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空中発進
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「飛行船から飛行機が出てきた、だと!」
突然飛行船から飛行機が、それも単座戦闘機が出てきたことにベルケは驚いた。
しかも中央の三隻から二機ずつ、合計六機が発進し、それも空を飛んでいる。
これまで飛行機とは地上か水上を滑走し、自力で離陸するのが普通だ。
だが、船からカタパルトを使った離陸や仮設の滑走台を使って陸上機が離陸した実験例はあるが空を飛んでいる飛行船から離陸した例はない。
「馬鹿な! どうして飛べるんだ!」
エーペンシュタインは訳が分からず叫ぶ。
滑走路を確保できずどうやって離陸速度に達するというのだ。
飛行機が離陸できるのは、揚力が生まれるからだ。揚力は飛行機が前に進むことで翼に風を受け生まれる。飛行機が飛び立つのに必要な揚力が生まれるのが離陸速度であり、滑走路はその離陸速度まで加速するためのものだ。
滑走路のない飛行船でどうやって揚力を生み出すというのだ。
ベルケ達が、飛行船を地上に係留し飛行機を下ろしたのも戦闘機に揚力を与えるため自力発進させるためだ。。
忠弥の飛行船も同じように飛行船が地上に下りてから内部に搭載した飛行機を下ろしているとベルケもエーペンシュタインも考えていた。
だから、空中を航行している時に襲撃し、一方的に撃破しようと考えていた。
なのに戦闘機が飛行船から発進して自分たちに向かってくるのが信じられなかった。
エーペンシュタインが叫んだのも無理はなかった。
「そうか、飛行船の速力を早めて離陸速度で離すことで、滑走距離ゼロで発進できるのですね」
衝撃からすぐに立ち直ったベルケは、思考を巡らせ、すぐに答えを見つけた。
離陸速度、揚力を得るに必要な風を始めから飛行機に与えれば、そのまま発進できる。
船からの発進もカタパルトも使うが、船の速力と風上に向かい風の風速を合わせた合成風力で離陸に必要な風力と揚力を得ている。
飛行船は飛行機より遅いとはいえ、飛行機の離陸速度くらいは出せる。
乗せている戦闘機のエンジンを掛けた後、そのままアームに付けて外に出せば発進し墜落せずに飛行できる。
「お見事です」
忠弥の見事なアイディアにベルケは感心した。
しかし戦闘の最中であり、すぐに状況を把握して部下に指示を出す。
「私とエーペンシュタインの隊は爆弾を投棄して敵戦闘機へ向かい味方を援護! 残りは作戦通り攻撃を続行せよ」
出てきたのは六機のみ、あれだけならいくら手練れの皇国空軍とはいえ、ベルケ達も幾度も実践を経験した熟練パイロット。
数が少ないなら、同数の機数で相手に出来るとベルケは信じていた。
指揮官が動揺から回復したことで、ベルケ達帝国戦闘機部隊は落ち着きを取り戻し、指示に従って、命令された行動を始める。
ベルケとエーペンシュタインの隊に所属する戦闘機は飛行船攻撃用に積んでいた爆弾を投棄。
身軽になりアルバトロス戦闘機は本来の俊敏さを取り戻し、飛行船攻撃に向かう味方を援護するため、忠弥達に向かって躍り出た。
同数の疾鷹とアルバトロスは正面からぶつかり合い、互いにすれ違った。
「新型か!」
機体形状と性能から新型機とベルケにはすぐに分かった。
そして、先頭の機体に忠弥が乗っていたのも見えた。
「さすが忠弥さんですね」
不敵に笑うと機体を反転させ、忠弥達の戦闘機隊に再び襲いかかる。
飛行船を撃破すれば勝ちであり、攻撃隊を援護するのがベルケ達の役目だ。
「そう簡単にはいかないか」
機数は同じだが、編成が違う。
ベルケ達は三機一組の二チーム。一方、忠弥達は二機一組の三チーム。
