男女入れ替わり研修

廣瀬純七

文字の大きさ
7 / 8

性別を交換する研修がある会社

しおりを挟む
ある企業には、ユニークな新人研修がある。その名も「入れ替わり研修」。この研修は新入社員が一年間、互いに性別を超えて体を入れ替えるというものだ。これは会社の創業者が提案したもので、当初は冗談のように聞こえたが、今や会社の伝統的なプログラムとして定着している。

**会社の理念と研修の意図**

この会社は、「真の相互理解と信頼が最高のチームを作る」という理念を掲げている。そこで、体を入れ替える研修は、お互いの立場や感じ方、日常生活の違いを深く理解することを目的としている。男女の感覚の違いや職場での経験を通じて、新入社員は多様な視点を持つことで、社内のコミュニケーション能力を飛躍的に向上させることが期待されている。

**研修の進行**

研修が始まると、新入社員たちは特別な技術を使って、ランダムに異性の同僚と体を入れ替える。最初の数日間は、全員が戸惑いと混乱に包まれる。自分の体が異性のものとなり、普段とは異なる視点で世界を見つめることになるからだ。

男性新入社員は、女性の体を通じて社会が女性に求める期待や、日々の生活の中で直面するさまざまな挑戦に直面する。一方、女性新入社員は、男性の体を持ちながら、男性特有の役割や責任を体感する。これによって、性別による思い込みやステレオタイプが解消されることを目指している。

**共感と絆の強化**

研修が進むにつれ、次第に新入社員同士の間で強い共感と理解が生まれていく。最初は戸惑いや違和感があったものの、時間が経つにつれて、互いの考えや感情に寄り添い、自然とチームワークが生まれていく。自分自身の体験に基づくリアルな理解が、彼らの間の絆を一層強固なものにしていく。

ある日、新入社員の一人である佐藤は、女性として過ごす日々の中で、異性である上司との会話や職場での役割がどれほど異なるのかに驚く。彼女(佐藤の新しい身体)を通じて、彼が今まで理解できなかった複雑な感情や挑戦に気づく。同じように、彼の体を借りた女性新入社員も、男性として過ごす日常のプレッシャーや期待を実感する。

**社内結婚の不思議な傾向**

この研修を終えると、多くの社員は互いに強い絆を感じるようになる。それは単なる仕事上の信頼だけではなく、より深いレベルでの相互理解が伴う。この体験を通じて、新入社員たちは相手のことを心の底から理解し、尊重するようになる。

その結果、驚くべきことに、この会社では社内結婚の成功率が100%なのだ。入社後数年以内に、すべての社員が結婚している。これは、入れ替わり研修によってお互いを深く理解し、支え合える関係が自然と生まれるためである。結婚後も、研修で得た経験が大きな財産となり、夫婦としての絆が強く、協力し合う関係を築ける。

**エピローグ**

その会社で働く人々は、皆が互いに理解し合い、共感し合うことの大切さを知っている。その特別な研修を通じて、ただの職場での仲間ではなく、家族のような存在へと成長する。そして、彼らが築く家庭も、まさにその延長線上にある。

新入社員たちは最初は奇妙に思えた体験を、今では一生の宝物として捉えている。「入れ替わり研修」を経た彼らは、仕事においても家庭においても、真に信頼できるパートナーとして成功を収めていくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

ボディチェンジウォッチ

廣瀬純七
SF
体を交換できる腕時計で体を交換する男女の話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

リアルフェイスマスク

廣瀬純七
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

リボーン&リライフ

廣瀬純七
SF
性別を変えて過去に戻って人生をやり直す男の話

リアルメイドドール

廣瀬純七
SF
リアルなメイドドールが届いた西山健太の不思議な共同生活の話

処理中です...