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デートの約束
しおりを挟むデートの帰り道、駅へ向かって並んで歩く二人。
夕焼けが街を染め、バーチャルの世界とは思えないほど美しい風景が広がっていた。
「今日はありがとう、健一。すごく楽しかったよ。」
結衣が微笑むと、健一も優しく笑った。
「俺も楽しかったよ。やっぱり、こうして誰かと一緒に過ごすのっていいよな。」
「……うん。」
バーチャルの世界に来たばかりの頃は、こんな風に"デート"をするなんて想像もしていなかった。それが今では、ごく自然なことのように思えてしまう。
ふと、健一がスマホを取り出しながら言った。
「ねえ、結衣。次はいつにする?」
「え?」
「またデートしようよ。……結衣さえよければ、だけど。」
少し照れくさそうに言う健一を見て、結衣の胸がドキッとした。
(また、デート……。)
迷う理由はなかった。むしろ、次があることが嬉しいとさえ思っている自分に気づく。
「えっと……来週の土曜日とか、どうかな?」
「土曜日か、いいね! じゃあ決まり!」
健一は嬉しそうにスマホに予定を入力した。
「次はどこに行く?」
「うーん……水族館とかどうかな? ちょっと落ち着いた雰囲気で、のんびりできそうだし。」
「いいね、水族館! じゃあ、水族館デート決定!」
嬉しそうに笑う健一につられて、結衣も自然と笑みを浮かべた。
「……楽しみだね。」
「うん、すごく!」
そう言い合いながら、二人は駅に着き、それぞれの帰る道へと向かった。
スマホを確認すると、健一からすぐにメッセージが届いていた。
**「来週、楽しみにしてるよ!」**
その文字を見て、結衣はそっとスマホを胸に抱えた。
(……バーチャルなのに、まるで本当の恋愛みたい。)
どこか不思議な気持ちのまま、結衣は静かに夜の街を歩いて寮へと帰っていった。
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