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日本側の作戦
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「それで状況をどう見る?」
艦橋に戻った山口は佐久田に今回の海戦の予想される展開について尋ねた。
「米軍は下手を打ちました。我々機動艦隊をたたく前に上陸を始めてしまいました。一航艦さえ叩ききれずにいるのに上陸したのは焦っている証拠です」
「選挙対策か」
「恐らく」
四四年は一〇月にアメリカ大統領選挙がある。
六月中に何かしらの成果を上げたいだろう。
六日にノルマンディーに上陸作戦を行っているが陸上で膠着状態に陥っている。
それにアメリカ国民は、真珠湾でだまし討ちを行った日本に対する反撃を期待している。
拙速でも太平洋方面で成果を上げようとしているのは当然の帰結だった。
「それで我々は何をすればよい」
「マリアナで手いっぱいのアメリカ機動部隊の横っ面を思いきり殴りつけます」
「ふむ、ミッドウェーの時と違って単純でよろしいな」
ミッドウェーの時は飛行場無力化と敵艦隊撃滅の二重の任務を負わされた。
順番に一つずつ片付ける予定だったが敵機動部隊が現れたため同時に相手することになった。
だが今度はアメリカが複数の任務を同時に行う状況に陥っている。
そこに乱入できるのは願ってもない好機だった。
「しかし、問題があります」
「何だ?」
「アメリカは任務部隊編成、空母三~四隻ごとの任務群に分かれています。各空母群が個別に対応できるようになっています」
戦力は集中配置すれば、最大の攻撃力を得られる。
しかし密集しすぎるとぎゅうぎゅう詰めの路面電車の車内のように動きがとりにくい。
そこで適当な数、一人の指揮官が指揮しやすい数の艦艇数の部隊を多数作る任務群を米軍は採用している。
任務群同士の連携にやや難があるが、指揮しやすく、分散されているため一挙に空母が失われる可能性を少なくしている。
また艦載機の数が多く、任務群一つで二五〇機ほどの機体を搭載しているため、多様な任務をこなすことが出来る。
「我々も似たようなものだろう」
しかし、帝国海軍も空母の数が増強されるにつれて単一の艦隊での空母複数運用に支障を感じるようになり、米軍の編成の利点を認め空母を三隻ごとに分ける部隊制に移行している。
現在の第一機動艦隊は、指揮下にある第二艦隊、第三艦隊を纏めた上で、さらにその下に第一から第五までの各部隊が編成され、それぞれ独立して運用されている。
大雑把に栗田中将率いる第二艦隊は第一部隊と第五部隊が前衛として配属され、角田中将率いる第三艦隊が残りの部隊を率いて後衛を形成している。
ただし第一機動艦隊司令長官である山口が第一部隊の指揮を執っており、前衛から全体指揮を行っている。
敵と接触する前衛で情報を得つつ後方へ指示を送り、航空戦を行う。
後衛部隊である第二部隊、第三部隊、第四部隊は安全な距離から攻撃機を放ちつつ、攻撃する。
敵の攻撃に対しては前衛が受け止める壁となり、敵艦隊攻撃に出た味方攻撃隊を収容する出城となる。
そして好機――追撃戦の機会があれば前衛の艦艇を空母とその護衛を除き、第二艦隊へ編入し敵艦隊へ突撃させるのが作戦案だ。
「空母を分散させることにより安全が図れます」
そして各部隊に分かれることで他の空母の安全が図れる。
一つの袋に卵を全て纏めれば管理は簡単だが袋を盗まれれば、全てお終いだ。
しかしいくつかの袋に分ければ一つが盗まれたり腐ったりしても他の袋は無事だ。
そのような考えから複数部隊制による空母分散配置を第一機動艦隊は採用している。
「それは敵と同じです。敵も一つの任務群が壊滅しても他の任務群が無事であるなら作戦は可能です」
全力で一つの任務群をつぶしても他の任務群が無事だと反撃を受ける。
敵を一網打尽に出来ないのは残念だ。
「敵の全ての任務群への攻撃は不可能か?」
