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空中空母飛天
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「敵が逃げたわ! すぐに追いかけましょう!」
「ダメだ。危険すぎる」
追いかけようとする昴を忠弥は止めた。
霧の中で無視界で飛行するのは危険すぎる。
ベルケ達は予め目印を付けたり、進路を決めて準備しているのだろうが、忠弥達はそのような準備はない。
霧に入った瞬間、地面や山にぶつかって墜落という危険が高い。
「じゃあベルケ達が出てくるまで待ち伏せるの?」
「そうしたいところだけど、無理だと思う」
忠弥は予感を口にするとすぐに連絡が飛天から入った。
『只今、通信が入りました。南西領を攻略中の連合軍部隊が航空攻撃を受けて、劣勢に陥っているそうです』
「やっぱり、やってくれるね」
全速で救援に向かわせる為に、南西領の連合軍へ航空部隊主力を以て攻撃を仕掛けさせ、忠弥達を最短コースである沿岸寄りの航路を取らせていたのだ。
そして万が一の時、攻撃が失敗しても忠弥が味方の救援に向かわざるを得ないように仕組んでいたのだろう。
「全機着艦。味方の救援に向かう」
「ベルケを追わなくて良いの?」
「飛行船を運用するには味方の支援が必要だし、危機に陥っている味方を放っておくことは出来ない。急いで救援に行く」
「分かったわ」
忠弥の決定に昴は従った。
そして飛天の真下に行くと、収容用のフック付きアームを伸ばして飛天が伸ばしてきたアームに引っかける。
アーム側のカギが疾鷹のフックを掴みロックし、固定した。完全に固定されるとアームが引き上げられ、飛天の艦内に収容された。
昴はエンジンを停止してプロペラを止め、駐機スペースに移動すると整備員に翼を畳んで格納させた。
十分も経たないうちに全ての航空機が飛天型飛行船に収容され、味方を救うべく、忠弥達の飛行船団は進撃を再開した。
「とんでもない飛行船だったな」
攻撃終了後の集合地点として設けられた野外飛行場で集まったパイロット達にベルケは言った。
カルタゴニアが見つかる可能性が高かったし、霧の中に飛行船を待機させるのは危険だった。
船体に霧が当たって結露し、飛行船が重くなり離陸不能になる可能性が高かったからだ。
飛行船は意外と重く一寸した重量増加で高度を落としてしまう。
カルタゴニア大陸を飛行中、雲の水滴が付着し高度が地上まで一メートル以下に下がって慌てた事があった。
だからベルケは飛行船を霧に触れさせるのを嫌がり、離れた場所で待機させていた。
「まさか発艦可能な飛行船とはな」
ベルケは撤退命令後、部下が全員に逃げたのを確認すると霧に入らず、忠弥の行動の一部始終を見ていた。
複数、少なくとも二機を同時に発艦させ、二分毎に三回以上の連続発艦を行える能力。
着艦能力も優れており、六機を収容するのに、十分もかかっていない。
カルタゴニア級より大きいため、カルタゴニア級飛行船と同数の十二機に予備二機あるいはそれ以上の機数を搭載している可能性が高い。
「他にも護衛用の小型飛行船か、これは偵察も行うのだろう。飛行機を出さない大型飛行船がいたが、これは補給か予備の機体を運ぶ輸送用だろう」
忠弥を相手に激しい空戦を行っていたベルケだったが、優秀なパイロットであり、全周囲を見渡しており、記憶していた。
その記憶を頼りに飛行船の能力を推測していた。
「すぐに立ち去ってくれたのは良かったが」
霧が立ちこめているのは午前中までで、午後には気温が上がり、霧が無くなりベルケ達が見えてしまう。
忠弥の推測通りベルケは最短コースであるこの場所を通るように誘導するべく、自分の部隊主力に連合軍への航空攻撃を命じていた。
今回は奇襲攻撃であり、危険な飛行と効果的な攻撃を行う為、少数精鋭で作戦を敢行した。
攻撃が失敗したとき、救援に向かい早急に離脱する事までは想定していなかったが、有効に効き、ベルケは助かった。
「被害は?」
先に降りていたエーペンシュタインに尋ねた。
攻撃後は見張り用気球の間をすり抜けたあと霧の中に降下して隠れ、一定高度を保ったまま飛行。
一定時間が経ったら、決められた方向へ旋回。再び上昇して、飛行船が待っている第二の野戦飛行場へ向かうように予め指示していた。
いずれも難しい飛行であり、ベルケは損害を覚悟していた。
「被弾した機が多数ありますが、飛行可能です。着陸時、脚を損傷した機が三機ほどありますが部品交換で飛べます」
「それは良かった」
霧の中での飛行は危険で半数を失うこともベルケは覚悟していた。
だが部下は思った以上に優秀で、無事に帰還してくれた。
臨時の飛行場の整備が不十分に着陸時に脚に不具合が出るのは想定された事であり、しかも直せるという軽い被害だ。
限られた稼働機が減っていないことをベルケは喜んだ。
「問題は、今後です。敵も我々と同等、いや、それ以上の性能戦力を持つ飛行船を投入してきました。早急に対応策と、反撃を考えませんと」
エーペンシュタインの焦りも分からないではなかった。
圧倒的優位に立っていた自分たちが、敵は自分たち以上の力を手に入れ、攻撃しようとしている。
楽勝と思っていたが強大な敵に動揺は隠せなかった。
だが、ベルケは不敵に笑った。
