とある会社の秘密の研修

廣瀬純七

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先輩の気遣い

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研修が始まってからちょうど三週間。  

バーチャルの世界で「結衣」として過ごすことに慣れてきた健一だったが、今朝はどうにも調子が出ない。  

**(やっぱり生理のせいか……。)**  

朝から続く鈍い下腹部の痛みと、どこか重たい身体のだるさ。  

さらに、ナプキンをつけている違和感がどうしても気になり、座っていても落ち着かない。  

**(女性はこれを毎月経験してるのか……すごいな……。)**  

ぼんやりとそんなことを考えながら、今日の研修を進めていた。  

◆◆◆  

昼過ぎ、資料整理をしていると、ふと高橋先輩が声をかけてきた。  

「中村さん、今日は体調が良くないの?」  

「えっ……?」  

思わず顔を上げると、高橋先輩は心配そうな顔をしていた。  

「なんか、いつもより元気がない気がするけど。」  

「……あ、えっと……。」  

どう答えるべきか、一瞬迷う。  

男性だった頃は、**「生理で体調が悪い」なんて話を直接聞く機会も少なかった**し、それを誰かに打ち明けるなんて考えたこともなかった。  

でも、今の自分は「結衣」だ。  

この世界では、**「女性として生きる」ことが求められている。**  

だから——  

「ちょっと、お腹が痛くて……。」  

小さな声で、正直にそう伝えた。  

すると、高橋先輩は「ああ、なるほど」と軽く頷き、優しい笑みを浮かべた。  

「そっか。無理しないで、しんどかったら休憩していいからな。」  

その言葉に、驚いた。  

**(……え、そんなにあっさり受け入れられるものなの?)**  

健一が男性だった頃、もし女性社員が「生理で辛い」と言っていたら、何と返せばいいのかわからなかっただろう。  

でも高橋先輩は、特に気負うこともなく、自然に受け止めてくれた。  

**(こういう気遣いができるのって、やっぱりすごい……。)**  

「ありがとうございます……。」  

小さくそう返しながら、結衣は少しだけ心が軽くなった気がした。
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