」
原付二輪の構造は簡単だが、短期間で作った為に何処か不具合が出てきたのではと考えた。
二一世紀の日本なら売り出した商品に欠陥があった場合、直ぐに非難の的となるため開発中に様々な使用状況を考えて長期に渡って様々な試験を行う。
だが、そのようなノウハウがない忠弥は、エンジンの耐久試験、試作した幾つものエンジンを一週間ぶっ続けで回し続けるだけで販売を開始した。
少なくともエンジンのシリンダーとピストンに欠陥は無く爆発して怪我をするような構造では無い。
他の欠陥が出てきても構造が簡単なので修正しながら販売すれば良いと考えていた。
何とも無責任に近いが、機械が出来て僅かしか経っていないこの世界では、このようなトライアンドエラーのまま商品を売り出すことが多かった。
忠弥がこの国にしては異常なほどテストをしており、この時代に数多ある製品の中では原付二輪が安全性に一番優れていた。
「いや、君の設計のお陰で異常は今のところ無い」
だからといって忠弥は、エンジン設計に手を抜いていない。
自転車のフレームの応用では無く、一から製造できる点を最大限に利用し、肉厚のあるピストンとシリンダーを製造し、頑丈にしている。そのため重くなり、他の部分の軽量化に苦労した。だが、今のところエンジンに欠陥は無かった。
「では他になにか問題が」
「我が社の大ヒットを見て他社が原付二輪を作って売り始めている」
他社でヒットした商品を自社でコピーして売る。そんな事は良くあった。
原付二輪は構造が簡単なので直ぐに真似することが出来る。
だが、それらの製品は島津の許しを得ること無く生産されていた。
「粗悪品も出回っているようだ。シリンダーの肉厚が薄く、爆発して死傷者を出している」
「それは危険ですね」
ガソリンエンジンは小さいながらも爆発を利用して動く機関であり、爆発の起こるピストンとシリンダーはその圧力に耐えられるだけの耐久力が必要だ。その圧力にさえ耐えられないとシリンダー自体が破裂を起こす。
椅子の下にエンジンが置いてある原付二輪では致命的で、脚などの下半身を負傷してしまう。
「島津が大々的に宣伝しているから、原付二輪は島津というイメージが付いていて、爆発も島津のせいだという話しも出てきている」
つまり原付二輪イコール島津と認識されつつあり、他社が作った原付二輪の事故でさえ島津の製品の起こした事故だと、世間では思われている。
トヨタのプリウスが事故を起こした時、すべてのハイブリッド車は危険だという人がいたが、似たようなことがここでも起きている。
「では、対抗処置を執りましょう。前に頼んでいたように特許を使って粗悪品、特に事故を起こした企業の原付二輪は徹底的に訴え、賠償金も取りましょう」
勿論、忠弥はこのような事態を予測していた上で対処法を予め作り上げていた。
幸いにも初期段階ながら、この世界には特許の概念が出来ており法によって保護されていた。
そこで、忠弥は原付二輪の特許と商標権を販売前に取得するよう義彦に頼んでいた。
皇都での伝手をフルに使って短期間で特許と商標権を手にした島津産業は、法的手続きが終了したと同時に自動二輪の販売を開始した。
類似の商品を販売したライバル会社を蹴落とすために。裁判を起こしたときに優位に事を進めるための武器として特許と商標を確保していた。
「我々の特許と商標権を不当に害しているという理由で訴えるんだね」
「ええ、それに被害者の救済基金を作り、その企業に賠償金を出すよう民事で訴え出られるよう弁護士を紹介するなどして後押ししましょう」
そして、粗悪品による負傷が島津のせいでは無い事を証明し、全ての被害者を救済しつつ、怒りの矛先をライバル会社に向けるために消費者の保護を行っていた。
同時に彼らに紹介した弁護士を雇うことになり、ライバル会社から多額の賠償金をもぎ取ってくれる。
そして彼等は助けてくれた島津産業を強力に支えてくれるファンになってくれるだろう。
そこまでゆくのは少し都合が良すぎるが、助けた被害者の一割でも島津のファンになってくれると大助かりだ。
「あと、いくつかの会社の原付二輪は優れています」
「そのようだね。由々しき事態だ」
「まあ、予想された事態ではあります」
忠弥の作った原付二輪は短期間で作った、いや短期間で商品化するために安全性を重視してあちこちの部品の強度を高めに取っている。
そのため必要以上に強くするため重くなっている。
結果、全体的に重く軽量化の余地があり、他の後発企業が参入する余地を残していた。
「なので予定通りに事を進めます。私の作った、このリストに載った企業の代表者と技術者を集めて下さい」
「分かった、すぐにやるよ。君が見つけ出した最高の技術者なのだろうからね」
「何人か見つかれば良かったんですが」
「いや、大成功するよ。何しろ、こんなに手の込んだ、人材発見方法を私は知らない」
義彦の「問題がある」という言葉に忠弥は不安になった。
