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デートのお誘い
しおりを挟む研修が始まってから二週間が過ぎ、結衣の体調もようやく落ち着いてきた。
生理による不調も消え、すっきりとした気分で週末を迎えた朝——
スマホに一通のメッセージが届いた。
**📩 [木村健一]
「中村さん、体調はもう大丈夫? よかったら週末、一緒に出かけない?」**
「……え?」
思わずスマホを持つ手が止まる。
バーチャルの世界の「木村健一」からのお誘い。
「デート……ってこと?」
独り言のように呟くと、ちょうど部屋のドアがノックされた。
「結衣ちゃん、おはよう!」
玲奈先輩だった。
「おはようございます。」
「今日は体調どう? もう元気になった?」
「はい、おかげさまで。すっかり良くなりました。」
そう答えながら、スマホを見つめる結衣。
その様子に気づいた玲奈先輩が、にやっと微笑んだ。
「なになに? もしかして、誰かと連絡取ってた?」
「え、あの……実は……。」
結衣は、スマホを玲奈先輩に見せた。
「ほうほう、木村健一くんから……『週末、一緒に出かけない?』……って、えっ!? デートのお誘いじゃないの、これ!」
「やっぱり、そう思います?」
「思うよ! ていうか、何この展開!? 面白くなってきたじゃない!」
玲奈先輩が興奮気味に身を乗り出してくる。
「で? どうするの?」
「えっと……どうしよう……。」
戸惑う結衣。
木村健一——つまり、自分と瓜二つのこの男性は、おそらくAI。
だとしたら、なぜデートに誘ってきたのか?
単なる研修の一環? それとも、何か別の意図があるのか……?
「……まあ、せっかくだし行ってみたら?」
玲奈先輩が肩をポンと叩いた。
「このバーチャルの世界で、女の子としてデートするのも貴重な体験じゃない?」
「……確かに。」
それに、木村君がどんな人物なのか、もっと知ってみたい気もする。
**——もしかしたら、このデートが、この世界の「秘密」を知る鍵になるかもしれない。**
「……行ってみようかな。」
決意を固めると、結衣はスマホの画面を見つめながら、ゆっくりとメッセージを打ち始めた。
**📩 [中村結衣]
「はい、ぜひ。どこに行きますか?」**
結衣は健一に送信した。
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