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自動車関連法案
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「いやあ、大勝利だったね」
忠弥を前に義彦は言った。
今でも義彦はあの日のこと、忠弥がパイロットを救助して帰ってきた時の光景が脳裏に浮かぶ。
忠弥が最初に飛び立った時の観衆の興奮。
彼らの頭上を飛び去るインパクトは大きく、着陸した忠弥の元に駆け寄り、胴上げまでした。
直後に行われただ-串の飛行は完全に失敗、旋回しようとして横滑りして墜落。
気絶したパイロットを忠弥が助け出すというエピソードから最後にはダーク氏が忠弥の飛行を認め、賞賛する様な言葉まで入っている。
忠弥にかけられた人類初の有人動力飛行疑惑は皇国において完全に打ち消された、と言って過言ではなかった。
何より、皇国初の世界的快挙が、これまで先を進んでいると思われた先進国から認められた、という意義は、皇国は後進国だと思っていた民衆に喜びをもたらし、先進国の仲間入りをしたと大きな実感をもたらしていた。
忠弥の名前は改めて皇国に知れ渡り、飛行機に関する関心が増大。
島津の作る飛行機に、大量の注文が入った上に、自分も飛行機にのりたちと希望する人間が続出している。
にわかに飛行機ブームが皇国に到来し、飛行機熱は上がり始めていた。
「ええ、大勝利でした。社長が無事に当選し秋津飛翔党も第一党に躍進しました」
忠弥が賞賛しているのは先日行われた国政選挙で義彦率いる秋津飛翔党が大勝利を収めたことだ。
対決飛行の模様をラジオ放送が忠弥の指示で生で中継していた。
放送前から大々的に宣伝しており、休日と言うこともあり大勢がラジオの前に集まっていた。
そして視聴していた多くの人々改めて忠弥の飛行が人類初の有人動力飛行であることを認識。
最後には異議を唱えていたダーク氏が認めたように聞こえた。
皇国の人々は再び忠弥を熱狂的に支持し、後援する島津そして秋津飛翔党へ支持も拡大した。
一方でダーク氏に肩入れしていた政府与党は、忠弥の飛行を紛い物扱いしたため民衆の支持を失った。
支持率が逆転した状態で選挙当日を迎え、秋津飛翔党への投票が続出した。
準備期間が短かったため、全ての選挙区に候補者を出せなかったが、秋津飛翔党は全ての候補者が当選し、国会において第一党の地位を獲得した。
政府与党への不満も大きかったこともあるが、先日の忠弥の討論と飛行の勝利がもたらした事は間違いない。
「まだ議席の大半を占める既存政党と交渉する必要があるが、これで重要法案を通すことが出来るな」
それでも議席は過半数を抑えることは出来ず、既存政党と連立を生む必要がある。
また新党故に政権の運営能力が無いどころか官庁の情報も無いだけにすぐに政権を奪うことは避けたかった。
しかし、大きな権力を手に入れたことに間違いは無かった
「ええ、ですから航空産業の振興法案を出して下さい」
だから忠弥は遠慮無く自分の願望をぶつけた。
「勿論だ。それと君が言っていた自動車関連税による道路財源と国道整備も提出するよ」
忠弥が前から義彦に提案していたのは、自動車重量税と自動車燃料税だ。
主に自動車の重量に応じて支払う税金と、燃料であるガソリンに付加される税金だ。
自動車購入者に台数に応じて税金を、それも車検毎に出して貰う。これで整備して車の安全を確保すると共に整備産業を育成するのが目的だ。
そして自動車燃料税で、ガソリン使用に応じて税金を負担して貰う。重量税だけだと車の利用回数で不公平になってしまう。
そこで車の利用回数≠ガソリン使用量と仮定してガソリンの使用量に応じて税金を納めて貰う。
これらで得た税金を用いて最大の目的である国道整備を行うのだ。
そもそも忠弥が最初に原付二輪を押したのは、皇国の道路事情が悪いからだ。
凸凹の砂利道が車には酷い道である事は初めて自動車に乗ったとき分かっている。それに自動車が通れる幅のある道が少ない。
走れる道路がなければ幾ら車を作っても売れることは無い。
そこで自動車のユーザーから税金を徴収し、道路を作る事にした。
道路が出来れば、自動車が通り易くなり自動車利用者が増える。
利用者が増えれば税収が上がる。
上がった税収で道路を整備する。
この無限ループを作るためにも自動車関連税と国道整備は必要だった。
最初の国道整備は国債で賄うことになるだろうが、財源として自動車関連税を担保にして返済していけば十分に償還できるので大丈夫だ。
「しかし、君は飛行機一本、その他のことなど考えないと思っていたのだが」
これまでの人生全てを飛行機に文字通り捧げてきた忠弥である。
国の権力を握ったからには航空産業を国の根幹に据えろ、と要求しそうだった。
実際、国政を握れたのは忠弥が人類初の有人動力飛行を成し遂げ、後進国と思われてきた皇国が世界の最先端の国に仲間入りさせてくれたという民衆の認識が大きく、そのような要求を出しても、結果はともかく、提案を受け入れないといけないだろう。
だから島津の本業である自動車を発展させる為に道路を整備しろと言ってきたのは義彦には意外だった
