新世界の空へ飛べ~take off to the new world~ アルファポリス版

葉山宗次郎

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島津一代記

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 秋津皇国

 新旧の大陸に挟まれた大洋の中心部にある島国。
 その歴史は、七百年前に遡る。
 旧大陸の内陸部に起こった騎馬民族。多数の部族に分かれていたが、ある時、強力な指導者に酔って纏められ周辺国を征服していった。旧大陸の東半分を攻め滅ぼしたあと、その先、八島と呼ばれる武士が治める小さな諸島国家へ渡海し、併合した。
 尚武を尊ぶ武士の抵抗は激烈を極め亭号に十年以上掛かった。しかし、征服した騎馬民族達は武士達の武勇に惚れ込み、自らの尖兵として用いようとした。
 懐柔策を以て彼らを優遇し、海を渡らせ各地の戦闘に投入、武勇を示せば恩賞を渡し、地位を上げさせていった。
 騎馬民族達の政策は当たり、武士達は各地でたぐいまれなる武勇を示した。
 特に西方遠征の際、先陣を勤め上げ、旧大陸西部を征服する原動力となった。
 そして、西方全域を征服した後、彼らはさらに領土を広げるべく海を渡り大洋に浮かぶ諸島群、今の秋津へ到達した。
 上陸すると彼らは家ごとに別れて島の征服を開始し、現地の人間を懐柔しつつ支配層に
 しかし、秋津に到達した時、彼らの宗主国であった騎馬民族の大帝国は、すでに拡大による限界に来ていた。
 武士達が秋津を平定し終わり、騎馬民族の本隊を受け入れる段階で大帝国は占領地各地で反乱が勃発。
 大帝国は崩壊し、旧大陸中央にまで押し戻された。
 宗主国から取り残された秋津の武士達は、八島から続く皇の血筋の者を自らの主君として奉り、封建国家皇国を作り出した。
 大帝国が崩壊し復興を成し遂げ、海洋進出した西方諸国は秋津に到達したときには秋津皇国の形はできあがっており、発展の活気に満ちていた。
 旧大陸西方諸国は武士の武威への畏怖と恐怖の記憶が未だ強く、彼らは攻めることはせず、より弱い原住民が支配する新大陸への征服へ向かった。
 新大陸に多くの植民地が出来て秋津は中継地として栄えていたが、海洋進出に伴い列強諸国との争いが増え、争いを避けるため一時鎖国を行った。
 その間に皇国は中央集権を進め内政を充実させた。
 だが諸外国の国力増大は著しく、科学技術を進展させ、皇国を凌駕し脅威を与えるようになった。
 そのため皇国は危機を感じ開国し、諸外国に使節や視察団を送り、自国の産業の育成に入った。
 その時、大きく発展したのが島津義彦が一代で作り上げた新興コンツェルン島津産業である。
 開国という一大イベントを好奇心旺盛な思春期に見て強く精神に刻み込んだ義彦は、海外への留学生公募に応募し、数百倍の倍率を勝ち抜き、渡海。
 海外の優れた文明を見て素晴らしさに圧倒され皇国を発展させることを決意し、会社を起こし、技術導入を始めた。
 積極的に諸外国から新技術を導入し、様々な産業に進出た島津は一大コングロマリッドを形成した新しい会社だ。
 急速に勢力を拡大した島津だったが数年前より成長が著しく鈍化した。
 島津財閥が発展した理由は秋津皇国と諸外国との技術格差のためだ。
 秋津皇国にない技術を他の財閥に先んじて諸外国から輸入し販売し先発優位性――新しい市場に早期参入することで得られる優位性を積極的に活用した。
 具体的には

――新製品を受け容れる、価格を気にしない好奇心旺盛で購買力の高い消費者へ真っ先に商品を届け顧客にする。

――最初になる事でその製品カテゴリーの代名詞となり後発企業の参入障壁となり独占しやすくする。

――商品の製造販売の経験が何処よりも長いことでコストの削減が容易。

 以上の効果を発揮出来る。
 ゲームで言えば新ジャンルを開拓して大勢のユーザーをゴッソリ囲い込んだ大作ソシャゲーみたいなものだ。
 しかし、開国して時が経ち、皇国と諸外国との技術格差が無くなり始めると、島津産業は輸入するべき技術も製品も無くなりつつあった。
 大規模なプラント事業はあるが、新興の島津産業には少々荷が重かった。
 仮に、大規模なプラントを作っても消費規模の小さい秋津皇国では投資を回収出来るか不透明だ。
 それ以上に、諸外国に遅れを取っている事を義彦は恐れていた。
 国内は充実し発展し諸外国に近づきつつある。
 諸外国と貿易関係の争いで戦争になったこともあったが、勝利し列強の仲間に入った。
 しかし、一流国に入ってもまだ新参者、先駆者の後ろを付いていくだけの国。成長著しく少し力はあるが自分で考える頭を持たない子供に等しい。
 列強諸国から頭一つ抜きん出るためには、何処の国も進出したことの無い分野に進み開拓する必要があった。
 商売人である島津義彦だが同時に愛国者でもあり、秋津皇国を発展させ諸外国からの圧力にも屈しない揺るぎない国家にするのが目標だった。
 そのための分野を探していたとき、義彦は一人娘の昴が連れてきた一人の少年と出会った。
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