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光の罠
しおりを挟む隕石のクレーターにたどり着いた4人は、その中心で微かに光を放つ小さな欠片を見つけた。
「これが原因なんだろうな。」
健一(中身は莉奈)が手を腰に当てながら欠片を見下ろすと、莉奈(中身は健一)が慎重な口調で言った。
「でも、触るのは危険かも。あの光、さっきもこんな感じだったよね。」
信吾(中身は咲良)は欠片をじっと見つめたあと、思い切った様子で言った。
「でも、これに触れないと何も始まらないだろ? 俺たち、元に戻らないまま生きていけるか?」
その言葉に誰も反論できなかった。信吾(中身は咲良)は意を決して欠片に手を伸ばした。
「待って!」
咲良(中身は信吾)が声を上げるが、遅かった。信吾(咲良)の指先が欠片に触れると、鮮烈な光が周囲を包み込んだ。
***
### **目覚めた新たな世界**
目を覚ました信吾は、違和感を覚えながらゆっくりと起き上がった。見慣れた天井と、見覚えのある狭い部屋。
「……ここ、高校の時の俺の部屋じゃないか?」
彼は驚いて鏡を見ると、そこに映っていたのは高校生時代の自分の顔だった。しかし――声が女性のものだと気づき、ハッとなる。
「これって……咲良の声!? まだ入れ替わったままなのかよ!」
その頃、別の場所でも同じような混乱が起きていた。
健一(莉奈)は学校の制服姿で目を覚まし、自分の手を見ると叫び声を上げた。
「なんでまだ健一の体なの!? それに、ここ……高校?」
莉奈(健一)は慌てて部屋を飛び出し、鏡を見つけるとため息をついた。
「どうやら、私たち、元の時代に戻ったわけじゃなくて、高校生になったみたいね。でも、体は……まだ健ちゃんのまま。」
4人はそれぞれ、自分たちが高校生時代に戻され、しかも入れ替わったままの体であることに気づき、再び集合することを決意した。
***
### **学校での再会**
翌朝、4人は通っていた高校の校門前に集まった。懐かしい制服姿の自分たちを見て、思わず顔を見合わせた。
「おい、これどういうことだ?」
信吾(咲良)が健一(莉奈)を睨むと、健一は肩をすくめた。
「俺に聞くなよ。隕石のせいに決まってるだろ。」
「でも、これって……過去に戻ったってこと?」
咲良(信吾)が不安げに問いかけると、莉奈(健一)が頷いた。
「そうみたい。でも、私たちの体はまだおかしいままだし、ここからどうすればいいのか……。」
話し合っているうちに、朝のホームルームのチャイムが鳴った。4人は仕方なく教室へと向かうことにしたが、それぞれの体が元に戻らないまま、元の自分の席に座る奇妙な光景が広がった。
***
### **高校生としての新しい挑戦**
その日から、4人は入れ替わったままの体で高校生活を送ることになる。体育の授業では健一(莉奈)が華麗にバレーボールを決める一方、信吾(咲良)は絵画の授業で驚くほど繊細なタッチを見せ、周囲を驚かせた。
一方、咲良(信吾)は男子バスケットボール部に無理やり勧誘され、慣れない体で練習に挑むことに。莉奈(健一)は文化祭の実行委員に選ばれ、堂々と指揮を執る姿が周囲から称賛される。
***
### **元に戻る方法を探して**
高校生としての生活を送るうちに、4人は徐々に新しい体と立場に慣れていく。しかし、心の奥底では元の自分に戻りたいという願いを抱え続けていた。
「元の世界に戻れる方法は、きっとまだあるはず。」
信吾(咲良)が言うと、莉奈(健一)が力強く頷いた。
「絶対に見つけるわよ。この入れ替わりにも、この時代に戻った理由にも、きっと意味があるはずだから。」
彼らの新たな挑戦は続く――奇妙な入れ替わりの謎を解くために、4人は高校生としての生活を乗り越えながら、自分たちの運命を切り開いていくことになる。
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