タイムトラベルノート

もう一度、高校生

優菜はノートを見つめながら決意した。  
「高校生の頃に戻って、もう一度夏美とちゃんと向き合ってみたい。」  

幼馴染の夏美とは、小学校の頃までは毎日一緒に遊んでいた。だが、中学に上がる頃から少しずつ距離ができ、いつしかただのクラスメートのような関係になってしまった。優人として過ごしていた当時、夏美が何を考えていたのかを知ることはなかった。しかし、今なら――女性として接すれば、違う関係を築けるのではないかと思った。

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> 「2018――高校生・斎藤優菜として」  

光が消えたとき、優菜は見覚えのある高校の校舎に立っていた。校門を抜け、教室に入ると、懐かしい顔ぶれが広がっている。そして、教室の一角には夏美がいた。彼女は昔と同じ、元気で活発な笑顔を浮かべている。

「ねえ、君……転校生？」  

夏美がこちらに歩み寄り、気さくに声をかけてきた。優菜は少し戸惑いながらも笑顔を返した。  
「うん、そう。斎藤優菜って言うんだ。よろしくね。」  

夏美は不思議そうに顔を覗き込んで言った。  
「なんか、不思議な感じ。どこかで会ったことある気がするんだけど……まあいいや！よろしく優菜！」  

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### 「夏美との再会」

それから数日、優菜は高校生活に馴染むと同時に、自然と夏美と行動を共にするようになった。夏美は昔と変わらず人懐っこく、誰にでも親切で明るい。だが、一緒に過ごすうちに、ふとした瞬間に彼女が寂しげな表情をすることに気づいた。

ある放課後、二人は学校帰りに寄り道をして、川沿いのベンチでジュースを飲んでいた。夏美はふと空を見上げながら言った。  
「ねえ、優菜。幼馴染ってさ、どんな感じ？」  

優菜はドキリとした。夏美が自分――斎藤優人のことを思い出しているのではないかと思ったからだ。  
「どうしてそんなこと聞くの？」と優菜が尋ねると、夏美は少し困ったように笑った。  
「うーん……。実は私、小さい頃の幼馴染と最近全然話してないんだ。昔はすごく仲良かったのにさ、なんか自然に疎遠になっちゃって。」  

優菜は胸が締めつけられるような思いがした。幼馴染の夏美が、そんな風に感じていたなんて思いもしなかった。

「でもさ、もし今会えたら、もう一度仲良くなれる気がするんだよね。あの頃みたいにさ。」  
夏美はそう言って笑った。その笑顔に、優菜は決意を固めた。今度こそ、夏美と本当の意味で向き合おうと。

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### 「友情の始まり」

翌日、夏美と二人で部活の準備をしていたとき、優菜は思い切って言った。  
「夏美って、本当は寂しがり屋なんじゃない？」  

夏美は驚いた顔をして振り向いたが、すぐに照れくさそうに笑った。  
「優菜って鋭いね……。まあ、たしかにそうかも。昔はずっと誰かと一緒にいたかったけど、最近はそうでもなくなったかな。」  

優菜は夏美の言葉に頷いた。  
「私も、昔の自分にそういうところがあったよ。でも、だからこそ今はもっと素直になろうって思うの。」  

夏美は少し考え込むようにしてから、にっこりと笑った。  
「そっか。優菜、なんか大人っぽいね。でも、そういうところ好きだよ！」  

その日から、二人は以前よりも親密な関係になっていった。夏美はいつも自分の気持ちを隠すタイプだったが、優菜には少しずつ本音を見せるようになった。そして優菜も、夏美といることで「自分自身」に素直になれる感覚を覚えた。

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### 「新しい約束」

夏休みのある日、夏美は優菜を地元の花火大会に誘った。浴衣姿の夏美は眩しいほど可愛らしく、優菜は少し照れくさい気持ちになりながら、一緒に夜空を見上げた。

夏美がぽつりと呟いた。  
「こうしてると、昔のこと思い出すなあ。幼馴染の優人と一緒に遊んだ頃のこと。」  

優菜は少し緊張しながらも、言葉を選んだ。  
「夏美が言ってた幼馴染、きっと今でも君のことを気にしてると思うよ。」  

夏美は目を丸くしてから、優菜に微笑みかけた。  
「そうかな？そうだといいな。」  

優菜はそっと心の中で決意する。これからは、自分が「斎藤優菜」として夏美を支える存在になるのだと。

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