62 / 83
米海軍増強
しおりを挟む
「海軍増強のために空母建造の一層の促進と海軍戦力の充実を図る。建造中のエセックス級の建造を促進、ミッドウェー級の建造を促進させろ」
戦力が増強されることにキングは喜んだ。
エセックス級はこれまでの発注分、戦前と開戦後の追加発注を含めて三二隻の建造が決まっている。
損失した空母の補充は十分に賄える。
そしてミッドウェー級空母。
条約失効後の大型空母として計画され戦前より発注されていた。
防御力を高めるために飛行甲板に装甲が貼られている期待の装甲空母だ。
搭載機数も一五〇機と多く、対日戦の重要な切り札になる。
「空母戦力が足りないだろうサイパン級の建造を急がせろ」
サイパン級はボルチモア級重巡洋艦の船体を流用して建造されつつある軽空母だ。
開戦直前、空母の戦力が少ないことを憂いたルーズベルトがクリーブランド級軽巡洋艦の船体を流用してインディペンデンス級軽空母を建造しようとアイディアを出した。
当初は小型の船体故に搭載機が五〇機しかなく戦力として疑問視する声もあった。
だが、開戦直後、空母が足りず試しに設計図を引いてみると、上手くいきそうなことが分かった。
直ちに建造中のクリーブランド級軽巡洋艦の船体を使って改装が開始され、インディペンデンス級軽空母は短期間で就役。四三年中に九隻全てが就役する。
足りない艦隊型空母の穴を埋め四三年からの太平洋での空母機動作戦の重要な戦力となり、反攻直後の苦しい時期を支えた、正に間に合った兵器である。
この成果を生かしてクリーブランド級より更に大きなボルチモア級重巡洋艦の船体を流用して建造されつつあるのがサイパン級だった。
日本軍の反撃が強く、空母の喪失が多いためピンチヒッターとして計画、建造されている。
戦闘が続いている島の名前を急遽付けたのは、戦局が有利である事を国民に与える印象操作のためだった。
ミッドウェー級も同じような理由で名付けられた。
「さらに戦艦もアイオワ級とモンタナ級の建造を急がせるんだ」
アイオワ級は戦前から建造が計画されていたが、開戦により空母や支援艦艇の建造が優先され建造が遅れていた。
だが、ソロモンでの消耗戦でノースカロライナとサウスダコタ、ワシントンの喪失の補充。
、三三ノットの高速を生かしての空母機動部隊の護衛、充実した通信設備による旗艦としての活用が艦隊側から評価され、建造が再開された。
モンタナ級も空母を重視したルーズベルトによって一時は建造中止が決定したが、日本軍の攻撃と、ソロモンでの夜戦で戦艦二隻が失われ、マリアナでも日本軍の攻撃により戦艦を失っている。
これ以上の喪失は合衆国国民の士気に影響すると考え、日本軍を圧倒する戦艦を送り込む必要があると建造を再開させた。
中断の影響もあり、工事は遅れているが来年の春頃には就役出来るよう急がせた。
「分かりました」
キングは喜んで了解した。
作戦方針は不満だが、新たな戦力が送られてくるのは嬉しい。
戦局の推移に応じて作戦を修正する事が出来るはずだ。
「だが彼らは、大西洋の戦いを終わらせてから太平洋へ回せ。ヨーロッパへの補給線を確保するため大西洋の安全は確保しなければならない。大西洋からドイツ海軍を叩き出すんだ」
「ですがそれではフィリピンには間に合いません」
大西洋の戦いに投入されては太平洋への転用時期が遅れることになる。
確かに、冬季は荒れやすい大西洋での作戦行動は夏季である今が一番良く成功の可能性が高い。
だが、フィリピンに間に合わない。
「夏季の間に大西洋からドイツ軍を撃退し、冬季の訪れと共に太平洋へ移動させては?」
海の荒れる冬季だと活動出来ず遊兵――活用出来ていない有力な兵力になってしまう。
舟生になってからフィリピンを攻略した方が、余裕を持って攻撃出来るとキングは考えていた。
「それではフィリピンが十月に落とせない。攻略日程は変更しない。これは大統領命令だ」
「……了解しました」
選挙日程もありルーズベルトはキングに強く言い聞かせた。
キングも反対しても撤回されないと判断し、受け入れる事となった。
こうしてアメリカは不利な状況でフィリピン攻略作戦へ舵を切ることになる。
戦力が増強されることにキングは喜んだ。
エセックス級はこれまでの発注分、戦前と開戦後の追加発注を含めて三二隻の建造が決まっている。
損失した空母の補充は十分に賄える。
そしてミッドウェー級空母。
条約失効後の大型空母として計画され戦前より発注されていた。
防御力を高めるために飛行甲板に装甲が貼られている期待の装甲空母だ。
搭載機数も一五〇機と多く、対日戦の重要な切り札になる。
