とある会社の秘密の研修

廣瀬純七

文字の大きさ
34 / 51

デートの約束

しおりを挟む

デートの帰り道、駅へ向かって並んで歩く二人。  

夕焼けが街を染め、バーチャルの世界とは思えないほど美しい風景が広がっていた。  

「今日はありがとう、健一。すごく楽しかったよ。」  

結衣が微笑むと、健一も優しく笑った。  

「俺も楽しかったよ。やっぱり、こうして誰かと一緒に過ごすのっていいよな。」  

「……うん。」  

バーチャルの世界に来たばかりの頃は、こんな風に"デート"をするなんて想像もしていなかった。それが今では、ごく自然なことのように思えてしまう。  

ふと、健一がスマホを取り出しながら言った。  

「ねえ、結衣。次はいつにする?」  

「え?」  

「またデートしようよ。……結衣さえよければ、だけど。」  

少し照れくさそうに言う健一を見て、結衣の胸がドキッとした。  

(また、デート……。)  

迷う理由はなかった。むしろ、次があることが嬉しいとさえ思っている自分に気づく。  

「えっと……来週の土曜日とか、どうかな?」  

「土曜日か、いいね! じゃあ決まり!」  

健一は嬉しそうにスマホに予定を入力した。  

「次はどこに行く?」  

「うーん……水族館とかどうかな? ちょっと落ち着いた雰囲気で、のんびりできそうだし。」  

「いいね、水族館! じゃあ、水族館デート決定!」  

嬉しそうに笑う健一につられて、結衣も自然と笑みを浮かべた。  

「……楽しみだね。」  

「うん、すごく!」  

そう言い合いながら、二人は駅に着き、それぞれの帰る道へと向かった。  

スマホを確認すると、健一からすぐにメッセージが届いていた。  

**「来週、楽しみにしてるよ!」**  

その文字を見て、結衣はそっとスマホを胸に抱えた。  

(……バーチャルなのに、まるで本当の恋愛みたい。)  

どこか不思議な気持ちのまま、結衣は静かに夜の街を歩いて寮へと帰っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ボディチェンジウォッチ

廣瀬純七
SF
体を交換できる腕時計で体を交換する男女の話

未来への転送

廣瀬純七
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...