入れ替わりのモニター

廣瀬純七

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拓也の苦労

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仕事を終え、沙織(拓也)はようやく自宅に帰ってきた。  

リビングに入ると、拓也の体の沙織がソファに寝転びながらスマホをいじっている。  

「おかえり~! どうだった? 今日の保育園の仕事は?」  

「はぁ……疲れた……」  

沙織(拓也)は、ドサッとソファに倒れ込んだ。  

「おっ、なんかすごい疲れてるわね? もしかしてまた子どもたちに手こずった?」  

「お前な……あいつら想像以上に体力あるぞ……特に**ユウキ**ってガキ!! あいつヤバい!!」  

「ユウキくん? どんな子?」  

「あいつは沙織先生のおっぱいはママよりも小さいね!て言って俺の胸を触って来るし」

「もう、とにかく走る走る! 俺が追いかけても全然捕まえられないし、注意しても全然聞かねぇし、ほんとにやんちゃすぎる!!」  

沙織(拓也)はソファに寝転びながら、グッタリした様子で天井を見上げた。  

「……で、結局どうやって捕まえたの?」  

「……心理戦で」  

「おお、すごいじゃん! どんな作戦?」  

「“先生は怒ると話をしなくなる”って言って、フイッて背を向けたら『やだぁぁ!!』って飛びついてきた」  

「ははっ! ちょろいじゃない!」  

「ちょろくねぇよ!! ここまで持っていくのがどれだけ大変だったか……!!」  

沙織(拓也)はソファのクッションをバンバン叩きながら叫ぶ。  

「はぁ……今までお前の仕事、甘く見てたわ……。子どもと遊んでるだけで楽しいんじゃね? くらいに思ってたけど……。とんでもねぇな……」  

拓也(沙織)はニヤニヤしながら言った。  

「でしょ~? 私がいつも『疲れた』って言ってる意味が分かった?」  

「……分かった……。お前、毎日こんなに体力使ってたのかよ……マジで尊敬するわ……」  

「ふふん、もっと褒めてもいいのよ?」  

「くそぉ、なんかムカつく!!」  

沙織(拓也)はふてくされながら、再びソファに倒れ込んだ。  

「ま、俺も毎日大変だけど、お前は俺の仕事を少しは慣れたか?」  

「うっ……」  

拓也(沙織)の顔が一瞬引きつる。  

「明日も頼むからな! 俺の代わりにしっかり頑張れよ!!」  

「……はぁ、システムエンジニアの仕事も結構大変だし、どっちが大変かって言われたら正直いい勝負かも……」  

「ははは! じゃあ、どっちが先に音を上げるか勝負だな!」  

「……負けないよ!」  

お互いにニヤリと笑い合いながら、二人はそれぞれの仕事の大変さを改めて実感するのだった。  

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