「問題は無い。当初の作戦通り、行動するまでだ」
「ですが敵は圧倒的な戦力で攻撃してきます」
「勿論、敵の攻撃を考慮する必要はある。しかし我々のやることは変わらない。次の作戦に移る」
「ダメだ。危険すぎる」
追いかけようとする昴を忠弥は止めた。
霧の中で無視界で飛行するのは危険すぎる。
ベルケ達は予め目印を付けたり、進路を決めて準備しているのだろうが、忠弥達はそのような準備はない。
霧に入った瞬間、地面や山にぶつかって墜落という危険が高い。
「じゃあベルケ達が出てくるまで待ち伏せるの?」
「そうしたいところだけど、無理だと思う」
忠弥は予感を口にするとすぐに連絡が飛天から入った。
『只今、通信が入りました。南西領を攻略中の連合軍部隊が航空攻撃を受けて、劣勢に陥っているそうです』
「やっぱり、やってくれるね」
全速で救援に向かわせる為に、南西領の連合軍へ航空部隊主力を以て攻撃を仕掛けさせ、忠弥達を最短コースである沿岸寄りの航路を取らせていたのだ。
そして万が一の時、攻撃が失敗しても忠弥が味方の救援に向かわざるを得ないように仕組んでいたのだろう。
「全機着艦。味方の救援に向かう」
「ベルケを追わなくて良いの?」
「飛行船を運用するには味方の支援が必要だし、危機に陥っている味方を放っておくことは出来ない。急いで救援に行く」
「分かったわ」
忠弥の決定に昴は従った。
そして飛天の真下に行くと、収容用のフック付きアームを伸ばして飛天が伸ばしてきたアームに引っかける。
アーム側のカギが疾鷹のフックを掴みロックし、固定した。完全に固定されるとアームが引き上げられ、飛天の艦内に収容された。
昴はエンジンを停止してプロペラを止め、駐機スペースに移動すると整備員に翼を畳んで格納させた。
十分も経たないうちに全ての航空機が飛天型飛行船に収容され、味方を救うべく、忠弥達の飛行船団は進撃を再開した。
「とんでもない飛行船だったな」
攻撃終了後の集合地点として設けられた野外飛行場で集まったパイロット達にベルケは言った。
カルタゴニアが見つかる可能性が高かったし、霧の中に飛行船を待機させるのは危険だった。
船体に霧が当たって結露し、飛行船が重くなり離陸不能になる可能性が高かったからだ。
飛行船は意外と重く一寸した重量増加で高度を落としてしまう。
カルタゴニア大陸を飛行中、雲の水滴が付着し高度が地上まで一メートル以下に下がって慌てた事があった。
だからベルケは飛行船を霧に触れさせるのを嫌がり、離れた場所で待機させていた。
「まさか発艦可能な飛行船とはな」
ベルケは撤退命令後、部下が全員に逃げたのを確認すると霧に入らず、忠弥の行動の一部始終を見ていた。
複数、少なくとも二機を同時に発艦させ、二分毎に三回以上の連続発艦を行える能力。
着艦能力も優れており、六機を収容するのに、十分もかかっていない。
カルタゴニア級より大きいため、カルタゴニア級飛行船と同数の十二機に予備二機あるいはそれ以上の機数を搭載している可能性が高い。
「他にも護衛用の小型飛行船か、これは偵察も行うのだろう。飛行機を出さない大型飛行船がいたが、これは補給か予備の機体を運ぶ輸送用だろう」
忠弥を相手に激しい空戦を行っていたベルケだったが、優秀なパイロットであり、全周囲を見渡しており、記憶していた。
その記憶を頼りに飛行船の能力を推測していた。
「すぐに立ち去ってくれたのは良かったが」
霧が立ちこめているのは午前中までで、午後には気温が上がり、霧が無くなりベルケ達が見えてしまう。
忠弥の推測通りベルケは最短コースであるこの場所を通るように誘導するべく、自分の部隊主力に連合軍への航空攻撃を命じていた。
今回は奇襲攻撃であり、危険な飛行と効果的な攻撃を行う為、少数精鋭で作戦を敢行した。
攻撃が失敗したとき、救援に向かい早急に離脱する事までは想定していなかったが、有効に効き、ベルケは助かった。
「被害は?」
先に降りていたエーペンシュタインに尋ねた。
攻撃後は見張り用気球の間をすり抜けたあと霧の中に降下して隠れ、一定高度を保ったまま飛行。
一定時間が経ったら、決められた方向へ旋回。再び上昇して、飛行船が待っている第二の野戦飛行場へ向かうように予め指示していた。
いずれも難しい飛行であり、ベルケは損害を覚悟していた。
「被弾した機が多数ありますが、飛行可能です。着陸時、脚を損傷した機が三機ほどありますが部品交換で飛べます」
「それは良かった」
霧の中での飛行は危険で半数を失うこともベルケは覚悟していた。
だが部下は思った以上に優秀で、無事に帰還してくれた。
臨時の飛行場の整備が不十分に着陸時に脚に不具合が出るのは想定された事であり、しかも直せるという軽い被害だ。
限られた稼働機が減っていないことをベルケは喜んだ。
「問題は、今後です。敵も我々と同等、いや、それ以上の性能戦力を持つ飛行船を投入してきました。早急に対応策と、反撃を考えませんと」
エーペンシュタインの焦りも分からないではなかった。
圧倒的優位に立っていた自分たちが、敵は自分たち以上の力を手に入れ、攻撃しようとしている。
楽勝と思っていたが強大な敵に動揺は隠せなかった。
だが、ベルケは不敵に笑った。
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