チームごとに組み合っても、忠弥の方が一チームあまり予備として援護や攻撃隊への攻撃を行える。
「させん!」
だがベルケも手練れだった。
忠弥達の戦闘機が味方に向かうのを阻止する。
少ないチームで翻弄する。
元々機数が多いこともあり、飛行船へ攻撃隊が近づいていく。
しかし近づくと、飛行船の各所に設けられた銃座から防御火力が放たれる。
「さすがに対応していますか」
帝国が最初に行った飛行船団の防御陣形。
忠弥達もまねしてベルケ達を接近させないように陣形を組み防御火力を加える。
しかも改良が加えられており、狙われやすいカモ小隊カモ番機への攻撃ルートに小型飛行船を配置して、侵入できないようにしている。
その小型飛行船を狙って攻撃を仕掛けても小型のため、簡単に回避行動を行い避ける。
しかも避けた後すぐに戻ってくる。
非常にやりにくい相手だった。
だが、ベルケの部下は百戦錬磨であり、連携に優れていた。
小型飛行船に攻撃を仕掛けると見せかけて避けさせた僅かな隙に、もう一チームが大型飛行船、飛天型飛行船に肉薄する。
「貰った!」
爆弾の投下レバーに力を入れた。
次の瞬間、真横から銃撃を受ける。
「なっ」
新たな戦闘機が出てきて攻撃を止めて離脱する。
なおも食いつく戦闘機を相手にするため爆弾を落とし、迎え撃つ。
「隊長達がやられたのか」
攻撃隊を率いていたパイロットは周りを見るが、ベルケの機体は未だに交戦中だった。
一機も欠けることなく攻撃を続行していた。
「敵が増えている」
驚いていると、飛天級に新たな動きがあった。
アームが引っ込むと、新たな飛行機をぶら下げて伸びてきた。
「新手を繰り出せるだと!」
ベルケ達に衝撃が走った。
敵機があっという間に同数になり今また、増えようとしている。
「劣勢いや作戦失敗だな」
敵の戦力を見誤り、奇襲を受けて動揺した。味方は爆弾を全て投棄して攻撃手段は無く、時間が経つにつれて戦力が増えていく。
「撤退する!」
ベルケは撤退の信号弾を打ち上げた。
忠弥達に囲まれる前にベルケ達は戦場を離脱。
観測用の気球を目印に霧の中に逃げ込んでいった。
突然飛行船から飛行機が、それも単座戦闘機が出てきたことにベルケは驚いた。
しかも中央の三隻から二機ずつ、合計六機が発進し、それも空を飛んでいる。
これまで飛行機とは地上か水上を滑走し、自力で離陸するのが普通だ。
だが、船からカタパルトを使った離陸や仮設の滑走台を使って陸上機が離陸した実験例はあるが空を飛んでいる飛行船から離陸した例はない。
「馬鹿な! どうして飛べるんだ!」
エーペンシュタインは訳が分からず叫ぶ。
滑走路を確保できずどうやって離陸速度に達するというのだ。
飛行機が離陸できるのは、揚力が生まれるからだ。揚力は飛行機が前に進むことで翼に風を受け生まれる。飛行機が飛び立つのに必要な揚力が生まれるのが離陸速度であり、滑走路はその離陸速度まで加速するためのものだ。
滑走路のない飛行船でどうやって揚力を生み出すというのだ。
ベルケ達が、飛行船を地上に係留し飛行機を下ろしたのも戦闘機に揚力を与えるため自力発進させるためだ。。
忠弥の飛行船も同じように飛行船が地上に下りてから内部に搭載した飛行機を下ろしているとベルケもエーペンシュタインも考えていた。
だから、空中を航行している時に襲撃し、一方的に撃破しようと考えていた。
なのに戦闘機が飛行船から発進して自分たちに向かってくるのが信じられなかった。
エーペンシュタインが叫んだのも無理はなかった。
「そうか、飛行船の速力を早めて離陸速度で離すことで、滑走距離ゼロで発進できるのですね」
衝撃からすぐに立ち直ったベルケは、思考を巡らせ、すぐに答えを見つけた。
離陸速度、揚力を得るに必要な風を始めから飛行機に与えれば、そのまま発進できる。