「敵の防空能力は侮れません。全力で一つの任務群を潰せるかどうか。分散させれば攻撃力は下がり、全ての任務群への攻撃に失敗するという事態に陥りかねません」
佐久田が作戦立案時から頭を悩ませていたのはそこだった。
敵エセックス航空母艦を沈めるには最低限四本の魚雷を命中させる必要がある。
ひいき目に見て我が方の雷撃隊の命中率は二割で最上だ。
最低でも二〇機の攻撃機で敵の空母を襲わなければ撃沈は難しい。
空母一隻から出せる攻撃隊は一隻当たり合計三六機の攻撃隊を編成できる。
一部隊当たり配属された空母三隻から一〇八機が発艦可能。
戦艦部隊である第五部隊を除いた四部隊合計五四〇機の攻撃隊を放てる。
雷撃機の数だけで全艦載機の三分の一にあたる一八〇機、一撃でエセックス級を九隻沈められる計算だが、米機動部隊の護衛戦闘機による防空力を前に二割ほど落とされ、敵艦隊の対空砲火でさらに二割撃墜されると考えられていた。
そのため第一機動艦隊が沈めることのできる空母の数は六隻。確実なのはせいぜい三隻だろう。
第二波でさらに三隻から六隻、追加できれば上等だ。
二回の攻撃で二つの空母任務群、それぞれの空母を合計六隻沈めることが限界だと佐久田は考えていた。
二派の攻撃隊を再建して、もう一度攻撃隊を送れるかどうか疑問だ。
打撃の中核である攻撃機を四割撃墜され、更に同数が損傷で戦列から離れるため、再出撃可能な機体は出撃した二割のみ。
二波の生き残りを纏めても半分以下の打撃力しかない。一応補充の手当、二直制により後方で待機訓練中の航空隊を呼び寄せる方法があるが戦場にたどり着けるかどうかはは保証できない。
それに敵も無策ではなく攻撃隊を機動部隊に出してくるだろう。
防空力に不安のある第一機動艦隊が防げるか疑問だ。
こちらの空母が撃破され、発艦能力がなくなれば、攻撃隊の規模は縮小される。
損耗は後方の航空隊から補充することは可能だが、プラットフォームである空母がなければ発艦どころか収容もできない。
「敵の攻撃を受けずに味方が攻撃できるかにかかています」
「だが、遠距離では到達できるか怪しいぞ」
「その通りです」
アウトレンジ戦法――米軍艦載機に比べ長距離を飛べる日本軍機の特徴を生かし、敵が届かない距離を維持して一方的に攻撃を行う戦法だ。
一見有利に見えるが、遠距離飛行のため攻撃隊は長時間の飛行を強いられる。
一般に搭乗員が最高の集中力を発揮できるのは発進後三十分、長くて一時間程度だ。
想定されるアウトレンジは七〇〇キロ、攻撃隊の速力は二五〇キロだから片道で三時間の飛行となる。
後の時代で例えれば、高速道路を制限速度で車列を形成しつつ三時間ノンストップで走らせたままサーキットに入り、十五分ほど最高速度でコースを走り回り、また三時間かけて戻っていくようなものだ。
勿論休憩はない。
それを自動操縦装置なしに一人のパイロットが休みなしで行うのだ。
当然搭乗員の疲労は非常に大きく、たどり着いた時点で疲れ切って十全な能力を発揮でき撃墜される。あるいは航法をミスして、会敵できず引き返す、機位を見失って不時着することも考えられる。
「出来る限り、敵艦隊に近づいて攻撃を行う。その方が反復攻撃をしやすい」
だが、もし敵から一時間の距離にあれば、発進と収容の時間を含めても八時間の間に二回の攻撃ができる。
アウトレンジとは違い、度重なる反復攻撃が可能だ。
以上のことから前任の小沢大将が研究していた戦法に山口は懐疑的だった。
可能であれば行う、程度の考えだった。
「敵艦隊にできる限り近づき、攻撃隊を放つ。それは基本方針だ」
「了解しました」
佐久田は時計を確認した。まもなく二時を過ぎていた。
マリアナまでは一〇〇〇キロ前後あるし敵機動部隊の正確な位置も分からない。
攻撃隊を発進させても、よほど近くない限り着艦は夜間となり収容に手間取るし、着艦作業を照らすライトで敵の攻撃を受ける恐れもある。
今日の攻撃はないと予想を立てたのは常識的に見て妥当だった。
