入れ替わりのモニター

システムトラブル

拓也の体の沙織は、慣れない革靴でバタバタと走りながら会社に向かった。  

「うわっ……この靴、走りづらい……」  

ネクタイもきついし、スーツも窮屈。自分の体じゃないから余計に動きづらい。  

（……って、それどころじゃない！！）  

システムが落ちたって、かなりヤバい状況なんじゃ……？ **私、本当に対応できるの！？**  

不安が募る中、会社のビルに到着し、慌ててオフィスのドアを開けると――  

「おい、拓也！ よく来た！！！」  

「ど、どうなってるんですか！？」  

「今朝の定期メンテナンスで更新データを適用したら、サーバーが応答しなくなったんだ！」  

「そ、そんなぁ……！」  

エンジニアたちがモニターの前で慌ただしく動き回っている。  

「復旧できるか？ すぐに原因を調べないと！」  

（ちょっと待って、これ私に聞かれても困る！！）  

すると、ポケットの中のスマホが震えた。  

📱 **拓也（沙織の体）からのLINE**  

📩「落ち着け！ まずはサーバーログを確認しろ」  

（た、拓也！！）  

📩「ターミナル開いて『sudo tail -f /var/log/syslog』って入力」  

「えっと、ターミナルを開いて……」  

拓也の指示通りにコマンドを打ち込む。すると、画面にズラズラとログが流れ出した。  

（わ、私でもできた……！）  

📩「エラーコード探して報告して」  

「エ、エラーコードは……これです！」  

「おっ、それか！ やっぱり更新ファイルの互換性の問題か……」  

上司がパソコンに向かいながら頷く。  

📩「次に『service apache2 restart』」  

「えっと……これで……！」  

すると、画面に新しいログが流れ、サーバーが再起動を始めた。  

「おお！ サーバーが戻ったぞ！！」  

「マジか、拓也すごい！」  

「よっしゃぁ！！！」  

オフィスに安堵の空気が広がる。  

（私がやったわけじゃないけど……）  

沙織（拓也の体）は、心の中で拓也に感謝しながらスマホを見た。  

📩「やったな！ 俺たち最強じゃね？」  

📩「……でもこれで終わりじゃない。午後にシステムチェックがあるから、それまでに詳細な調査しとけよ！」  

（はぁ……まだ続くのね……）  

沙織はぐったりしながら、もう一度パソコンに向かった。