船からの発進もカタパルトも使うが、船の速力と風上に向かい風の風速を合わせた合成風力で離陸に必要な風力と揚力を得ている。
飛行船は飛行機より遅いとはいえ、飛行機の離陸速度くらいは出せる。
乗せている戦闘機のエンジンを掛けた後、そのままアームに付けて外に出せば発進し墜落せずに飛行できる。
「お見事です」
忠弥の見事なアイディアにベルケは感心した。
しかし戦闘の最中であり、すぐに状況を把握して部下に指示を出す。
「私とエーペンシュタインの隊は爆弾を投棄して敵戦闘機へ向かい味方を援護! 残りは作戦通り攻撃を続行せよ」
出てきたのは六機のみ、あれだけならいくら手練れの皇国空軍とはいえ、ベルケ達も幾度も実践を経験した熟練パイロット。
数が少ないなら、同数の機数で相手に出来るとベルケは信じていた。
指揮官が動揺から回復したことで、ベルケ達帝国戦闘機部隊は落ち着きを取り戻し、指示に従って、命令された行動を始める。
ベルケとエーペンシュタインの隊に所属する戦闘機は飛行船攻撃用に積んでいた爆弾を投棄。
身軽になりアルバトロス戦闘機は本来の俊敏さを取り戻し、飛行船攻撃に向かう味方を援護するため、忠弥達に向かって躍り出た。
同数の疾鷹とアルバトロスは正面からぶつかり合い、互いにすれ違った。
「新型か!」
機体形状と性能から新型機とベルケにはすぐに分かった。
そして、先頭の機体に忠弥が乗っていたのも見えた。
「さすが忠弥さんですね」
不敵に笑うと機体を反転させ、忠弥達の戦闘機隊に再び襲いかかる。
飛行船を撃破すれば勝ちであり、攻撃隊を援護するのがベルケ達の役目だ。
「そう簡単にはいかないか」
機数は同じだが、編成が違う。
ベルケ達は三機一組の二チーム。一方、忠弥達は二機一組の三チーム。
チームごとに組み合っても、忠弥の方が一チームあまり予備として援護や攻撃隊への攻撃を行える。
「させん!」
だがベルケも手練れだった。
忠弥達の戦闘機が味方に向かうのを阻止する。
少ないチームで翻弄する。
元々機数が多いこともあり、飛行船へ攻撃隊が近づいていく。
しかし近づくと、飛行船の各所に設けられた銃座から防御火力が放たれる。
「さすがに対応していますか」
帝国が最初に行った飛行船団の防御陣形。
忠弥達もまねしてベルケ達を接近させないように陣形を組み防御火力を加える。
しかも改良が加えられており、狙われやすいカモ小隊カモ番機への攻撃ルートに小型飛行船を配置して、侵入できないようにしている。
その小型飛行船を狙って攻撃を仕掛けても小型のため、簡単に回避行動を行い避ける。
しかも避けた後すぐに戻ってくる。
非常にやりにくい相手だった。
だが、ベルケの部下は百戦錬磨であり、連携に優れていた。
小型飛行船に攻撃を仕掛けると見せかけて避けさせた僅かな隙に、もう一チームが大型飛行船、飛天型飛行船に肉薄する。
「貰った!」
爆弾の投下レバーに力を入れた。
次の瞬間、真横から銃撃を受ける。
「なっ」
新たな戦闘機が出てきて攻撃を止めて離脱する。
なおも食いつく戦闘機を相手にするため爆弾を落とし、迎え撃つ。
「隊長達がやられたのか」
攻撃隊を率いていたパイロットは周りを見るが、ベルケの機体は未だに交戦中だった。
一機も欠けることなく攻撃を続行していた。
「敵が増えている」
驚いていると、飛天級に新たな動きがあった。
アームが引っ込むと、新たな飛行機をぶら下げて伸びてきた。
「新手を繰り出せるだと!」
ベルケ達に衝撃が走った。
敵機があっという間に同数になり今また、増えようとしている。
「劣勢いや作戦失敗だな」
敵の戦力を見誤り、奇襲を受けて動揺した。味方は爆弾を全て投棄して攻撃手段は無く、時間が経つにつれて戦力が増えていく。
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