「まさかエンジンか何処かに欠陥がありますか?」
原付二輪の構造は簡単だが、短期間で作った為に何処か不具合が出てきたのではと考えた。
二一世紀の日本なら売り出した商品に欠陥があった場合、直ぐに非難の的となるため開発中に様々な使用状況を考えて長期に渡って様々な試験を行う。
だが、そのようなノウハウがない忠弥は、エンジンの耐久試験、試作した幾つものエンジンを一週間ぶっ続けで回し続けるだけで販売を開始した。
少なくともエンジンのシリンダーとピストンに欠陥は無く爆発して怪我をするような構造では無い。
他の欠陥が出てきても構造が簡単なので修正しながら販売すれば良いと考えていた。
何とも無責任に近いが、機械が出来て僅かしか経っていないこの世界では、このようなトライアンドエラーのまま商品を売り出すことが多かった。
忠弥がこの国にしては異常なほどテストをしており、この時代に数多ある製品の中では原付二輪が安全性に一番優れていた。
「いや、君の設計のお陰で異常は今のところ無い」
だからといって忠弥は、エンジン設計に手を抜いていない。
自転車のフレームの応用では無く、一から製造できる点を最大限に利用し、肉厚のあるピストンとシリンダーを製造し、頑丈にしている。そのため重くなり、他の部分の軽量化に苦労した。だが、今のところエンジンに欠陥は無かった。
「では他になにか問題が」
「我が社の大ヒットを見て他社が原付二輪を作って売り始めている」
他社でヒットした商品を自社でコピーして売る。そんな事は良くあった。
原付二輪は構造が簡単なので直ぐに真似することが出来る。
だが、それらの製品は島津の許しを得ること無く生産されていた。
「粗悪品も出回っているようだ。シリンダーの肉厚が薄く、爆発して死傷者を出している」
「それは危険ですね」
ガソリンエンジンは小さいながらも爆発を利用して動く機関であり、爆発の起こるピストンとシリンダーはその圧力に耐えられるだけの耐久力が必要だ。その圧力にさえ耐えられないとシリンダー自体が破裂を起こす。
椅子の下にエンジンが置いてある原付二輪では致命的で、脚などの下半身を負傷してしまう。
「島津が大々的に宣伝しているから、原付二輪は島津というイメージが付いていて、爆発も島津のせいだという話しも出てきている」
つまり原付二輪イコール島津と認識されつつあり、他社が作った原付二輪の事故でさえ島津の製品の起こした事故だと、世間では思われている。
トヨタのプリウスが事故を起こした時、すべてのハイブリッド車は危険だという人がいたが、似たようなことがここでも起きている。
「では、対抗処置を執りましょう。前に頼んでいたように特許を使って粗悪品、特に事故を起こした企業の原付二輪は徹底的に訴え、賠償金も取りましょう」
勿論、忠弥はこのような事態を予測していた上で対処法を予め作り上げていた。
幸いにも初期段階ながら、この世界には特許の概念が出来ており法によって保護されていた。
そこで、忠弥は原付二輪の特許と商標権を販売前に取得するよう義彦に頼んでいた。
皇都での伝手をフルに使って短期間で特許と商標権を手にした島津産業は、法的手続きが終了したと同時に自動二輪の販売を開始した。
類似の商品を販売したライバル会社を蹴落とすために。裁判を起こしたときに優位に事を進めるための武器として特許と商標を確保していた。
「我々の特許と商標権を不当に害しているという理由で訴えるんだね」
「ええ、それに被害者の救済基金を作り、その企業に賠償金を出すよう民事で訴え出られるよう弁護士を紹介するなどして後押ししましょう」
そして、粗悪品による負傷が島津のせいでは無い事を証明し、全ての被害者を救済しつつ、怒りの矛先をライバル会社に向けるために消費者の保護を行っていた。
同時に彼らに紹介した弁護士を雇うことになり、ライバル会社から多額の賠償金をもぎ取ってくれる。
そして彼等は助けてくれた島津産業を強力に支えてくれるファンになってくれるだろう。
そこまでゆくのは少し都合が良すぎるが、助けた被害者の一割でも島津のファンになってくれると大助かりだ。
「あと、いくつかの会社の原付二輪は優れています」
「そのようだね。由々しき事態だ」
「まあ、予想された事態ではあります」
忠弥の作った原付二輪は短期間で作った、いや短期間で商品化するために安全性を重視してあちこちの部品の強度を高めに取っている。
そのため必要以上に強くするため重くなっている。
結果、全体的に重く軽量化の余地があり、他の後発企業が参入する余地を残していた。
「なので予定通りに事を進めます。私の作った、このリストに載った企業の代表者と技術者を集めて下さい」
「分かった、すぐにやるよ。君が見つけ出した最高の技術者なのだろうからね」
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