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第二部 半島確保
朝鮮半島と海援隊
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「各地への上陸は順調に進んでいるようです」
「それは良かった」
開戦して数日、旅順への攻撃が一段落した鯉之助は朝鮮半島に上陸した各部隊の状況を把握し指示を出す日々が続いた。
日露開戦で朝鮮半島各地に日本軍の部隊が上陸している。
上陸計画を立てたのは海援隊であり、実行にも責任を持っている。
その実務責任者として作戦が上手くいっていることを鯉之助は喜んだ。
「ここで上手くいかないと、ロシアと戦えないからね」
そもそもの戦争目的は日本の安全の為、朝鮮半島をロシアに渡さないために決意したのだ。
その半島を確保できなくては、例えロシア軍に大打撃を与え、バルチック艦隊を撃破したとしても戦争目的は果たせない。
「まあ、半島確保の必要があるかどうかは疑問だが」
ただ、鯉之助は半島を確保する必要があるか疑問に思っている。
日本は海洋国家であり貿易で国を栄えさせるべきだ。
船は陸上交通機関、鉄道よりはるかに輸送効率が良く、物資を運ぶだけでも大もうけが出来る。
せいぜい通称の窓口になる沿岸部、優良で設備の整った港湾を抑える程度で十分であり大陸に出兵するなど不要だ。
もし大陸に敵対国家が出来たとしても、他の大陸国家を支援して戦わせ、撃退することで貿易拠点を確保できる。
英国と大陸諸国との歴史を見れば明らかで、英蘭戦争のと機はオランダに対してフランスと協力した。
かと思えば七年戦争ではフランスと敵対的したらドイツ諸国と同盟した。
アメリカ独立戦争で破れたのは、大陸諸国が一致団結して英国と対抗したためだ。
ナポレオン戦争の時は、フランス包囲網を何度も作り、追い詰め最後にはナポレオンを失脚させた。
それでいて大陸に領土は求めず、ジブラルタルやマルタなど重要な拠点を得るに留めている。
そして英国は繁栄を極めた。
ただ、世界の各地を植民地にする昨今の政策は疑問だ。
あまりに広すぎる植民地は、統治の為の経費が掛かりすぎる。
いずれ衰退の原因になる事を鯉之助は知っていた。
「港湾さえ確保できれば良いんだけどな」
同じように日本も半島と大陸の沿岸の重要な拠点、釜山や仁川などが日本の物になれば十分だと考えていた。
半島全土を治めるなど、どれほどの経費となり、徒労に終わるか、21世紀から来て知っているだけに止めておきたかった。
「ロシアに大陸を支配されてよろしいのですか?」
「大韓帝国か清国に戦って欲しいんだけど無理だね」
だが現実は非情であり、沙織の何時通りだった。
海洋国家として日本が生きて行くには、ロシアに対抗するには大陸に複数の有力な陸軍国家が必要だ。
だが、明治時代、極東では無理だった。
清国は衰退し滅亡に向かいつつある老いた帝国であり、内部は腐敗している。
大韓帝国は親露派の上に封建制度が残っていて近代化さえおぼつかない。
列強の中で後進国とされるが、大国であるロシア帝国に対抗できる力など、二カ国にはない。
そのため、日本が、本来海洋国家として大陸軍など不要なハズの大日本帝国が異様なほどの陸軍を海軍と並行して建設せざるを得ない理由であった。
大陸の沿岸国が頼りにならないため、自らの陸軍をロシアに対抗できる陸軍を日本自身が作るしかなかったのだ。
大陸が全て同一勢力に支配された状況など海洋国家には悪夢だ。
ナポレオンの大陸封鎖令で英国も苦しんだ。
英国の方が産業が優秀で競争力があり、密輸出入が盛んに行われるほどでフランスより有利だったが、それでも英国は困難な時代だった。
19世紀から20世紀にかけてロシアと敵対的だったのは、ロシアが沿岸部を制圧してナポレオンの再来となるのを恐れたからだ。
ナチスドイツとの戦いもヨーロッパを制圧され貿易が不可能になるのを防ぐためだ。
だが、海洋国家で大陸軍の建設は国を滅ぼす原因となる。
英国が衰退したのは第一次世界大戦と第二次世界大戦で自ら大軍を編成して陸で戦ったためだ。
ナポレオン戦争のように複数の陸軍国が参戦してくれたらもう少し楽に戦えたのだろうが、無理な話だった。
だが日本の場合、大陸に頼りになる陸軍国が居ないため、困難は更に上がる。
「まあ、頑張るしかないか」
鯉之助は何度もシミュレーションしているので半島を確保しないといけないことを理解している。
結局戦うしか無いのだ。
「まあ、順調に半島に上陸できるのは良いけれど」
「はい、各地の海援隊が上陸を手助けしています」
「出来なかったら、おかしいよ」
鯉之助は苦笑した。
朝鮮半島は海援隊の活動の場であり、稼ぎどころであり、地理を心得ている。
いや、オブラートに言う必要は無いだろう。
正確に言えば、狩り場、略奪場だった。
「それは良かった」
開戦して数日、旅順への攻撃が一段落した鯉之助は朝鮮半島に上陸した各部隊の状況を把握し指示を出す日々が続いた。
日露開戦で朝鮮半島各地に日本軍の部隊が上陸している。
上陸計画を立てたのは海援隊であり、実行にも責任を持っている。
その実務責任者として作戦が上手くいっていることを鯉之助は喜んだ。
「ここで上手くいかないと、ロシアと戦えないからね」
そもそもの戦争目的は日本の安全の為、朝鮮半島をロシアに渡さないために決意したのだ。
その半島を確保できなくては、例えロシア軍に大打撃を与え、バルチック艦隊を撃破したとしても戦争目的は果たせない。
「まあ、半島確保の必要があるかどうかは疑問だが」
ただ、鯉之助は半島を確保する必要があるか疑問に思っている。
日本は海洋国家であり貿易で国を栄えさせるべきだ。
船は陸上交通機関、鉄道よりはるかに輸送効率が良く、物資を運ぶだけでも大もうけが出来る。
せいぜい通称の窓口になる沿岸部、優良で設備の整った港湾を抑える程度で十分であり大陸に出兵するなど不要だ。
もし大陸に敵対国家が出来たとしても、他の大陸国家を支援して戦わせ、撃退することで貿易拠点を確保できる。
英国と大陸諸国との歴史を見れば明らかで、英蘭戦争のと機はオランダに対してフランスと協力した。
かと思えば七年戦争ではフランスと敵対的したらドイツ諸国と同盟した。
アメリカ独立戦争で破れたのは、大陸諸国が一致団結して英国と対抗したためだ。
ナポレオン戦争の時は、フランス包囲網を何度も作り、追い詰め最後にはナポレオンを失脚させた。
それでいて大陸に領土は求めず、ジブラルタルやマルタなど重要な拠点を得るに留めている。
そして英国は繁栄を極めた。
ただ、世界の各地を植民地にする昨今の政策は疑問だ。
あまりに広すぎる植民地は、統治の為の経費が掛かりすぎる。
いずれ衰退の原因になる事を鯉之助は知っていた。
「港湾さえ確保できれば良いんだけどな」
同じように日本も半島と大陸の沿岸の重要な拠点、釜山や仁川などが日本の物になれば十分だと考えていた。
半島全土を治めるなど、どれほどの経費となり、徒労に終わるか、21世紀から来て知っているだけに止めておきたかった。
「ロシアに大陸を支配されてよろしいのですか?」
「大韓帝国か清国に戦って欲しいんだけど無理だね」
だが現実は非情であり、沙織の何時通りだった。
海洋国家として日本が生きて行くには、ロシアに対抗するには大陸に複数の有力な陸軍国家が必要だ。
だが、明治時代、極東では無理だった。
清国は衰退し滅亡に向かいつつある老いた帝国であり、内部は腐敗している。
大韓帝国は親露派の上に封建制度が残っていて近代化さえおぼつかない。
列強の中で後進国とされるが、大国であるロシア帝国に対抗できる力など、二カ国にはない。
そのため、日本が、本来海洋国家として大陸軍など不要なハズの大日本帝国が異様なほどの陸軍を海軍と並行して建設せざるを得ない理由であった。
大陸の沿岸国が頼りにならないため、自らの陸軍をロシアに対抗できる陸軍を日本自身が作るしかなかったのだ。
大陸が全て同一勢力に支配された状況など海洋国家には悪夢だ。
ナポレオンの大陸封鎖令で英国も苦しんだ。
英国の方が産業が優秀で競争力があり、密輸出入が盛んに行われるほどでフランスより有利だったが、それでも英国は困難な時代だった。
19世紀から20世紀にかけてロシアと敵対的だったのは、ロシアが沿岸部を制圧してナポレオンの再来となるのを恐れたからだ。
ナチスドイツとの戦いもヨーロッパを制圧され貿易が不可能になるのを防ぐためだ。
だが、海洋国家で大陸軍の建設は国を滅ぼす原因となる。
英国が衰退したのは第一次世界大戦と第二次世界大戦で自ら大軍を編成して陸で戦ったためだ。
ナポレオン戦争のように複数の陸軍国が参戦してくれたらもう少し楽に戦えたのだろうが、無理な話だった。
だが日本の場合、大陸に頼りになる陸軍国が居ないため、困難は更に上がる。
「まあ、頑張るしかないか」
鯉之助は何度もシミュレーションしているので半島を確保しないといけないことを理解している。
結局戦うしか無いのだ。
「まあ、順調に半島に上陸できるのは良いけれど」
「はい、各地の海援隊が上陸を手助けしています」
「出来なかったら、おかしいよ」
鯉之助は苦笑した。
朝鮮半島は海援隊の活動の場であり、稼ぎどころであり、地理を心得ている。
いや、オブラートに言う必要は無いだろう。
正確に言えば、狩り場、略奪場だった。
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