「空母戦力が足りないだろうサイパン級の建造を急がせろ」
サイパン級はボルチモア級重巡洋艦の船体を流用して建造されつつある軽空母だ。
開戦直前、空母の戦力が少ないことを憂いたルーズベルトがクリーブランド級軽巡洋艦の船体を流用してインディペンデンス級軽空母を建造しようとアイディアを出した。
当初は小型の船体故に搭載機が五〇機しかなく戦力として疑問視する声もあった。
だが、開戦直後、空母が足りず試しに設計図を引いてみると、上手くいきそうなことが分かった。
直ちに建造中のクリーブランド級軽巡洋艦の船体を使って改装が開始され、インディペンデンス級軽空母は短期間で就役。四三年中に九隻全てが就役する。
足りない艦隊型空母の穴を埋め四三年からの太平洋での空母機動作戦の重要な戦力となり、反攻直後の苦しい時期を支えた、正に間に合った兵器である。
この成果を生かしてクリーブランド級より更に大きなボルチモア級重巡洋艦の船体を流用して建造されつつあるのがサイパン級だった。
日本軍の反撃が強く、空母の喪失が多いためピンチヒッターとして計画、建造されている。
戦闘が続いている島の名前を急遽付けたのは、戦局が有利である事を国民に与える印象操作のためだった。
ミッドウェー級も同じような理由で名付けられた。
「さらに戦艦もアイオワ級とモンタナ級の建造を急がせるんだ」
アイオワ級は戦前から建造が計画されていたが、開戦により空母や支援艦艇の建造が優先され建造が遅れていた。
だが、ソロモンでの消耗戦でノースカロライナとサウスダコタ、ワシントンの喪失の補充。
、三三ノットの高速を生かしての空母機動部隊の護衛、充実した通信設備による旗艦としての活用が艦隊側から評価され、建造が再開された。
モンタナ級も空母を重視したルーズベルトによって一時は建造中止が決定したが、日本軍の攻撃と、ソロモンでの夜戦で戦艦二隻が失われ、マリアナでも日本軍の攻撃により戦艦を失っている。
これ以上の喪失は合衆国国民の士気に影響すると考え、日本軍を圧倒する戦艦を送り込む必要があると建造を再開させた。
中断の影響もあり、工事は遅れているが来年の春頃には就役出来るよう急がせた。
「分かりました」
キングは喜んで了解した。
作戦方針は不満だが、新たな戦力が送られてくるのは嬉しい。
戦局の推移に応じて作戦を修正する事が出来るはずだ。
「だが彼らは、大西洋の戦いを終わらせてから太平洋へ回せ。ヨーロッパへの補給線を確保するため大西洋の安全は確保しなければならない。大西洋からドイツ海軍を叩き出すんだ」
「ですがそれではフィリピンには間に合いません」
大西洋の戦いに投入されては太平洋への転用時期が遅れることになる。
確かに、冬季は荒れやすい大西洋での作戦行動は夏季である今が一番良く成功の可能性が高い。
だが、フィリピンに間に合わない。
「夏季の間に大西洋からドイツ軍を撃退し、冬季の訪れと共に太平洋へ移動させては?」
海の荒れる冬季だと活動出来ず遊兵――活用出来ていない有力な兵力になってしまう。
舟生になってからフィリピンを攻略した方が、余裕を持って攻撃出来るとキングは考えていた。
「それではフィリピンが十月に落とせない。攻略日程は変更しない。これは大統領命令だ」
「……了解しました」
選挙日程もありルーズベルトはキングに強く言い聞かせた。
キングも反対しても撤回されないと判断し、受け入れる事となった。
こうしてアメリカは不利な状況でフィリピン攻略作戦へ舵を切ることになる。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記
糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。
それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。
かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。
ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。
※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…そして終戦工作 分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦
そしてそこから繋がる新たな近代史へ
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる