入れ替わりのモニター

廣瀬純七

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早朝の電話

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――**翌朝 5:30**  

プルルルル(着信音)  

「……んん……」  

拓也の体の沙織は、枕に顔をうずめたまま、目を覚まそうとしない。  

プルルルル(着信音)  

「うるさいなぁ……こんな朝早く……」  

無意識のままスマホを手探りで取り、画面を見ると拓也の会社の『ITR』の文字。  

「……え?」  

一気に目が覚めた。  

「ま、待って、会社から!? なんでこんな時間に……!?」  

慌ててスマホを耳に当てる。  

「も、もしもし!?」  

📞「佐藤くん!? 大変だ、**システムが落ちた!** すぐに来てくれ!!」  

「……え?」  

📞「今朝の更新作業でエラーが出て、サーバーが動かなくなった! 何とかリカバリーしないと、クライアントに影響が……!!」  

「ちょっ……待って……」  

ようやく脳が完全に目覚める。  

システムが落ちた? リカバリー? クライアントに影響?  

これ、ヤバいやつじゃん!!!  

「……すぐ行きます!!!」  

📞「頼んだぞ!!」  

電話を切るなり、拓也(沙織)は一瞬固まった。  

(ちょっと待て、私、昨日拓也に基礎しか教わってない!! こんなトラブル対応とか、全然分からないんだけど!?)  

「……どうしよう……」  

しかし、悩んでる時間はない。  

「と、とりあえず拓也を起こさなきゃ!!」  

寝ている沙織の体の拓也を激しく揺さぶる。  

「おい!! 拓也!!! 起きて!! 会社のシステムが落ちたよ!!!」  

「……んん……? ふあぁ……なに?」  

「いいから!! どうすればいいの!? システムが落ちたって会社から電話が!!」  

「……システム……? え、マジで!?」  

沙織(拓也)は一瞬で目が覚めた。  

「やばっ!! それ、すぐに対応しないと!!!」  

「だからそれをどうすればいいのか教えてよ!!」  

「とりあえず急いで会社行け!! 俺はスマホで指示するから!!」  

「わ、わかった!!」  

「大丈夫!! 俺がついてる!! **お前ならできる!!**」  

「……!」  

拓也(沙織)は一瞬不安を感じたが、沙織(拓也)の言葉を聞いて少しだけ安心した。  

「……よし!! 私、行ってくるわ!!!」  

急いでスーツに着替え、慣れないネクタイを必死で締めながら、拓也(沙織)は会社へと向かった。  

——
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