架空戦記 旭日旗の元に

葉山宗次郎

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米海軍増強

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「海軍増強のために空母建造の一層の促進と海軍戦力の充実を図る。建造中のエセックス級の建造を促進、ミッドウェー級の建造を促進させろ」

 戦力が増強されることにキングは喜んだ。
 エセックス級はこれまでの発注分、戦前と開戦後の追加発注を含めて三二隻の建造が決まっている。
 損失した空母の補充は十分に賄える。
 そしてミッドウェー級空母。
 条約失効後の大型空母として計画され戦前より発注されていた。
 防御力を高めるために飛行甲板に装甲が貼られている期待の装甲空母だ。
 搭載機数も一五〇機と多く、対日戦の重要な切り札になる。

「空母戦力が足りないだろうサイパン級の建造を急がせろ」

 サイパン級はボルチモア級重巡洋艦の船体を流用して建造されつつある軽空母だ。
 開戦直前、空母の戦力が少ないことを憂いたルーズベルトがクリーブランド級軽巡洋艦の船体を流用してインディペンデンス級軽空母を建造しようとアイディアを出した。
 当初は小型の船体故に搭載機が五〇機しかなく戦力として疑問視する声もあった。
 だが、開戦直後、空母が足りず試しに設計図を引いてみると、上手くいきそうなことが分かった。
 直ちに建造中のクリーブランド級軽巡洋艦の船体を使って改装が開始され、インディペンデンス級軽空母は短期間で就役。四三年中に九隻全てが就役する。
 足りない艦隊型空母の穴を埋め四三年からの太平洋での空母機動作戦の重要な戦力となり、反攻直後の苦しい時期を支えた、正に間に合った兵器である。
 この成果を生かしてクリーブランド級より更に大きなボルチモア級重巡洋艦の船体を流用して建造されつつあるのがサイパン級だった。
 日本軍の反撃が強く、空母の喪失が多いためピンチヒッターとして計画、建造されている。
 戦闘が続いている島の名前を急遽付けたのは、戦局が有利である事を国民に与える印象操作のためだった。
 ミッドウェー級も同じような理由で名付けられた。

「さらに戦艦もアイオワ級とモンタナ級の建造を急がせるんだ」

 アイオワ級は戦前から建造が計画されていたが、開戦により空母や支援艦艇の建造が優先され建造が遅れていた。
 だが、ソロモンでの消耗戦でノースカロライナとサウスダコタ、ワシントンの喪失の補充。
 、三三ノットの高速を生かしての空母機動部隊の護衛、充実した通信設備による旗艦としての活用が艦隊側から評価され、建造が再開された。
 モンタナ級も空母を重視したルーズベルトによって一時は建造中止が決定したが、日本軍の攻撃と、ソロモンでの夜戦で戦艦二隻が失われ、マリアナでも日本軍の攻撃により戦艦を失っている。
 これ以上の喪失は合衆国国民の士気に影響すると考え、日本軍を圧倒する戦艦を送り込む必要があると建造を再開させた。
 中断の影響もあり、工事は遅れているが来年の春頃には就役出来るよう急がせた。

「分かりました」

 キングは喜んで了解した。
 作戦方針は不満だが、新たな戦力が送られてくるのは嬉しい。
 戦局の推移に応じて作戦を修正する事が出来るはずだ。

「だが彼らは、大西洋の戦いを終わらせてから太平洋へ回せ。ヨーロッパへの補給線を確保するため大西洋の安全は確保しなければならない。大西洋からドイツ海軍を叩き出すんだ」
「ですがそれではフィリピンには間に合いません」

 大西洋の戦いに投入されては太平洋への転用時期が遅れることになる。
 確かに、冬季は荒れやすい大西洋での作戦行動は夏季である今が一番良く成功の可能性が高い。
 だが、フィリピンに間に合わない。

「夏季の間に大西洋からドイツ軍を撃退し、冬季の訪れと共に太平洋へ移動させては?」

 海の荒れる冬季だと活動出来ず遊兵――活用出来ていない有力な兵力になってしまう。
 舟生になってからフィリピンを攻略した方が、余裕を持って攻撃出来るとキングは考えていた。

「それではフィリピンが十月に落とせない。攻略日程は変更しない。これは大統領命令だ」
「……了解しました」

 選挙日程もありルーズベルトはキングに強く言い聞かせた。
 キングも反対しても撤回されないと判断し、受け入れる事となった。
 こうしてアメリカは不利な状況でフィリピン攻略作戦へ舵を切ることになる。
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