「ええ、今でもそうです。自動車産業は飛行機に役に立つので発展して欲しいんです。特にエンジンとその関連、そして高品質ガソリンの大量生産にも自動車産業は必要なのです」
忠弥を前に義彦は言った。
今でも義彦はあの日のこと、忠弥がパイロットを救助して帰ってきた時の光景が脳裏に浮かぶ。
忠弥が最初に飛び立った時の観衆の興奮。
彼らの頭上を飛び去るインパクトは大きく、着陸した忠弥の元に駆け寄り、胴上げまでした。
直後に行われただ-串の飛行は完全に失敗、旋回しようとして横滑りして墜落。
気絶したパイロットを忠弥が助け出すというエピソードから最後にはダーク氏が忠弥の飛行を認め、賞賛する様な言葉まで入っている。
忠弥にかけられた人類初の有人動力飛行疑惑は皇国において完全に打ち消された、と言って過言ではなかった。
何より、皇国初の世界的快挙が、これまで先を進んでいると思われた先進国から認められた、という意義は、皇国は後進国だと思っていた民衆に喜びをもたらし、先進国の仲間入りをしたと大きな実感をもたらしていた。
忠弥の名前は改めて皇国に知れ渡り、飛行機に関する関心が増大。
島津の作る飛行機に、大量の注文が入った上に、自分も飛行機にのりたちと希望する人間が続出している。
にわかに飛行機ブームが皇国に到来し、飛行機熱は上がり始めていた。
「ええ、大勝利でした。社長が無事に当選し秋津飛翔党も第一党に躍進しました」
忠弥が賞賛しているのは先日行われた国政選挙で義彦率いる秋津飛翔党が大勝利を収めたことだ。
対決飛行の模様をラジオ放送が忠弥の指示で生で中継していた。
放送前から大々的に宣伝しており、休日と言うこともあり大勢がラジオの前に集まっていた。
そして視聴していた多くの人々改めて忠弥の飛行が人類初の有人動力飛行であることを認識。
最後には異議を唱えていたダーク氏が認めたように聞こえた。
皇国の人々は再び忠弥を熱狂的に支持し、後援する島津そして秋津飛翔党へ支持も拡大した。
一方でダーク氏に肩入れしていた政府与党は、忠弥の飛行を紛い物扱いしたため民衆の支持を失った。
支持率が逆転した状態で選挙当日を迎え、秋津飛翔党への投票が続出した。
準備期間が短かったため、全ての選挙区に候補者を出せなかったが、秋津飛翔党は全ての候補者が当選し、国会において第一党の地位を獲得した。
政府与党への不満も大きかったこともあるが、先日の忠弥の討論と飛行の勝利がもたらした事は間違いない。
「まだ議席の大半を占める既存政党と交渉する必要があるが、これで重要法案を通すことが出来るな」
それでも議席は過半数を抑えることは出来ず、既存政党と連立を生む必要がある。
また新党故に政権の運営能力が無いどころか官庁の情報も無いだけにすぐに政権を奪うことは避けたかった。
しかし、大きな権力を手に入れたことに間違いは無かった
「ええ、ですから航空産業の振興法案を出して下さい」
だから忠弥は遠慮無く自分の願望をぶつけた。
「勿論だ。それと君が言っていた自動車関連税による道路財源と国道整備も提出するよ」
忠弥が前から義彦に提案していたのは、自動車重量税と自動車燃料税だ。
主に自動車の重量に応じて支払う税金と、燃料であるガソリンに付加される税金だ。
自動車購入者に台数に応じて税金を、それも車検毎に出して貰う。これで整備して車の安全を確保すると共に整備産業を育成するのが目的だ。
そして自動車燃料税で、ガソリン使用に応じて税金を負担して貰う。重量税だけだと車の利用回数で不公平になってしまう。
そこで車の利用回数≠ガソリン使用量と仮定してガソリンの使用量に応じて税金を納めて貰う。
これらで得た税金を用いて最大の目的である国道整備を行うのだ。
そもそも忠弥が最初に原付二輪を押したのは、皇国の道路事情が悪いからだ。
凸凹の砂利道が車には酷い道である事は初めて自動車に乗ったとき分かっている。それに自動車が通れる幅のある道が少ない。
走れる道路がなければ幾ら車を作っても売れることは無い。
そこで自動車のユーザーから税金を徴収し、道路を作る事にした。
道路が出来れば、自動車が通り易くなり自動車利用者が増える。
利用者が増えれば税収が上がる。
上がった税収で道路を整備する。
この無限ループを作るためにも自動車関連税と国道整備は必要だった。
最初の国道整備は国債で賄うことになるだろうが、財源として自動車関連税を担保にして返済していけば十分に償還できるので大丈夫だ。
「しかし、君は飛行機一本、その他のことなど考えないと思っていたのだが」
これまでの人生全てを飛行機に文字通り捧げてきた忠弥である。
国の権力を握ったからには航空産業を国の根幹に据えろ、と要求しそうだった。
実際、国政を握れたのは忠弥が人類初の有人動力飛行を成し遂げ、後進国と思われてきた皇国が世界の最先端の国に仲間入りさせてくれたという民衆の認識が大きく、そのような要求を出しても、結果はともかく、提案を受け入れないといけないだろう。
だから島津の本業である自動車を発展させる為に道路を整備しろと言ってきたのは義彦には意外だった
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