だが、戦争は時に常識のままでよいか、と問いかけてくる。
艦橋に戻った山口は佐久田に今回の海戦の予想される展開について尋ねた。
「米軍は下手を打ちました。我々機動艦隊をたたく前に上陸を始めてしまいました。一航艦さえ叩ききれずにいるのに上陸したのは焦っている証拠です」
「選挙対策か」
「恐らく」
四四年は一〇月にアメリカ大統領選挙がある。
六月中に何かしらの成果を上げたいだろう。
六日にノルマンディーに上陸作戦を行っているが陸上で膠着状態に陥っている。
それにアメリカ国民は、真珠湾でだまし討ちを行った日本に対する反撃を期待している。
拙速でも太平洋方面で成果を上げようとしているのは当然の帰結だった。
「それで我々は何をすればよい」
「マリアナで手いっぱいのアメリカ機動部隊の横っ面を思いきり殴りつけます」
「ふむ、ミッドウェーの時と違って単純でよろしいな」
ミッドウェーの時は飛行場無力化と敵艦隊撃滅の二重の任務を負わされた。
順番に一つずつ片付ける予定だったが敵機動部隊が現れたため同時に相手することになった。
だが今度はアメリカが複数の任務を同時に行う状況に陥っている。
そこに乱入できるのは願ってもない好機だった。
「しかし、問題があります」
「何だ?」
「アメリカは任務部隊編成、空母三~四隻ごとの任務群に分かれています。各空母群が個別に対応できるようになっています」
戦力は集中配置すれば、最大の攻撃力を得られる。
しかし密集しすぎるとぎゅうぎゅう詰めの路面電車の車内のように動きがとりにくい。
そこで適当な数、一人の指揮官が指揮しやすい数の艦艇数の部隊を多数作る任務群を米軍は採用している。
任務群同士の連携にやや難があるが、指揮しやすく、分散されているため一挙に空母が失われる可能性を少なくしている。
また艦載機の数が多く、任務群一つで二五〇機ほどの機体を搭載しているため、多様な任務をこなすことが出来る。
「我々も似たようなものだろう」
しかし、帝国海軍も空母の数が増強されるにつれて単一の艦隊での空母複数運用に支障を感じるようになり、米軍の編成の利点を認め空母を三隻ごとに分ける部隊制に移行している。
現在の第一機動艦隊は、指揮下にある第二艦隊、第三艦隊を纏めた上で、さらにその下に第一から第五までの各部隊が編成され、それぞれ独立して運用されている。
大雑把に栗田中将率いる第二艦隊は第一部隊と第五部隊が前衛として配属され、角田中将率いる第三艦隊が残りの部隊を率いて後衛を形成している。
ただし第一機動艦隊司令長官である山口が第一部隊の指揮を執っており、前衛から全体指揮を行っている。
敵と接触する前衛で情報を得つつ後方へ指示を送り、航空戦を行う。
後衛部隊である第二部隊、第三部隊、第四部隊は安全な距離から攻撃機を放ちつつ、攻撃する。
敵の攻撃に対しては前衛が受け止める壁となり、敵艦隊攻撃に出た味方攻撃隊を収容する出城となる。
そして好機――追撃戦の機会があれば前衛の艦艇を空母とその護衛を除き、第二艦隊へ編入し敵艦隊へ突撃させるのが作戦案だ。
「空母を分散させることにより安全が図れます」
そして各部隊に分かれることで他の空母の安全が図れる。
一つの袋に卵を全て纏めれば管理は簡単だが袋を盗まれれば、全てお終いだ。
しかしいくつかの袋に分ければ一つが盗まれたり腐ったりしても他の袋は無事だ。
そのような考えから複数部隊制による空母分散配置を第一機動艦隊は採用している。
「それは敵と同じです。敵も一つの任務群が壊滅しても他の任務群が無事であるなら作戦は可能です」
全力で一つの任務群をつぶしても他の任務群が無事だと反撃を受ける。
敵を一網打尽に出来ないのは残念だ。
「敵の全ての任務群への攻撃は不可能か?」
「敵の防空能力は侮れません。全力で一つの任務群を潰せるかどうか。分散させれば攻撃力は下がり、全ての任務群への攻撃に失敗するという事態に陥りかねません」
佐久田が作戦立案時から頭を悩ませていたのはそこだった。
敵エセックス航空母艦を沈めるには最低限四本の魚雷を命中させる必要がある。
ひいき目に見て我が方の雷撃隊の命中率は二割で最上だ。
最低でも二〇機の攻撃機で敵の空母を襲わなければ撃沈は難しい。
空母一隻から出せる攻撃隊は一隻当たり合計三六機の攻撃隊を編成できる。
一部隊当たり配属された空母三隻から一〇八機が発艦可能。
戦艦部隊である第五部隊を除いた四部隊合計五四〇機の攻撃隊を放てる。
雷撃機の数だけで全艦載機の三分の一にあたる一八〇機、一撃でエセックス級を九隻沈められる計算だが、米機動部隊の護衛戦闘機による防空力を前に二割ほど落とされ、敵艦隊の対空砲火でさらに二割撃墜されると考えられていた。
そのため第一機動艦隊が沈めることのできる空母の数は六隻。確実なのはせいぜい三隻だろう。
第二波でさらに三隻から六隻、追加できれば上等だ。
二回の攻撃で二つの空母任務群、それぞれの空母を合計六隻沈めることが限界だと佐久田は考えていた。
二派の攻撃隊を再建して、もう一度攻撃隊を送れるかどうか疑問だ。
打撃の中核である攻撃機を四割撃墜され、更に同数が損傷で戦列から離れるため、再出撃可能な機体は出撃した二割のみ。
二波の生き残りを纏めても半分以下の打撃力しかない。一応補充の手当、二直制により後方で待機訓練中の航空隊を呼び寄せる方法があるが戦場にたどり着けるかどうかはは保証できない。
それに敵も無策ではなく攻撃隊を機動部隊に出してくるだろう。
防空力に不安のある第一機動艦隊が防げるか疑問だ。
こちらの空母が撃破され、発艦能力がなくなれば、攻撃隊の規模は縮小される。
損耗は後方の航空隊から補充することは可能だが、プラットフォームである空母がなければ発艦どころか収容もできない。
「敵の攻撃を受けずに味方が攻撃できるかにかかています」
「だが、遠距離では到達できるか怪しいぞ」
「その通りです」
アウトレンジ戦法――米軍艦載機に比べ長距離を飛べる日本軍機の特徴を生かし、敵が届かない距離を維持して一方的に攻撃を行う戦法だ。
一見有利に見えるが、遠距離飛行のため攻撃隊は長時間の飛行を強いられる。
一般に搭乗員が最高の集中力を発揮できるのは発進後三十分、長くて一時間程度だ。
想定されるアウトレンジは七〇〇キロ、攻撃隊の速力は二五〇キロだから片道で三時間の飛行となる。
後の時代で例えれば、高速道路を制限速度で車列を形成しつつ三時間ノンストップで走らせたままサーキットに入り、十五分ほど最高速度でコースを走り回り、また三時間かけて戻っていくようなものだ。
勿論休憩はない。
それを自動操縦装置なしに一人のパイロットが休みなしで行うのだ。
当然搭乗員の疲労は非常に大きく、たどり着いた時点で疲れ切って十全な能力を発揮でき撃墜される。あるいは航法をミスして、会敵できず引き返す、機位を見失って不時着することも考えられる。
「出来る限り、敵艦隊に近づいて攻撃を行う。その方が反復攻撃をしやすい」
だが、もし敵から一時間の距離にあれば、発進と収容の時間を含めても八時間の間に二回の攻撃ができる。
アウトレンジとは違い、度重なる反復攻撃が可能だ。
以上のことから前任の小沢大将が研究していた戦法に山口は懐疑的だった。
可能であれば行う、程度の考えだった。
「敵艦隊にできる限り近づき、攻撃隊を放つ。それは基本方針だ」
「了解しました」
佐久田は時計を確認した。まもなく二時を過ぎていた。
マリアナまでは一〇〇〇キロ前後あるし敵機動部隊の正確な位置も分からない。
攻撃隊を発進させても、よほど近くない限り着艦は夜間となり収容に手間取るし、着艦作業を照らすライトで敵の攻撃を受ける恐れもある。
今日の攻撃はないと予想を立てたのは常識的に見て妥当だった。
だが、戦争は時に常識のままでよいか、と問いかけてくる。
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